2024年11月
TEXT:TET 編集部
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放

パワーエックスの充電アプリをダウンロードすれば利用可能に EV1台につき最大150kWという高出力で急速充電が可能な、パワーエックス社のハイパーチャージャーを2基4口備えた充電施設「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」では、現在すべての電気自動車ユーザーを対象として、2025年1月10日までの期間限定で「ウィンターホリデーキャンペーン」を実施している。 このキャンペーンは、アウディが世界で7拠点目、欧州外では初の設置となる急速充電施設「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」が誇る150kWhクラスの急速充電を、年末年始の帰省や行楽などを中心としたウインターホリデーシーズンに、すべての電気自動車ユーザーに対し30分間の超急速充電を無料で体験してもらおうとアウディが開放するものだ。 この施設は普段からすべての電気自動車ユーザーに対して門戸を開いているが、それはあくまでも有償サービスとしての話。それが今回は無料、かつ150kWh級の超急速充電なのだからお得度はかなり高い。 また、この「ウィンターホリデーキャンペーン」の利用後に、隣接するAudi City 紀尾井町を訪れると、「Audi Charging hub オリジナルミント」が数量限定でプレゼントされるという。 利用にあたっては充電に使用するパワーエックスの専用アプリをダウンロードし、Audi Charging hubの会員登録を事前に行う必要がある。また、普段からこの施設で優待が受けられるアウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェの電気自動車オーナーを対象としたPCA(プレミアム チャージング アライアンス)のメンバーであっても、今回の超急速充電30分無料体験を利用するにあたっては、パワーエックスのアプリに登録する必要があるので注意してほしい。 なお、設置されている充電器は「CHAdeMO 2.0.1」に対応しているが、CHAdeMOアダプターを介した充電はできないので注意いただきたい。 年末年始の長期休暇にEVで東京から出発する人も、東京に向かって走ってきた人も、24時間稼働している充電施設なので、自身のスケジュールに合わせてこのお得な超急速充電を体験してみてはいかがだろうか。

TAG: #アウディ #アウディ・チャージング・ハブ #超急速充電器
TEXT:琴條孝詩
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?

AMラジオ非搭載のEVが多数 電気自動車(EV)の普及が進むなか、従来のガソリン車では当たり前に装備されていたAMラジオが、多くのEV、とくに輸入車では搭載されていないという事実をご存じだろうか。FMラジオは問題なく装備されているのに、なぜAMラジオだけが締め出されているのか。本記事では、その技術的な理由と背景について詳しく解説していく。 <EVの電気系統がAM放送の受信を妨げる> AMラジオが搭載されていないEVが多いおもな理由は、EVの電動モーターやインバーターから発生する電磁波との干渉にある。AMラジオは中波(MW)帯の電波を使用しており、周波数が比較的低い。この周波数帯は、EVの電気系統から発生する電磁波とオーバーラップしやすく、結果として深刻なノイズが発生してしまうのである。 一方、FMラジオは超短波(VHF)帯を使用しており、周波数が高いため、EVの電気系統からの干渉を受けにくい。このため、ほとんどのEVにおいてFMラジオは問題なく搭載されている。自動車メーカーにとって、クリアな音質でラジオを楽しめない状況は避けたいところであり、ノイズの多いAMラジオを装備しないという選択をしているわけだ。 <対策技術と今後の課題> EVにおけるAMラジオの受信問題に対して、自動車メーカーや部品メーカーはさまざまな対策を試みている。電磁シールドの強化や、ノイズキャンセリング技術の開発などが進められているが、完全な解決には至っていない。 対策のひとつとして、アンテナの位置や形状の最適化がある。従来のアンテナに代わり、電波障害の少ないアンテナが採用されてきている。が、これらもAM放送の受信に関しては十分な効果を発揮できていない。また、電気系統からの電磁波を遮断するシールド材の開発も進められているが、コストや重量の増加が課題となっている。 このような状況のなか、放送のデジタル化がひとつの解決策として注目されている。日本ではradiko(ラジコ)のようなインターネットラジオサービスが普及しており、多くのEVではスマートフォンとの連携を通じてこれらのサービスを利用できる環境が整っている。このサービスでAMラジオを聴くことができる。 <AMラジオの将来> しかし、AMラジオには災害時の情報源としての重要な役割もある。地震や台風などの緊急時に、停電や通信障害が発生した場合でも、AMラジオは電池さえあれば受信可能だ。そのため、完全なデジタル化への移行には慎重な意見も存在する。アメリカでは、2023年、あらゆる市販車からAMラジオの排除を禁止するべきという法案も提出されているほど。 一部の自動車メーカーは、この問題に対する独自の解決策を模索している。例えば、車載通信システムを利用してAMラジオの番組をストリーミング配信する方式を採用するケースもある。また、電磁波の干渉を最小限に抑える新しい電動システムの開発も進められている。 EVは日進月歩で進化しており、AMラジオの受信問題も将来的には解決される可能性が高い。実際、日本の高速道路ではAMでのハイウェイラジオで交通情報を流しているし、日本メーカーのEVのほとんどはAMラジオを聴くことができる。 しかし、現時点ではAMラジオ受信問題という制約を受け入れざるを得ないEVが数多く存在しているのも事実だ。ラジオ愛好家にとっては残念なニュースかもしれないが、EVの進化とともに、新たな解決策が見出されることを期待したい。

TAG: #AM #ラジオ
TEXT:TET 編集部
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始

アプリもカードも不要で充電できる 電気自動車向け充電サービス「Terra Charge(テラチャージ)」を展開するTerra Chargeが、「プラグアンドチャージ」技術の導入に向けた取り組みを本格化し、2025年度より対応機種の充電器設置を開始すると発表した。 プラグアンドチャージとは、充電カードやアプリでの認証が必要だった従来の充電方法に対し、EVに充電プラグを接続するだけで充電・決済が可能となる技術。業界全体の課題となっているEVの充電体験の向上において、充電の手間が大きく軽減する画期的なものだといえるだろう。 プラグアンドチャージの実現には、充電器メーカー、自動車メーカー、そして充電サービス事業者間でのデータ連携が不可欠であるが、Terra Chargeでは充電器メーカーと協力し、プラグアンドチャージ技術の実用化を目指した共同開発を進めるとしている。 Terra Chargeによるプラグアンドチャージ対応EV充電器の設置は2025年から全国において開始されるが、プラグアンドチャージ機能の提供は追っての開始になるという。また、将来的にはすべての新設充電器をプラグアンドチャージ対応機種にするとのことだ。 多少なりとも煩わしさを感じることを否めないEVの充電が、プラグアンドチャージ技術の実装によってより快適なものになることを期待して待とう。

TAG: #EV充電器 #プラグアンドチャージ #充電インフラ
TEXT:高橋 優
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?

高いオフロード性能を実現! メルセデス・ベンツが日本国内でGクラスのEVバージョンの正式発売をスタート。さらにパワーXとタッグを組んで、日本国内に急速充電ネットワークを整備する方針も表明するなど、メルセデス・ベンツの最新動向を解説します。 まず、今回日本国内でも正式発売がスタートしたGクラスのEVバージョンは、すでにEQGとしてコンセプトモデルが発表されており、市販車バージョンの発売に大きな期待が集まっていたという背景が存在します。 そして今回、日本国内でも、G 580 with EQ Technologyという正式名称で発売がスタートしました。 じつは現在、メルセデス・ベンツはEV販売で失速している状況です。そして、EQシリーズ全体で問題視されていたのが、EQSやEQE SUVなどの命名のせいで、EVであることをユーザーが気にし過ぎてしまって、EQシリーズを購入検討から除外してしまっているのではないかという懸念です。よって、次世代EV専用プラットフォームを採用して開発されるCLAのEVバージョン以降は、EQの名を冠さない別の命名規則を採用する方針を示しています。今回のGクラスのEVも、もともと想定されていたEQGという命名ではなく、G 580 with EQ Technologyと、あくまでもGクラスの1グレードというような命名を行なってきました。 まず、G 580のパワートレインは、すべての駆動輪に対してそれぞれモーターを搭載するというクアッドモーターシステムを採用しています。よって、より緻密な電子制御を行うことが可能となり、タンクターンすらも可能となります。 また、Gクラスのオフロード性能という点で、その最大渡河性能が最大850mmと、ディーゼルモデルのG 450 dの700mmを上まわる走破性能を実現しています。 そして、EV性能については、まずバッテリー容量がグロスで122kWh、ネットで116kWhを搭載しており、航続距離は、日本市場で採用されるWLTCモードクラス2で最大530kmと、オフロード走行車という点を踏まえるとやや物足りない印象です。 ちなみにもっとも厳しいEPA基準の場合、日本国内では導入されない、より電費を稼げる18インチ装着のグレードで386kmです。よって高速道路を巡行する際は、満充電あたり350km走れるかどうかとイメージしておくのがいいでしょう。 また、オフロードSUVとして、車両底面に搭載されるバッテリーパックを守るために、カーボンを含む厚さ26mmの専用素材でアンダーボディを構成。バッテリーに対する物理的な損傷を強固に保護しながら、重さも57.6kgと、スチール性のアンダーカバーと比較しても3分の1という軽量化を実現しています。そして、車両重量が3120kgと、たとえばG 450 dが2560kgであることを踏まえると、内燃機関モデルよりも560kgも重くなっています。 また、車両サイズは、全長4730mm、全幅1985mm、全高1990mm、ホイールベースが2890mmと、内燃機関モデルと大差はありません。

TAG: #G 580 with EQ Technology #Gクラス
TEXT:TET 編集部
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破

創立30周年の節目の年に1000万台達成 中国・深圳でバッテリーメーカーとして創業したBYDグループは、ITエレクトロニクス、自動車、新エネルギー、都市モビリティといった多様な領域で事業を展開しており、とくにバッテリー・新エネルギー車(以下NEVと表記)においては世界的に見てもリーディングカンパニーとなっている。日本国内においても、もっとも有名な中国車ブランドであることは間違いなく、その勢いには目を見張るものがある。 そんなBYDが、深圳・汕尾特別合作区にある小桃生産基地で1000万台目のNEVをラインオフするとともに、創立30周年という歴史的な瞬間を迎えた。 NEVの生産1000万台突破は、中国のみならず世界の自動車メーカーでも初であり、自動車産業界におけるBYDの存在感を大きく示したといえるだろう。 創立30周年記念式典では、BYD会長兼社長の王伝福が基調講演を行い、従業員わずか20人の小さな新興企業から、全世界に100万人近いスタッフを擁する多国籍企業へと目覚ましい変貌を遂げたBYDの歩みについて振り返るとともに、BYDの技術革新への献身がモビリティの未来を形作る上で重要な役割を担っていることを強調した。 BYDは今後、人工知能を通じて自動車の各種システムを連携させ、自律性や利便性、安全性を向上させることを目的としたスマート技術開発に1000億元(日本円で約2兆円)を投資し、同社が生産する自動車ラインアップ全体の包括的なアップグレードを推進してゆくとしている。 さらなる躍進が目されるBYDから、目が離せない。

TAG: #BYD #NEV #中国車
TEXT:渡辺陽一郎
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解

急速充電器の性能は向上している 一般的にEV(電気自動車)を所有するには、自宅に充電設備を設置することが不可欠と考えられているが、日産の都市部の販売店では「最近は自宅に充電設備をもたないお客さまも増えた」という。日本では総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅に住み、都市部ではその比率が70%以上に達する。 そして、充電設備を備えたマンションは一部の新築物件に限られ、仮に充電スペースがあっても1台分だけで、来客用の駐車スペースと兼用している場合も多い。充電設備を備えていないマンションにあとから設置するのは、スペースの確保も困難で、管理組合や自治会の許可を得る必要も生じる。これは相当に難しい。 そうなると、集合住宅に住むなど自宅に充電設備をもたないユーザーは、急速充電器を使って充電することになる。 ちなみに以前の電気自動車では、急速充電を繰り返すと駆動用リチウムイオン電池の劣化が激しく、1回の充電で走行可能な距離が大幅に短くなると指摘された。 それがいまは、開発者によると「温度管理が綿密に行われるから、以前のようなバッテリーの劣化は生じにくい。普通充電との併用が好ましいが、急速充電に頼っても問題はない」とのことだ。EVの技術進歩により、以前に比べると、急速充電器を利用しやすくなった。 その代わり、集合住宅に住むユーザーが急速充電器を積極的に使うと「充電渋滞」が生じる可能性も高まる。2024年3月末の時点で、急速充電器の口数は1万少々とされるが、この内の30〜40%はEVやPHEV(プラグインハイブリッド)を扱う販売店に設置されている。 クルマの販売店に次いで急速充電器を多く設置するのは、郊外の大型商業施設やコンビニエンスストアだ。高速道路や自動車専用道路のパーキングエリア、サービスエリアに設置される急速充電器は意外に少ない。急速充電器全体の10%以下に留まる。 そのために休日になると、充電渋滞が発生しやすい。ユーザーとしては、パーキングエリアやサービスエリアの急速充電器を増やしてほしいが、利用者が少ないために採算が取れない充電設備もある。あるいは「周辺地域の電力インフラとのバランスが重要になり、すべてのパーキングエリアに急速充電器を設置できるわけではない」という指摘も聞かれる。 以上を踏まえると、現在のEVの利用方法としてはセカンドカーが好ましい。長距離を移動するときには、エンジンを搭載するハイブリッドなどのファーストカーを使い、使い勝手の優れた給油によって走る。EVは自宅で充電して、買い物などの短距離移動に使う方法だ。EVの開発者にも「EVの充電は自宅が基本で、急速充電は、電欠しそうになったときの緊急手段」とコメントする人が少なくない。

TAG: #急速充電
TEXT:TET 編集部
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開

中期経営計画「The Arc」で予告されていた中国向け新型NEVシリーズの第1弾 日産の中国合弁会社である東風日産乗用車公司が、11月15日に中国の広州国際モーターショー内で新型電気自動車(EV)の「N7」を初公開した。 ミドルサイズセダンの「N7」は、EVとプラグインハイブリット車両用に東風日産が開発した新しいモジュラーアーキテクチャーを採用した最初のモデルだ。開発から生産まで一貫して中国で行われ、現地の環境に合わせた運転体験、優れた快適性、そして先進的な機能を備えたという。 この「N7」の源流をたどれば、今年4月の北京モーターショーで公開された「日産エポック・コンセプト」にたどり着く。そのスタイリッシュなデザインは量産モデルの「N7」になっても変わらず、先進的なライフスタイルを送る中国都市部の生活者をターゲットとして、最新技術を余すことなく取り入れたEVセダンに仕上げたという。 その技術の最たる例が、東風日産とモメンタ社の共同開発による「ナビゲート・オン・オートパイロット」と呼ばれる先進の運転支援技術であり、「Qualcomm Snapdragon™ 8,295プロセッサー」を搭載したインフォテイメントシステムだと日産は説明する。 外観は日産ブランドを象徴するVモーションデザインのフロントフェイスが与えられ、全長4930mm、全幅1895mm、全高1487mm、ホイールベース2915mmから成るプロポーションは、流麗で未来的な外観を実現し、広々としたインテリアにも貢献している。 この「N7」は、2024年3月に日産が発表した中期経営計画「The Arc」のなかでも重要な意味を持つ1台だ。日産は中国での年間販売台数を、2026年には100万台まで伸長させることを目指している。そのために、中国市場向けに新型NEV車両を8車種投入する(後に1車種が追加され計9車種投入に変更)計画を描いており、「N7」は、その最初のモデルに位置付けられた。 ゆえに今後の攻勢を考えれば、日産はこのモデルに対し大いに期待しているはずだ。 さらに、2024年4〜9月期の決算において、日産のなかでも大きな販売割合をもつ中国での販売減少が明らかとなったばかりだ。「N7」を起点に今後投入される中国市場向けのNEV9車種が、中期経営計画の目標達成以上に、日産の経営回復という当初の計画にはなかった使命をも背負うことになったといっても過言ではないだろう。 地元中国メーカーの台頭が著しいなかで、日産はこの「N7」を皮切りに、矢継ぎ早の新型NEV投入で失地回復を狙う。

TAG: #新型車情報 #日産 #東風日産
TEXT:桃田健史
充電が無料でできる施設は税金のムダ遣い? 地方自治体の取り組みの是非を考える

目的は電動車を普及させること 地方自治体の関連施設の一部で、EVやプラグインハイブリッド車が無料で充電できる場合がある。これは、それぞれの地域でEVなど電動車を普及させることが目的だ。 背景には当然、「2050年までのカーボンニュートラル」がある。国としても、グリーン成長戦略やGX(グリーントランスフォーメーション)といった中・長期的な施策を掲げているのだから、地方自治体にもそうした考え方が浸透することは十分に理解できる。 具体的なアクションとしては、都道府県や市町村がそれぞれ、独自のCO2削減計画を策定し、そのなかでEVやプラグインハイブリッド車の購入や、充電インフラの設置費用に対する補助金制度を設けている。 そうした施策の一環として、一部では充電インフラを無償で利用できる場合もある。 こうした試みは、2010年代にもあった。当時、国は「EV・PHV(プラグインハイブリッド車の当時の表記)タウン構想」と称して都府県それぞれが日産「リーフ」や三菱「i-MiEV」などを公用車として購入したり、公共施設に普通充電器や急速充電器を積極的に設置した。そのときも「本格的なEV普及が始まる」というフレコミだった。 しかし、国や自動車メーカー各社の思惑に反して、EV普及の大波が起こらず。結果的に、地方自治体関連の施設駐車場に使われなくなったEVがホコリをかぶることも珍しくなかった。 充電インフラについては、耐用年数が過ぎても新規購入のための予算不足やそれまでの実績として当初予定よりも利用数が少ないなどの理由から、充電インフラを撤去するケースもあった。 そうした事態に対して、地域住民からは税金が正しく使われているのかという観点で、EV普及策に対する疑問の声が挙がることもあったことだろう。それが2010年代後半から2020年代前半にかけて、日本を含めてグローバルでのEVシフトが拡大するなかで、基礎自治体(市町村)も含めて充電インフラ拡充の動きが再び出てきた。 国からの補助金を得たベンチャー企業が、市町村と連携して各種施設での充電インフラ整備を進めるケースも増えてきている。 こうしたさまざま事例のなかで、住民が実質的に充電が無償になる場合もあるのだ。 ところが、ここへきて、欧州、アメリカ、中国では「EVシフトが踊り場に入った」と思われるような印象がある。それでも、中・長期的な視点では「2030年代にはEV普及が本格化する」との見方が日本の自動車メーカーの間でも主流だ。 地方自治体としては、今後のEVシフトに対する準備として、充電インフラを拡充し、利用に対する呼び水として一部で充電無償化を進めているところだが……。EVシフトの先行きが見えないいま、充電無償化に対しては地域住民からさまざまな意見や感想が出ることは致し方ないといえるだろう。

TAG: #充電 #無償化
TEXT:TET 編集部
過酷なダカールラリーで排気量998㏄の「水素小型エンジン」を鍛える! HySEが2025年の参戦を発表

水素小型モビリティの実現に向けた「仲間づくり」の一環として参戦 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、カワサキモータースやスズキ、ホンダ、ヤマハ発動機、トヨタなどの組合員により、水素小型エンジンの実現と普及に向けた研究を行っている技術研究組合水素小型モビリティ・エンジン研究組合(HySE : Hydrogen Small mobility & Engine technology)が、2025年1月3日から1月17日までサウジアラビアで開催されるラリーレイド競技「ダカール2025(通称:ダカールラリー)」に出場することを発表した。 出場クラスは、カーボンニュートラルに向けた次世代パワートレインの技術開発を目的として、2024年大会から設定された新たなクラス「Mission 1000 ACT 2」だ。ラリー期間中の走行距離は1日あたり約100kmに及び、それを10日間行うため総走行距離は約1000kkmに達する長期戦だ。 HySEが投入するマシンは、水素を燃料とする排気量998ccの水冷4ストローク直列4気筒スーパーチャージドエンジンを搭載した「HySE-X2」と呼ばれるオフロードバギー車。それを、ダカールラリーバイク部門における日本人選手の最高順位記録を保持し、四輪の市販車クラスT1での優勝経験を持つ池町佳生選手が操る。 HySEは、2024年1月に行われた前回大会に、水素小型モビリティにおける早期の課題抽出を目的として初出場。世界一過酷なモータースポーツといわれるダカールラリーにおいて、同年から新設された“Mission 1000”カテゴリーに、研究活動で用いているモーターサイクル用水素燃料エンジンを搭載した「HySE-X1」で参戦し、初参戦ながら最終日まで走り切ってクラス4位の実績を挙げている。 そして2回目となる今回は、新たな技術課題に挑戦するため、高回転域の出力特性の向上や低中回転域での燃費改善、水素タンクの増設など、HySE-X1からエンジンおよび車体をさらに進化させた「HySE-X2」が投入される。 HySEは、全世界で注目されるダカールラリーへの参加を通じ、HySEのプレゼンスや取り組みをアピールすることで、グローバルで業界の垣根を超えた水素小型モビリティの実現に向けた仲間づくりを進めていきたいと表明している。 水素小型エンジンを搭載する二輪バイクは、今年7月にカワサキが量産メーカーとして世界初の公開走行を実施したばかり。一方の四輪は、小型エンジンではないものの、日本国内で行われているスーパー耐久シリーズに、トヨタが水素エンジンを搭載したGRカローラで参戦し、24時間レースを含む耐久戦で実績を重ねている。さらに、かのル・マン24時間レースでも、水素エンジン搭載車を対象としたクラスの設立に向けた動きが活発化しており、大小の水素エンジンを開発するフィールドとして、モータースポーツがにわかに注目を集めている。 このように、ダカールラリーをはじめとした厳しい環境下で行われるモータースポーツは、極限状態での課題抽出や技術的なトライを繰り返し行うことが可能な、まさに「走る実験室」であり、水素エンジンの実用性向上、普及に貢献する。HySEのダカールラリー参戦が、今後の水素小型エンジンの実用化に向けた動きを、より加速させるものになることに期待したい。 ■水素燃料エンジン車「HySE-X2」の概要 全長×全幅×全高 :4000mm×2000mm×1900mm 車両重量:1,250kg エンジン種類/弁方式 :水冷4ストローク直列4気筒スーパーチャージドエンジン/DOHC 4バルブ 総排気量:998cc 水素タンク:70MPa×4本(2024年は3本、2025年は車体レイアウトを改良し4本に増設) 水素搭載量:7.2kg

TAG: #モータースポーツ #ヤマハ発動機 #水素
TEXT:小鮒康一
EVの走りはむしろ好き! エンジン車も同時に所有! それでもEVライフを終了した理由をオーナーが激白

EVの普及が進み充電待ちが発生 いまでもEVに対してアレルギー反応を示すクルマ好きは少なくないが、筆者はどちらかというとモーターで駆動するモデルに仕事で触れるたびに面白さを感じていた。 それもあって2017年にE12型のノートe-POWERを購入し、その代替車として2018年秋に2代目の日産リーフに乗り換えたのである。 ノートe-POWERを所有したことによってモーター駆動の楽しさが確信に変わったことで純EVに乗り換えたのだが、当時(いまもだが)自宅に充電環境が整っていないという大きな問題が存在していた。しかし、当時は定額で充電し放題というZESP2という充電プランを日産が用意していたため、「それならなんとかなるだろう」という気もちだった。 筆者が購入したリーフは40kWhのバッテリーを搭載するモデルで、急速充電を使って80%前後まで充電した際の航続距離は、季節にもよったが170~180kmくらいが安パイ。基本的にはこの航続距離の範囲で動き、よほどのことがない限りは継ぎ足し充電をしてまで遠出はしないようにしていた。 というのも、継ぎ足し充電前提で移動をすると充電の時間が必要になるのは当然ながら、充電スポットに先客がいれば簡単に数十分以上予定がずれ込んでしまうし、万が一充電スポットが故障などしていたら“詰み”になってしまう。 幸いにもリーフのほかにガソリン車を保有していたため、長距離移動が必要な場合はそちらを使うことにしており、航続距離についてはとくに不満を感じることもなかったというのがホンネである。 結局、そうやって外部の急速充電のみでの運用で4年弱ほどリーフに乗ったのだが、メーター上でセグ欠けが発生することも、航続距離が目減りすることもなく乗り続けることができた。 ではなぜリーフを降りることになったのかというと、それは充電し放題のZESP2のサービスが終了してしまったことと、EVが普及するにつれて自宅周辺の急速充電スポットが埋まっていることが増えてきたことが大きな要因だった。 もともと自宅で充電ができない筆者は外部充電に頼るしかなかったのだが、充電し放題サービスが終了するのはまだしも、充電待ちが発生する頻度が増えたのがなかなかのストレスで手放すことを決意したというのがじつのところだ。 そのため、「充電設備がないのにEVを乗るのはまだ早かった」といえ、今後、外部充電のコストと所要時間が大幅に圧縮されることがあれば再びEVに乗りたいとさえ思っている。 とはいえEVにはEVの、ICE(内燃機関車)にはICEのよさがあるため、人を乗せたいのに2シータースポーツカーを買う人がいないのと同じく、ユーザーの使い方に合わせてもっともマッチするものを選ぶのが間違いないだろう。

TAG: #カーライフ #所有

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