エアコンの使い方を工夫したい
ただし、量産市販当初のEVは、空冷を主体としていたので、つねに温度管理するのは難しく、走行中の風によって冷やすことを主眼としていた。とはいえ、空冷ではダメということではなく、空冷であることにより、EV後のリチウムイオンバッテリーを再利用するためセル単位の分解がしやすいことを視野に入れた設計だった。その考え方は、水冷式となった今日も、EV後のバッテリー再利用を視野にケースの設計を行う必要がある。
理由は、EV後のリチウムイオンバッテリーは、なお70%近い容量を残しているからだ。これを定置型の電気施設などで再利用しない手はない。たとえば、太陽光や風力による発電の電力を蓄電することで、需要に対し余剰に発電された電力を無駄にしないで済む。あるいは災害への備えとして、支援用電源への蓄電に二次利用のバッテリーを用いることができる。
冷却については、急速充電器のケーブルも、高性能仕様の場合は水冷機能を備えるものもある。ただし、そうすると太くなるし、曲げにくかったり、重くなったりもする。
EVを利用する段階での夏への備えはある。
エアコンディショナーは、設定温度を低くするのではなく、適度な温度に抑え、そのうえで送風を強めにすると、手ごろな涼しさが得られる。適度な温度設定とは、外気温との差を意識することだ。極端な話、1℃でも低ければ、冷房は機能する。
これも、設定温度を下げ過ぎて空調による消費電力が増えるのを抑えることにつながる。家庭でも、エアコンディショナーと扇風機を併用すると省エネルギーになるといわれる。その発想だ。
ほかに、普通充電をしているとき、同時に、出かける前の車内温度を快適にするため空調を使っておけば、移動中に空調を強める必要が減る。充電中に事前の空調を行うことで、出発時のバッテリー容量を確保しておくことにもつながる。これは、暖房についても同じだ。
寒さのときにも話したが、エンジン車と使い勝手が違うことは不具合でも不都合でもない。EVであることを活かすための装備選びや、出かける前の段取りなど、知恵を働かせることで、EVのよさをいっそう実感できるようになるだろう。