インタビュー
share:

レンジローバーのBEVが間もなく誕生。ランドローバー新担当が語る「電動化の魅力」とは


TEXT:小川フミオ
TAG:
レンジローバーのグローバルマネージングディレクター、ジェラルディン・インガム氏

ランドローバー・レンジローバーがピュアEVになって、2023年末に受注をスタートする。ラグジュアリーSUVの王者として君臨してきた同車の在り方は、電動化によりどう変わるのか、あるいは変わらないのか。英国本社でレンジローバーのグローバルマネージングディレクターに就任したばかりのジェラルディン・インガム氏に、自動車ジャーナリスト・小川フミオが訊いた。

Meta自動車部門も経験した新ディレクター

レンジローバーとレンジローバーのグローバルマネージングディレクターであるジェラルディン・インガム氏

ランドローバーは、2023年末よりピュア電動モデルの受注を開始するという。

2030年までには、ジャガー・ランドローバーブランドの全モデルにピュアEVの選択肢を設定することも発表されている。

そしてランドローバーが出す初のBEVは、レンジローバーなのだ。

レンジローバーといえば、誰もがすぐに、個性的なデザインの車体と、ぜいたくな内装と、大きなエンジンといったぐあいに、イメージが浮かぶ。電動化が進むと、いかなる変化があるのだろう。

その未来を尋ねるにふさわしい人物が、2023年5月中旬に、東京を訪れた。英国本社でレンジローバーのグローバルマネージングディレクターに就任したジェラルディン・インガム氏だ。

インガム氏は、英国出身で、これまで日産UK、ルノー本社、フォルクスワーゲンUK、さらに(なんと)Metaの自動車部門でディレクターとしての経歴を重ねてきたひと。

ランドローバーには、2023年4月に入社。仕事内容について「このアイコニックなブランドの電動化を先導し、モダンラグジュアリーのエキサイティングな新時代への道を切り開いています」とプレス資料で書かれる。

「レンジローバーはご存知のように、リダクショニズムというデザイン言語によるデザインをはじめ、モダンでラグジュリアスな内装など、成功要件をすべてそなえています」

インガム氏はそれら、レンジローバーの成功要件を「マジックフォーミュラ」(魅力的な方程式)と表現。これからもそれらを守っていく所存、とする。

「先進的技術によるイノベーション、オフロード走破性、車内のデジタル技術の数々……これらに加えて、今後、電動化技術を積極的に採り入れていきます」

インガム氏は、自信にみちた笑顔でそう答えた。

「変化のための変化は行わない」

ランドローバー レンジローバー PHEVの充電ポート

「私たちは2023年末に、初のBEVの予注を受け付けます。そして24年にはデリバリーを開始します。いえることは、電動化しても、変化のための変化は行なわず、レンジローバーのDNAに忠実なモデルづくりを継続します」

強いて、電動化がもたらすメリットをあげるとしたら……インガム氏はつけ加えた。

「さらに静粛性が高くなるってことでしょうね。私はいま、会社のプロダクトをよく理解しなくてはならない立場なので、とっかえひっかえレンジローバーに乗って通勤しています」

自分の経験から言うと……とインガム氏。

「私は自宅と会社の往復に3時間かけています。その時間が期待以上に快適なんです。乗り心地もいいし、静かだし、好きな音楽を聴いていれば満ち足りています。電動化すると、さらに10時間ぐらいは平気でドライブしていられそう、と思っています」

電動化するレンジローバーを評価してほしい層は、どういうひとたちか。

「成功のシンボルとしてレンジローバーに憧れたかつての私のようなひとたちに加え、電動車にそろそろ乗ろうと考えていて、ならばぜいたくなSUVを、というひとたちが、すぐ思いつきます」

たしかに、そういうひとは、日本にも一定数いそうだ。ただし、現状では大型電動車には二律背反した問題がある。

長い距離走れる大きなバッテリーがあると便利だけれど、行く先によっては、性能のいい充電設備を探すのに苦労する。カリフォルニアなら、スーパーマーケットの駐車場にも充電設備があるのだけれど。

「聞いてみたところ、日本ではまだまだ充電インフラが整っていないと考えるユーザーのかたがたがいるようです。ただ、実際のデータとしては、8割がたのオーナーが自宅で充電して、それでなんの問題もなしとしているようです」

すでに日本発売されているプラグインハイブリッドモデルを例にとると、「InControlナビゲーションシステム」なる充電施設を探せるオンライン上のロケーターが機能している、とインガム氏は指摘。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ヒョンデの野心的な中長期戦略「ヒョンデ・ウェイ」発表! 2030年までに年間販売台数555万台を実現しそのうちEVは200万台を目指す
EVに関心があっても導入に踏み切れないタクシー事業者多数! 広島でbz4Xを導入した事業者の陰に「電脳交通」の存在あり
買っていきなりレースを走るだと!? ヒョンデ「アイオニック5 N」の記念すべき納車第1号オーナーの声
more
コラム
BYDシールで1000km走って「充電性能の安定性」に衝撃! リアルワールドでも「コスパ最強」が証明された
日本で発売直後なのに中国では年次改良で新型登場! BYDの新型SEALの実力がヤバい
日産の第一四半期の営業利益は前年同月比でなんと99%減少……って大丈夫か? 円安解消も含めてアメリカ&中国市場で苦戦を強いられている!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
とにかくこの形に惚れたんです! 日本中から約140台もの日産アリアが集結した「日産アリア全国オーナーズミーティング2024」に潜入した
走る以外の楽しみがEVにはある! ラーメン屋台まで登場した「EVサマーキャンプ2024」を見るとEVが欲しくなる!!
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択