氷点下の屋外充電で真価を発揮 薄く柔軟性に富む次世代型太陽光パネル「ペロプスカイトソーラーパネル」を採用した3輪EV「3RUOTA(スリールオータ)」を開発し、注目を集めているEVジェネシスが、新たな機能の搭載を発表した。 全世界でリチウムバッテリーの爆発事故が起き、安全性を問題視する声が聞こえるなか、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの優れた安全性を評価し採用しているEVジェネシスは、3輪EVでは世界初となるセルフヒーターを内蔵したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーをスリールオータに搭載すると発表した。 セルフヒーター内蔵リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載する最大のメリットは、氷点下の環境でもバッテリーの充電が可能になるという点。 リチウム系バッテリーは氷点下では化学変化が起きにくく、充電ができなくなってしまう。そこでEVジェネシスはセルフフィルムヒーターをバッテリー内部に組み込むこととした。このヒーターはバッテリーセル温度が零度以下の状態で充電を開始すると、自動的にバッテリーセルを適切な温度になるよう温めてくれる。こうすることで、バッテリーの寿命に悪影響を与えることなく、真冬の寒冷地でも屋外に駐車した車両を充電することができ、約8時間の充電で150km走行することが可能になるという。 また、同社のスリールオータを特徴づけるペロプスカイトソーラーパネルからの充電にも対応する。ルーフに取り付けられたパネルにより、日中の屋外駐車時に外部電源に頼ることなく充電が可能となるので、コスト面でも有利に働く。 電力を失った被災地支援にも有効 電気自動車そのものをバッテリーとしてみた場合にも、このセルフヒーター内蔵バッテリーが効果を発揮する。被災地支援を例に挙げると、被災地に電気を届ける複数枚のペロブスカイトソーラーパネルを利用した「発電車」と、電気を配る「電配車」にこのバッテリーを搭載することで、気温の低い状態でも安定した電力を供給することが可能になるのだという。 バッテリー1台でスマートフォンを600台充電することができ、電気ポットやポータブルクーラーなどさまざまな電化製品を使用可能とする。スリールオータならではのコンパクトなボディと機動力に加え、自己発電能力と寒冷地対策は、大型重機や物資輸送トラックが到達困難な状況でとくに威力を発揮しそうだ。 四輪EVでは、充電時にバッテリーを適正な温度へ温めるシステムというのはすでに一般化しつつあるが、低価格かつコンパクトさが求められる小型モビリティや3輪EVの分野では、このEVジェネシスの取り組みが世界初。 日本のみならず氷点下を記録する大都市というのは世界に点在しており、環境負荷の少ないシティコミューターとして三輪EVに対する期待が高まっていることから、世界的なヒット作となり得るポテンシャルを秘めていそうだ。