EV時代でも「どこへでも行ける」レンジローバーらしさは不変
プロダクト・エンジニアリング担当のエグゼクティブディレクターであるトーマス・ミュラー氏は、今回のテストについてリリース内で以下のように語っている。
「暑い気候は、バッテリー電気自動車(BEV)にとってもっとも困難な環境のひとつといえます。車内を冷却すると同時に、バッテリー性能を最適化する必要があるからです。砂地を走行する際には、低速トルクをコントロールする必要があります。そこで、私たちが特別に開発したトラクションコントロールと熱管理システムが連携して機能し、電力供給に影響しないようにします。このような気候のなか、100メートルに相当する細かい砂の上り坂を繰り返し走行しましたが、『レンジローバー・エレクトリック』は内燃機関(ICE)と同等のパフォーマンスを発揮することが、当社のテストによって証明されました。また、場合によっては、新機能の導入により、それらを上まわることさえあります」
と今回のテストで良好な結果が得られたことを評価している。
続けて、高温環境の砂漠地帯を安定して走行するための技術的なトピックについて、次のように語っている。
「バランスの取れた重量配分と高度なサスペンションシステムによって、砂地においてもコントロールと安定性を容易に維持し、究極の安定性とともに走行することができます。妥協のないトラクションシステムは、どんな砂丘であっても、瞬時にトルクを発生させ、素早い加速、応答性、洗練された走行を可能にします」
「レンジローバー・エレクトリックの新しいインテリジェント・トルクマネジメントシステムは、ホイールのスリップ管理タスクを各電動駆動制御ユニットに直接分配し、各ホイールのトルク反応時間を約100ミリ秒からわずか1ミリ秒に短縮します。その結果、細かい砂の上を走行する際のトラクションコントロールが向上しました」
「シャルジャのアル・バダイヤー砂漠の中心には『ビッグ・レッド』がサフラン色の砂丘のなかにそびえ立っています。その高さ300フィートの自然の砂丘は、ドバイ最大規模の砂漠のヒルクライムであり、すべてのレンジローバー車両は次のテスト段階に進む前に、パフォーマンスを落とさずに5回登り切ることを課しています。そして、レンジローバー・エレクトリックは見事にこの挑戦を成功させました」
と電動化による高度で綿密な制御がもたらす走破性の高さは、すでに従来の内燃機関モデル以上であることを強調している。
このプロタイプモデルで得た知見が反映されるEVモデル「レンジローバー」と「レンジローバー・スポーツ」は、2020年代半ばに登場する予定だとジャガー・ランドローバーからアナウンスされた。
前出のトーマス・ミュラー氏が「堅牢性と耐久性のテストを繰り返すことで、レンジローバーがEV時代にあっても『どこへでも行ける』ことを証明していきます」と語る通り、EVであろうともイギリス伝統のラグジュアリーSUVブランドの高性能さは、当面不変なようだ。