コラム
share:

モーターの「空回し」はムダな抵抗! メルセデスが採用する電費向上技術「DCU」ってなに?


TEXT:山本晋也 PHOTO:山本晋也/TET 編集部
TAG:

フロントの駆動系を切り離すことができる

そうしたシチュエーションで、通常の2モーターEVにおいてフロントモーターはどうなっているか考えたことはあるだろうか。

単純に「フロントモーターには電気を送らずにおけばいいのでは?」と思ってしまうかもしれないが、まったく駆動していなければ、フロントモーターは単純に走行抵抗となってしまう。そのため、駆動力としては機能しないレベルであっても、ある程度の電流を与えておく必要がある。

つまり、走行抵抗を低減するためにEVにとって“貴重”な電気を消費してしまうのだ。

メルセデス・ベンツの「DCU」は、そうした2WDで済む低負荷の運転状況に応じて、フロントモーターを完全に停止させることができるテクノロジーだ。

簡単にいえば、フロントモーターとドライブシャフトを機械的に切り離す装置だ。これによりフロントの駆動系による抵抗は大幅に低減することができる。無駄な電力消費がなくなるので、航続距離を伸ばすことにつながるというわけだ。

DCU

※画像は左が駆動を切り離したオープン状態。右は駆動力がフロントタイヤに伝わるクローズ状態

もちろん、メルセデス・ベンツの採用する機能だけに、ユーザーはDCUの作動についてなんら気にする必要はない。完全に自動的に作動するシステムとなっている。

加速時には4WD、コースティング状態でクルージングするときには2WD、そして減速するときには4WDに戻して回生ブレーキを積極的に活用するといった具合だ。

メカニズムとしてはアクチュエータでカップリングを動かすというシンプルな仕組みだが、DCUを置くスペースの確保、制御システムの開発など、安価なEVが採用するにはコスト高の要因となることは間違いなく、やはりメルセデス・ベンツという贅沢が認められ、それをユーザーが求めるブランドだからこそ実装可能なテクノロジーといえるだろう。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
2026年に登場を予定しているベントレーのEVを予感させるデザインスタディ! 伝統と電動化の未来をつなぐコンセプトカー「EXP15」を発表
価格・航続距離・パフォーマンスでテスラを圧倒!? 中国の巨大スマホメーカー「シャオミ」が作ったEV「YU7」がついにデビュー
2025年はBYD Auto Japanの設立3周年記念! お買い得な限定車「ATTO 3 Black Style」を 全国50台限定で発売
more
コラム
日産のチャンピオンで話題のフォーミュラEはシャシーもバッテリーも基本は同じってマジ!? 参戦メーカーによる違いはドコに生まれるのか?
エコな鉄を使ったエコカーには補助金5万円ってマジか! そもそもエコな鉄「グリーンスチール」ってなに?
アメリカの関税で苦しみ中国市場で困難極まるマツダはどうなる? EVの欧州展開で活路は見いだせるか
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択