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電気代にも差が出る!
もちろん、この比較は大容量バッテリーを積むEVの車体は大きくなるので、電費が悪化するのは当然といえる。とはいえ、何倍ものバッテリー容量の増大は、そのまま車両重量の大幅な増加につながり、容量が増えた分だけ走行距離が同じように増えてはいないことを知るべきだ。
しかも、大容量バッテリーを車載するEVでありながら、それほど頻繁に遠出をするわけではないという使い方なら、同じ距離を走ったときの電力消費量が当然異なり、サクラなら1km走るのに使う電力は124Whであるのに比べ、アリア(B9の2WD)なら169Wh必要で、同じ距離の移動であるにもかかわらず、1.36倍の電気代がかかることになる。
そのうえで、EV充電の基本は、自宅などでの普通充電(200V)である。これが、100%まで安全に充電できる方法だ。かつ、リチウムイオンバッテリーを長もちさせる充電方法でもある。
バッテリー容量が増えれば増えるほど、普通充電による充電時間は長くなる。そこで、急速充電を多用して短時間で80%ほどの充電をすることを繰り返すことになれば、バッテリー劣化を促すことにつながってしまう。
もちろん、近年の三元系(ニッケル/コバルト/マンガン)電極を使うリチウムイオンバッテリーは、耐久性が高まっている。そう簡単に劣化しない。とはいえ、頻繁に長距離移動をする人以外は、自分が日々クルマを利用する走行距離を基本に、多少余裕を見たバッテリー容量のEVを選ぶのが賢いといえるだろう。
たまの長距離移動では、急速充電すれば済むと割り切るべきだ。さらにそれ以上の遠方であれば、鉄道や航空機を活用する道もあるのではないか。
その移動先で、EVのカーシェアリングを活用するという交通社会が生み出されることを、みんなで一緒に期待したいと思う。EVなら、屋内に入ることができるので、鉄道や航空機からの乗り換えをより容易で便利にするターミナルビルの新たな構想が誕生してもいい。そのほうが、ストレスも少なく、かつ経費も安く、さらには資源を無駄にしない、SDGsの社会であると思う。それこそ、石油を浪費した20世紀ではなく、電気を賢く使う21世紀の理想的な姿ではないだろうか。