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マルチパスウェイで人に寄り添うのがトヨタの戦略
マルチパスウェイの考え方はトヨタブランドに限った話ではなく、グループ全体に及ぶ。レクサスブースに展示された「レクサス・スポーツコンセプト」、「LSクーペコンセプト」、そして次世代のショーファードリブンとして、6輪ミニバンという斬新すぎる提案を行なった「LSコンセプト」にしても、それがICEなのかBEVなのかHEVなのか、一切限定せずに開発されている。
レクサスは、今回のモビリティショーを機にセンチュリーが独立ブランド化したことによってより大胆で自由なクルマ創りが許されるようになった。そこで、LSの本質はそのままに再定義を行ない、VIPのためのスペースユーティリティを追い求めた結果、スムーズな乗り降りと広い室内空間を実現するために生み出されたのが、プレミアム三列シートの6輪車というスタイルだ。
そこにパワートレインはコレだから、というエクスキューズはない。すべてに優先するのはVIPのためのもてなし空間であり、最上級のパーソナル空間であり、最上級のスペースユーティリティなのだ。
人流・物流を支えるモビリティもまず「ヒト」ありき
トヨタがアフリカで暮らすクルマを購入できない層に向けて、クルマの基本的な機能である「走る・曲がる・止まる」という部分は作るものの、運転席以外の上物はすべてアフリカ現地で要望に合わせて自由に製作できるようにし、低コストかつ汎用性の高いマルチモビリティ「IMV Origin」に至っても、パワートレインは決め打ちされていない。まず、このコンセプトを成立させること。その先にパワートレイをどうするかを現地とともに考えるのだという。
コンセプトシリーズ「カヨイバコ」については、自動運転を軸に介護者の送迎を行なうロボタクシー「KAGO-BO(カゴボ)」と、近距離配送向けのひとり乗り小型モビリティ「COMS-X(コムスX)」はBEVありきとして企画されている。
しかし、それ以外に展示された複数のコンセプトモビリティについては、選択肢を残したというよりも、パワートレインを限定していない状態で開発されているのだという。使う人に寄り添ったパッケージを先行開発し、そこに現地のエネルギー環境を鑑みてあとからパワートレインを選択するというコンセプトなのだろう。
もはや、トヨタグループ館で「このクルマはBEVですか?」などと各車の説明員に質問する方が野暮と思えるほど、トヨタのマルチパスウェイ戦略は徹底され、それを本気で進める姿勢に圧倒されるばかりだった。企業体力があるからこそ成せる業とはいえ、この消費者に寄り添い選択の余地を多く残す姿勢は、今後ますます価値を持ち共感を得るのではないだろうか。





























































































