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BYDの最新車種シーライオン7で1000km走行チャレンジ! 雨でもキチンと働く「ADASの進化」が凄い


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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土山SAの充電器でまさかのエラー

4) 草津PA上り→土山SA上り(150kW級急速充電器)

・走行距離:36.3km
・消費電力量:18%→4%
・平均電費:3.30km/kWh(303.4Wh/km)
・外気温:13℃→13℃
・天候:雨100%
・充電セッション:4%→17%(12分)

土山SAにたどり着いたはいいものの、なんと150kW基で何度も充電セッションを試みても充電エラーで弾かれてしまいました。仕方なく隣の90kW基で最低限充電を行って、次の湾岸長島PAにある150kW基で充電する作戦に変更。これまで150kW基で安定して充電できていたので謎が残ります。

テストのようす

5)土山SA上り→湾岸長島PA上り(150kW級急速充電器)

・走行距離:49.3km
・消費電力量:17%→3%
・平均電費:4.47km/kWh(223.7Wh/km)
・外気温:14℃→15℃
・天候:強雨100%
・充電セッション:3%→59%(30分)

湾岸長島PAでは問題なく充電することができました。湾岸長島PAに設置している150kW基は、エラーが発生した土山SAの150kW基とまったく同様のABB製であるため、シーライオン7の車両側との相性問題というよりも、土山SA上り線に設置されていた充電器に問題がある可能性が高そうです。また、土山SAからは標高が下がるものの、大雨だったこともあり思ったよりも電費が伸びていません。ただし、ADASの安定性が高く、大雨のなかでもADASを使用して安心して走行することができたという点は、シーライオン7の強みといえるでしょう。

テストのようす

6)湾岸長島PA上り→浜松SA上り(150kW級急速充電器)

・走行距離:109.6km
・消費電力量:59%→21%
・平均電費:3.61km/kWh(277.4Wh/km)
・外気温:15℃→14℃
・天候:雨100%(内強雨30%)
・充電セッション:21%→72%(30分)

最後の充電スポットは浜松SAの150kW基です。ここは人気の充電スポットであることから、最近は150kW基が埋まっているケースがあるのですが、今回は問題なく占有することができたため、最大105kWを最後まで発揮することができました。

テストのようす

7) 浜松SA上り→海老名SA上り(ゴール)

・走行距離:189.3km
・消費電力量:72%→3%
・平均電費:3.49km/kWh(286.7Wh/km)
・外気温:14℃→12℃
・天候:雨100%

海老名SA直前で走行距離1000kmを達成しました。海老名SAには充電残量3%で到着。この海老名SA到着時点での充電残量が少なければ少ないほど、最後の充電時間を短縮することができるわけですので、綿密な充電残量コントロールが求められるわけです。その意味においては、優れた充電残量コントロールを達成できたといえそうです。

テストのようす

トータルの所要時間は11時間8分と、私がこれまで行ってきた1000kmチャレンジの検証のなかでは平凡なタイムとなりました。電費性能で同等の日産アリアB9 e-4ORCEと比較しても20分ほどタイムで遅れており、やはり充電スピードで負けているという点、そして高速域における電費でわずかに劣るという点を加味すると、シーライオン7がアリアB9 e-4ORCEに負けた結果も頷けると思います。さらに、電動SUV王者のモデルYロングレンジAWDとは1時間ほどの差がついてしまっており、電費の差がモロに現れた結果であるといえそうです。

表

また、土山SA上りでのみ充電エラーが発生していたことから、おそらく車両側の問題ではなく土山SA上り線の150kW基に何かしらの問題が発生していた可能性が高そうです。

いずれにしても、BYDの最新電動SUVであるシーライオン7 AWDは、高速走行主体の1000kmチャレンジにおいては電費がやや悪化してしまったことで、充電回数が想定以上に増えてしまったものの、雨という悪条件下を考慮に入れると、概ね想定どおりの結果ということになったと思います。

テストのようす

個人的には1000kmチャレンジの結果以上にADASの性能が10カ月前に発売されたシールと比較しても飛躍的に改善していることで、1000kmを安心して走行できたという点のほうが印象的でした。さらに、いまの季節は使用することはなかったものの、冬場の充電性能の改善のための充電予熱機能も実装されており、極寒環境下でもさらに安定した急速充電性能にも期待可能でしょう。

また、BYDは2025年中にAtto 3のAWDグレードの追加設定とシールのマイナーチェンジを実施すると噂されています。さらに、2025年末までに初のPHEVモデルの導入、さらに2026年後半には軽自動車規格のBEVを投入するとも噂されているなど、日本市場の最新動向からも俄然目が離せません。

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