EVに乗れる人は増えていくだろう
その補助金は、普通充電で設備購入費の半額、設備工事費については1基目が上限95万円、2基目以降は1基について上限48万円だ。そのうえで、パレット式駐車場の場合は、1基目の上限が171万円で、2基目以降は上限86万円/基になる。
さらにVtoH(ヴィークル・トゥ・ホーム)の機能を加えると、1基目の上限額が135万円となり、2基目以降は68万円/基になる。
それらは充電工事の補助だが、機械式パレットの改修を必要とする場合は、1パレット当たり上限で140万円の支援も行われる。
ほかに、将来のための準備として、先行的な工事を行う場合は、1区画について上限7万円、機械式の場合は上限30万円の支援も行われる。
それらの内容を見ると、単に机上の施策ではなく、現場の実態や困りごとを知ったうえで練られたとの印象がある。
充電器の設置に関しては、国の補助もあり、東京都の補助と合わせるとかなり負担を少なく普通充電器設置の道が開けそうだ。あとは、管理組合などの合意形成だろう。
合意形成の事前知識として、ポータルサイトを東京都は開設している。
さらに、マンション管理に精通した専門家を無料で派遣することも行っている。
また、管理組合で合意を形成するための準備として、提案書を作成する現地調査を行った際の経費の助成もあり、1件当たり最大18万円が補助される。
それから、合意形成などを含めた手続きを事業化している業者の案内も行っている。
こうして見てくると、単に補助金を準備したというだけでなく、不安や疑問を持つ集合住宅の住民や管理組合の思いを支援する策も講じており、東京都がいかに集合住宅でのEV導入を後押ししているかがうかがえる。
過去の設置実績についての事例紹介もあり、分譲マンションだけでなく、URの賃貸マンションでの事例も含まれている。
UR都市機構は、政策実施機関であるため、2021年に調査を開始し、都内物件での導入を決めたという。そうした既築マンションでの事例があることを含め、この先、新築での義務化が浸透していくに従い、既築を含めたマンションでの住民意識がさらに高まれば、集合住宅住まいでもEVを買えたり、乗れたりする人が増えていくのではないか。
東京都の事業は、始まったばかりだ。これが日本におけるEV普及の成功事例へ育つよう、5年後の目標達成をにらみながら、進捗を注視していきたい。