コラム
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神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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史上稀に見る接戦に!

<3回目>

⚫︎2024BYDシール RWD
・草津PA上り→湾岸長島PA上り(150kW級急速充電器)
・走行距離:84.1km
・消費電力量:23%→6%
・平均電費:※6.04km/kWh(165.4Wh/km)
・外気温:28℃→29℃

BYDシール

⚫︎2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・大津スーパーチャージャー→名谷IC(折り返し)→大津スーパーチャージャー(250kW級急速充電器)
・走行距離:216km
・消費電力量:62%→3%
・平均電費:7.46km/kWh(134Wh/km)
・外気温:29℃→28℃

テスト結果

シールは最大105kWの充電出力に対応可能なため、90kW級での充電を最小限に切り上げて湾岸長島PAの150kW級でなるべく多くの充電を試みています。それに対してモデル3もすでに折り返し地点を通過し大津スーパーチャージャーの250kW級で充電しています。到着時点のSOCも3%まで減らすことができており、モデル3の最大充電出力である170kWを発揮することができています。

<4回目>

⚫︎2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・大津スーパーチャージャー→浜松スーパーチャージャー(138kW級急速充電器)
・走行距離:200km
・消費電力量:58%→0%
・平均電費:7.14km/kWh(140Wh/km)
・外気温:28℃→28℃

テスト結果

すでにシールは3回目の最後の充電を終了していますが、モデル3は航続距離が短いことで余分に充電する必要があります。その一方で、モデル3もタイムを少しでも短縮するために浜松スーパーチャージャーに0%で到着しています。ただし浜松は138kW級のV2スーパーチャージャーであるため、わずかではありますがモデル3の充電性能をフルに生かすことはできません。行きも含めてV2を2回使用したことが1000kmチャレンジ対決の結果にどのような影響を及ぼすのかに注目が集まります。

ちなみに当然のことではありますが、モデル3も4回の充電セッションで充電待ちを始めとして、充電エラーなどの挙動も一切確認されませんでした。その上、テスラスーパーチャージャーであれば、充電カードなどを必要としないプラグ&チャージ機能を実装しているため、ほとんど長距離を走らないようなユーザーでも簡単に充電料金決済まで完了することができます。やはり、急速充電の安定性や利便性の高さもテスラの強みのひとつです。

<ゴール>

⚫︎2024BYDシール RWD
・湾岸長島PA上り→海老名SA上り
・走行距離:297.5km
・消費電力量:73%→1%
・平均電費:※5.39km/kWh(185.7Wh/km)
・外気温:29℃→30℃

テスト結果

⚫︎2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+
・浜松スーパーチャージャー→海老名SA上り
・走行距離:194km
・消費電力量:72%→8%
・平均電費:6.29km/kWh(159Wh/km)
・外気温:28℃→30℃

BYDシールとテスラ・モデル3

結果としては、海老名SA上りに入る直前で、なんとシールの2台後ろにモデル3が付けていたという超接戦となり、ほんのわずかにシールが先にゴールするという決着を迎えました。というのも、シールはタイムを少しでも短縮するために湾岸長島PAでの充電をギリギリで切り上げたことによって、海老名SA直前でSOC1%表示となってしまい、少しスピードを落として走行。もちろん、湾岸長島PAでさらに数分間充電セッションを長く取っていたらモデル3に負けていた可能性もありますので、まさに史上稀に見る接戦であった様子が見て取れます。

また、1000kmチャレンジ対決での総合電費ですが、
・シールRWD:※179Wh/km(5.59km/kWh)
・モデル3スタンダードレンジ+:143Wh/km(6.99km/kWh)
となり、モデル3が大きくリードする結果となりました。今後、BYDとしては電費向上のために、より高効率な炭化ケイ素を採用するインバーターへの移行であったり、車両重量の軽量化などに着手する必要があるでしょう。

その上で、今回シールはすべての充電セッションで問題なく充電することができたものの、とくに150kW級は隣り合うEVが同時に充電を行うと充電出力がシェアされてしまい、最大でも90kW(=200A)しか発揮することができなくなってしまうという仕様であることから、もしより交通量の多い時間帯に検証を行えば、充電にさらに時間を要する可能性も十分考えられます。

BYDシールとテスラ・モデル3

いずれにしても、今回のBYDシールとテスラ・モデル3の1000kmチャレンジ対決は、BYDシールの絶対的な航続距離の長さと安定した充電性能と、モデル3と同じような長距離走破性能が明らかになったと思います。今後、150kW級超の急速充電器の設置がさらに進む計画もあることから、シールを使用してさらに安定した長距離走破性能を実現できることも間違いありません。テスラの安定した長距離走破性能とともに、チャデモ規格の充電ネットワークの進化、そしてチャデモ規格のEVの進化も実感できる結果になったのではないでしょうか?

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