EVは酔いやすい!? EV(電気自動車)が急速に普及し始め、街なかでその静かな走行音を耳にする機会も増えた。いや、走行音すら気付かず、EVの存在にハッとする場面もある。EVには、独特でシームレスな力強い加速で、多くのユーザーがその感覚に魅了されている。しかしその一方で、「EVはクルマ酔いしやすい」という声を耳にすることも増えている。“EV酔い”ともいわれるこの症状はなぜ起こるのだろうか? <EV特有の“動き”が感覚に障害を及ぼす!?> まず、クルマ酔いの根本的なメカニズムをおさえておこう。この酔いは目から入る視覚情報と、耳の奥にある平衡感覚器官(三半規管や耳石器)が感じる加速度や傾きといった平衡感覚の情報に「ズレ」が生じ、脳が混乱することによって引き起こされる。たとえば、車内でスマートフォンや書籍を見ていると、視覚は「静止している」と認識するが、三半規管はクルマの加減速や揺れを「動いている」と感知する。この情報の不一致が、自律神経の働きを乱すこととなり、不快感や吐き気といった症状を誘発するのである。 EVが従来のICE(内燃機関)車とは異なる乗り心地であることは間違いない。車内は静かでガソリンの匂いもしない。対してICE車では加速や減速のタイミングはエンジン音や振動など五感で事前に察知できる。それにより身体がクルマの動きに“先まわり”して適応できていた。 しかしEVの場合、エンジン音がなく振動も少ないため、同乗者、とくに後ろに乗っている人にとっては身体が「いま加速している」「減速している」と感じにくい。さらに、モーターによるトルク制御は非常に滑らかで変速ショックがない。同乗者はドライバーに比べ予測しにくいため、加減速変化に後から反応することになり、脳が期待した動きと実際の身体感覚との差(感覚の不一致)が生じやすくなるというわけだ。 また、ドライバーが無意識のうちに、わずかなアクセル操作で頻繁に加減速を繰り返しても、同乗者にはその変化を把握しづらい。この「気付かぬうちに揺さぶられている」感覚もEV酔いを招く要因のひとつと考えられている。
#メカニズム
               































 
                            
                        
                         
                            
                        
                         
                            
                        
                         
                            
                        
                         
                            
                        
                         
                            
                        
                        





