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高い実用性とトヨタならではの信頼性で好評
荷室の使い勝手についても配慮が行き届いている。ボディタイプにはパネルバンやクルーバンなど複数あり、荷室容量は最大で6.6㎥と、商用車として十分なスペースを確保。また、助手席を畳んで長尺物を積むスマートカーゴシステムにより、必要に応じてより長い荷物も積載可能だ。
加えて、荷物の積み下ろしを容易にするスライドドアや低床設計が、日常業務の利便性を高めている。また、EV特有のバッテリー配置により低重心化が図られ、走行安定性も向上。重量物を積載した状態でも、安心して高速道路を走行できる。ボディサイズも都市部に適しており、中尺モデルで回転半径6.2m、全高1.92mという寸法により標準的な駐車場へのアクセスも確保している。
<なぜイギリスで支持されるのか? プロエースEVの魅力と将来性>
英国でプロエースEVが高い評価を得ている理由は、単なる性能のよさだけではない。もっとも大きな要因のひとつが、トヨタブランドならではの信頼性とアフターサービスの充実だ。プロエースEVは、3年間の保証と5年間無料のロードサイドアシスタンスが標準で提供され、さらに正規ディーラーでのメンテナンス実施により、最大10年間(または10万マイル)まで保証を延長可能だ。
経済性の面でも魅力的だ。電動商用車は購入価格が高額である一方、総所有コストで見ると、日常的な運用コストの安さや税制優遇により、ディーゼル車と競争力のある水準になるという。とくに英国では、ゼロエミッション車両に対する税制インセンティブがビジネス利用者にとって非常に魅力的であり、この点がプロエースEVの導入を後押ししている。
また、英国の都市部では低排出ゾーンや無排出ゾーンの規制が厳しくなっており、従来のディーゼル車の利用が制限されるなか、Eコマースの拡大による配送需要の増加も重なって、クリーンな輸送手段への需要が急速に高まっている。プロエースEVは、まさにこのような市場環境の変化に対応した戦略的なモデルなのだ。
トヨタは英国全土に100以上のプロフェッショナル販売店ネットワークを展開しており、充実したサポート体制を構築している。新車には5年間の無料ロードサイドアシスタンスが付帯し、透明性の高い価格設定による保守サービスも提供されるなど、商用車ユーザーが求める安心感を提供している。
日本では正規導入されていないプロエースEVだが、欧州における成功は、トヨタの電動化戦略の多様性と実用性を示す好例だ。今後も英国をはじめとする欧州市場で、その存在感を高めていくことは間違いないだろう。