コラム
share:

全固体電池でも燃えないワケじゃない! EVの車両火災対策は製造工程からインフラまで多角的に進行中だった


TEXT:桃田健史 PHOTO:TET 編集部/写真AC
TAG:

全固体電池は燃えにくいだけで燃えないわけではない

ひとつは、電池をどう設計するかだ。リチウムイオン電池にも正極・負極・セパレータ・電解質などで多様な組み合わせが考えられる。

近年、自動車メーカー各社でも量産化に向けた開発が急ピッチで進む、全固体電池があるが、各社の電池開発関係者らは発火の可能性について、電解質が固体になっても燃えにくいだけで燃えないとはいい切れないという。全固体電池になっても、発火の抑制をどう管理するかが重要なのだ。

次に製造過程についてだ。製造の効率を上げることと、発火などが起こらないための安全性を担保することを両立させなければならない。

あわせて、製造工程で人のミスによって電池に異様な衝撃が加わらないようにするための、製造ラインの設計や安全第一を作業する人たちに徹底してもらうための業務管理体制の確立などが必須だ。

バッテリーのイメージ

また、電池の温度管理など車載制御機能の適正化も重要となる。近年は、SDB(ソフトウェア・デファインド・ヴィークル)という表現がよく使われるようになり、車載制御システムの統合化か、外部との通信機能の強化などの議論が活発になっているところだ。そのなかで、車載バッテリーの安全性を上げる工夫も考えられる。

そして、外部からの充電については、技術的には高出力化が進んでいるほか、EVから外部への給電機能も併用する、電力マネージメントシステムで新サービスの議論が進んでいる。

充電器のイメージ

ここでも、EV単体のみならず、電力システム全体での安全性の確保の重要性がさらに増すことになるだろう。

2030年代のEV本格普及期に向けて、EVの安全性に対する各方面の努力は着実に進んでいるものと考えられる。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
日本は3年連続「日産サクラ」がトップ! じゃあ中国・欧州・アメリカで一番売れてるEVってなにか調べてみた
電気自動車って「お金的に」得? エンジン車と諸々の費用を比べてみた
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
more
ニュース
新型エルグランドがいよいよe-POWERで登場!? 「EVの雄」日産のジャパンモビリティショー2025は電動モデルが盛り盛り
トヨタの新型モビリティでお台場周辺が一気に便利になる! 「eパレット」と「C+walk」が街全体の活性化にも貢献
ホンダがカーボンニュートラル実現に向け二輪の電動化を加速中! 欧州でネイキッドモデル「WN7」を発表
more
コラム
新型ソルテラは性能大幅アップなのに大幅値下げ! めちゃくちゃお得な内容にライバルはどうする?
そりゃ中国がEVで世界をリードできるわけだ! 日本との違うはひとえに「国策」にアリ!!
モニターもなきゃ急速充電もない……がなんの問題もない! N-ONE e:のエントリーグレードは「EVの本質」を追求したクルマだった
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
膨大なAWD開発データが「最高に気もちいい」BEVを生み出す! 「パフォーマンスE STIコンセプト」はスバルらしさを際立たせたコンセプトモデルだった【ジャパンモビリティショー2025】
黒船はBYDの軽EVだけじゃかなった! Kiaが商用バン「PV5」で日本のEV市場に殴り込み【ジャパンモビリティショー2025】
ホットハッチ大好き英国人も唸らせたホンダ「スーパーワン」! 2026年の発売を前にプロトタイプを日本初公開【ジャパンモビリティショー2025】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択