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自動車税は都道府県の地方税
ところで軽EVでは、昨年ホンダN-VAN e:が発売になった。
これまで紹介した税額は乗用車に対して、N -VANのような貨物車には別の税額が定められている(東京都港区)。軽の貨物車を自家用として使う場合には5000円で、またEVであることによるグリーン化特例により新規登録の翌年5月は1300円になる。
いずれにしても、自動車税と軽自動車税については、 EVであることによる減税効果があり、ことに登録車の高性能EVにおいては、同水準のエンジン車に比べ大幅な減額になるといえる。
日本は、まだEVの普及率が海外に比べ低いので、高性能かつ高額なEVの税額が一律に低くなることがあまり注目されていないが、エンジン排気量を区分に税額を定めている自動車税の場合、EVの台数が増えれば税収が減ることにつながり、将来的には自動車税の税制改定が行われることになるかもしれない。
たとえば、エンジン排気量に替えて最高出力の数字が基準にされるなどだ。それであれば、エンジン車もEVも区別なく税制区分の枠に入れていくことができる。
ちなみに、トラックの場合はエンジン排気量ではなく、積載重量によって税額の区分がなされている。あるいは、バスは乗車定員数に応じて税額の区分がなされている。
これらを参考にするなら、EVはバッテリー重量の影響で車両重量が重くなる傾向があるので、車検の際に支払う重量税と同様に、自動車税も車両重量を基準とした区分けになることも考えられなくはない。
ところで、自動車税は、都道府県の地方税である。環境負荷を大幅に低減するEVの普及が、税収の悪化につながれば、地方自治体の財源として税制の見直しにつながっていくことはあり得るだろう。
増税は、誰も望まないことではある。だが、暮らす環境が好循環へ向かうには、そうしたことが生じることは想像しておくべきではないか。
それに際し、もし増税となるならば、徴収された税金がどのように地方自治体で使われるのかという、使途について関心を高めていく必要がある。
それは必ずしもEVが走る道路整備などに限らなくても、環境に適合した生活環境の改善に役立てられることが望まれる。あるいは、蓄電拠点としての役割も果たせるEVを活用した、災害等への対処の施策でもいいかもしれない。
単に増税で負担が増えることに反対するのではなく、現状の減税策を活かしながらEVがますます増え、その結果、自動車税の考え方に変更が施されるのならば、EVが、快適な暮らしに役立つ施策の原資となる税金の使い方を目指すことが大切ではないだろうか。