#電費
TEXT:高橋 優
北海道から埼玉まで1350kmを中国のEV「BYDシール」で走破! EVが苦手な極寒のなかで性能はどうなる?

BYDシールで片道で約1350kmの超長距離走行! 1月末から2月上旬にかけて、BYDシールAWDを使用して真冬の北海道のEV性能や北海道の充電インフラを調査する「北海道遠征」。今回は復路として北海道の札幌までの充電や電費などについて徹底リポートします。 まず、今回北海道に上陸するにあたって、茨城県からフェリーに乗る(苫小牧港へ)という選択肢を使わずに、基本的に陸路を走行。青森市の青森港から函館港はフェリーに乗せて、函館から日本最北端・宗谷岬を目指すという行程を設定しました。 スタートの埼玉から青森港まではおよそ700km、函館から宗谷岬も650km程度、全行程は片道で約1350kmという、日本国内で考えられうる超長距離走行の限界に挑みます。しかも1月末の真冬の環境下ということもあり、EVにとっては非常に厳しい走行条件となることから、電費性能がどれだけ低下してしまうのか、さらには冬場における充電スピードの低下などのリアルをリポートしたいと思います。 *装着タイヤ ・235/45R19 ・Nokian Hakkapeliitta R5(スタッドレスタイヤ) ・空気圧:2.5/2,9(前輪/後輪)(適正値2.5/2.9) *走行の前提条件 ・追い越しを含めて制限速度の最大10%までを許容 ・暖房は23℃オート ・走行モードはノーマルモード、積雪路面のみスノーモード使用 【走行1】札幌市街→函館市街(90kW充電器) ・走行距離:347.7km ・消費電力量:98.5%→2.7% ・平均電費:220.4Wh/km(4.54km/kWh) ・外気温(札幌→函館):-4℃→-6℃(最低-11℃) 札幌市街から函館市街まで350kmを無充電で走破することができました。さらに、函館には2本出し90kW級急速充電器がコンビニに設置されているので、24時間365日開放されていることは当然として、さらに雪国における除雪の問題も心配ありません。フェリーの出航まで時間があるのでここでしっかり充電することができました。 ちなみに今回のシールにかかわらず、冬場にEVで長距離移動を行う際は、車両を長時間駐車する前に急速充電することをオススメします。というのも、車種にかかわらず低温環境下に放置するとバッテリー温度が低下して、急速充電性能が低下してしまいます。 よって、たとえば宿泊先に普通充電がなく、翌日も長距離を走行する場合は、宿泊施設に到着する前の電池が冷える前に急速充電を行う方がベターなのです。もちろん宿泊施設に普通充電があるのがベストではあります。 【走行2】青森市街→紫波SA(90kW充電器) ・走行距離:195.6km ・消費電力量:77.6%→4.1% ・平均電費:300.6Wh/km(3.33km/kWh) ・外気温(青森→紫波SA):-2℃→-3℃(最低-9℃) 東北自動車道最北に位置する90kW充電器に到着しました。盛岡市内に入るまでは断続的に降雪があり、路面状況は圧雪ですので電費に悪影響を与えています。最低気温もマイナス10℃近くまで低下しているものの、やはり昨年検証したテスラ・モデルYパフォーマンスと比較してもかなり電費が悪いように感じます。 この紫波SAの上下線には1月末に90kW充電器が新設されたので、これまで設置されていた50kW級と比較すると充電にかかる時間を大幅に節約できています。じつは北海道遠征の往路では紫波SA下り線にはまだ90kW級充電器の設置工事が行われており、その往路との比較という観点でも90kW級以上の急速充電器の重要性を痛感できました。

TAG: #長距離 #電費
TEXT:まるも亜希子
やっぱりエアコンの使用は電力消費がかなり激しい! 冬場のEVでバッテリーを温存しつつ快適に暖を取る方法とは?

暖房器具の活用が有効! EVにとって冬は苦手な季節といわれます。理由としては、リチウムイオンバッテリーの温度が低下するとバッテリー内で生成できる電気量が減少してしまうことや、充電効率が低下してしまうことなどが挙げられます。エンジン車のように人を温めるヒーターに使える熱源がなく、すべてバッテリーの電力でまかなう必要があるため、そのぶん航続距離が短くなる傾向にあることも苦手といわれる理由となっています。 事実、EVが市場に出たばかりのころは、寒いからといってエアコンを使いすぎてしまうと航続距離が減ってしまうため、ダウンコートのなかにカイロをたくさん貼り付けて暖を取り、エアコンはオフにしたまま走っているEVユーザーも見かけたほど。まだバッテリー容量が小さく、効率もいまほど進化していなかった時代は涙ぐましい努力をして航続距離を稼いでいたのです。 実際、冬場にEVでエアコンの暖房を使った場合と使わなかった場合では、バッテリー残量にどれくらいの差が出るのでしょうか。JAFユーザーテストで同一車種のEV4台を使って行ったテストがあります。テスト車1はエアコンを25度オートに設定。テスト車2はエアコンはオフのまま電気ソケットから電気毛布を使って暖をとりました。テスト車3はエアコンはオフのまま純正シートヒーターと電気フットヒーターを併用。テスト車4は普通の毛布のみで、体感に応じてエアコンのオン/オフを使用。 この条件で夜7時〜0時までの5時間、バッテリー残量70%の状態からシステムオンで検証した結果は、テスト車1の残量が38%。テスト車2は66%でもっとも残量が多くなりました。テスト車3と4はどちらも60%とまずまずの残量をキープ。ただし、テスト車1以外は決して快適といえる暖かさではなく、部分的な寒さに耐えていたとのこと。 この結果からわかるのは、やはり快適なのはエアコンの暖房を使うことなのですが、航続距離を少しでものばしながら暖を取りたいならば、ステアリングヒーターやシートヒーターを併用したり、電気ソケットからの電源で使える暖房器具を活用する方法が有効だということがわかります。

TAG: #冬 #電費
TEXT:御堀直嗣
EVで電費を上げるコツはまず「モーターの種類」を知ること! 「滑空」と「回生」のどちらが効率的かはクルマによって異なる!!

EVの最大の特徴は回生 電気自動車(EV)の性能について、エンジン車と同じ指標で比較し、充電時間が長いとか一充電走行距離が短いなどの不満がいまだ聞かれるのは残念だ。EVの価値は、エンジン車と違う視点で語られるべきであるし、たとえばモード走行によるカタログ数値も、エンジン車と同じ運転の仕方で数値化されることの不都合があると思う。 EVの最大の特徴は回生だ。回生とは、消費したエネルギーを回収することを意味する。もちろん、100%の回収はあり得ないが、かなり多くの回収ができることを忘れてはならない。 逆にエンジン車は回生機能がない(一部、モーター機能付き発電機ISGを装備する車種では部分的に可能)。減速は、ブレーキによってエネルギーを熱に変え、大気中へ捨てるしかない。ほかに、アクセルペダルを戻せば、空気抵抗で徐々に速度が下がるくらいだ。つまり、加速で使ったエネルギーを取り戻す手段がなんらないのである。 しかしEVは、モーターと発電機が同じ機構であることを利用し、減速で発電してその電力をバッテリーへ戻せる。これを利用して、バッテリーの充電残量を加減することができる。これを最大に利用できるのが、アクセルによるワンペダル操作だ。停止までできれば申し分ない。そして、緊急事態を除き、ブレーキの使用を減らせば、使ったエネルギー(電力)を、無駄に大気中へ逃がしてしまうことを防げる。 発進から停止まで、ほとんどの運転操作をアクセルペダルだけで済ませられる運転をすることが、バッテリー充電量の減りを抑え、より長距離を走り続けられるようにするコツだ。 そのために、日産サクラを運転する際に私は、e-Pedalのスイッチを入れっぱなしにしている。一般道だけでなく、高速道路でも同様だ。これによって、ETCゲートを通過する際の減速も、回生で行うことができる。 また、シフトレバーは、一般道ではBレンジ、高速道路ではDレンジで走っている。一般道のほうが発進・停止を頻繁にするので、より回生が強く機能するBレンジを選んでいる。高速道路では、ETCの通過などでは強い減速を期待するが、それ以外は若干の速度調整が主体の、ほぼ一定速度での走りになるので、回生が強く働き過ぎないようDにしている。それでも、交通の流れ次第で速度の上下は若干あるので、e-Pedalを使い続ける。

TAG: #運転 #電費
TEXT:高橋 優
神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!

日本で買えるEVセダン2台を比較 BYDのフラグシップEVであるシールとテスラ・モデル3で、米中EVセダン1000kmチャレンジ対決を行いました。とくにスーパーチャージャーを使用するモデル3と比較して、公共の充電インフラのみを使用するシールがどれだけ短時間で走り切ることができたのか? 途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。 まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。 *走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ BYDシール:加古川北IC(兵庫県) テスラ・モデル3:名谷IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県) *走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ(シール・モデル3共に21℃オートに設定) ・追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・シールは当該トリップの電費情報が表示されません。他方で直近50kmの区間電費が表示されるので、50km毎に電費をメモ。すべてを平均して電費を概算 *主要スペック ⚫︎ 2024 BYDシール RWD ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):82.56/約81kWh ・航続距離テスト結果:588km(外気温平均28.5℃) ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:105kW/40.5分 ・値段(CEV補助金):528万円(45万円) ※値段は2024年9月時点。さらに初回1000台限定で33万円の値引きキャンペーン中。 ⚫︎ 2021 テスラ・モデル3スタンダードレンジ+ ・搭載バッテリー容量(グロス/ネット):55/50kWh(新品状態のネット値は約52.5kWh) ・航続距離テスト結果:420km(外気温平均22℃) ・最大充電出力/SOC 10-80%充電時間:170kW/22分 ・値段(CEV補助金):531.3万円(65万円) ※値段は2024年9月時点でのモデル3 RWDグレードの値段設定から引用。 *装着タイヤ ⚫︎2024BYDシール RWD ・235/45/R19 ・コンチネンタルEcoContact 6 Q ・空気圧:2.5(前)2.9(後)(適正値2.5/2.9) ⚫︎ 2021テスラ・モデル3スタンダードレンジ+ ・235/45/R18 ・ミシュランパイロットスポーツ4(※エアロホイールのみ社外品) ・空気圧:2.9(適正値2.9) 充電回数ごとにそれぞれのEVの区間電費などのデータをまとめていきます。 <1回目> ⚫︎2024BYDシール RWD ・海老名SA下り→湾岸長島PA下り(150kW級急速充電器) ・走行距離:297.9km […]

TAG: #長距離 #電費
TEXT:烏山 大輔
エコランではなくガチ計測!THE EV TIMES流の電費計測を開始

BEV(バッテリー電気自動車)を購入するにあたり、不安な点と言えば充電環境に加えて、まだまだ不充分とされる航続距離だ。 カタログには一充電走行距離の値を明示してある。しかしEVが実際に使われる現場は、そうした値が記録される平坦で一定なテストコースではなく、勾配もカーブもある。 そこでTHE EV TIMESでは、試乗や撮影で広報車を借り出す機会に乗じて、公道の高速道路で「生きた」電費を計り、読者の皆さんの参考になる電費を導き出したいと考えた。 計測方法 高速道路をACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使用し、80km/h、100km/h、120km/hの各速度で巡航した電費を計測する。ACCを使用することで、誰でも一定速走行を実現できるので、読者の皆さんの再現性も高いものとなる。 なお、同じ区間の往路と復路を同じ速度で走行することにより、勾配(標高差)を平準化しており、往復距離を往復で消費した電力で割って区間電費としている。同じ速度の別区間(AとD、BとC)との平均電費も走行距離を消費電力で割って算出している。 計測区間に入ったらすぐにACCを巡航速度に合わせ、電費をリセットし計測区間終了直前の電費を記録する。 なお、車両のメーター速度表示と実際の速度には差があるため、GPSで実速度を確認しACC設定速度を調整、正確に各巡航速度で走行できるようにする。こうすることでメーター80km/h巡航においてA車は実速度78km/h、B車は実速度が75km/hで、実はB車の方が有利だったという不公平をなくす。 そして計測は、交通量が少なく渋滞が発生する可能性の低い深夜に実施する。 計測区間 120km/hの電費を計測するため、現状では国内で最も制限速度120km/h区間の長い新東名高速道路(以下、新東名)を利用するため、東名高速道路(以下、東名)と新東名を使用することにした。 実際の制限速度を踏まえ、かつ各速度で往復の走行距離を約100kmに合わせるため、下記の5区間を設定した。 A区間: 東名川崎IC(標高47m)ー厚木IC(標高22m) 100km/h、距離27.4km、標高差25m   B区間: 厚木IC(標高22m)ー秦野中井IC(標高107m) 80km/h、距離15.1km、標高差85m   C区間: 秦野中井IC(標高107m)ー御殿場IC(標高454m) 80km/h、距離33.6km、標高差347m D区間: 御殿場IC(標高454m)ー駿河湾沼津SA(標高138m) 100km/h、距離23.3km、標高差316m E区間: 駿河湾沼津SA(標高138m)ー新静岡IC(標高71m) 120km/h、距離47.8km、標高差67m 80km/h巡航区間距離:片道48.7km、往復97.4km 100km/h巡航区間距離:片道50.7km、往復101.4km 120km/h巡航区間距離:片道47.8km、往復95.6km 標高差の多寡による電費の差を確認するため、80km/h区間はあえてB区間(標高差85m)とC区間(標高差347m)に分けている。 100km/h巡航もA区間は標高差25mとほぼ平坦だが、D区間は316mもあり、この2区間の差にも注目だ。 120km/h巡航は確実に電費が悪くなることが考えられるが、各自動車メーカーはBEV化にあたり、ドアハンドルをグリップ式からフラップ式や格納式にしたり、メルセデスはEQシリーズにワンボウ・デザインを採用するなど空力性能を突き詰めており、EQSセダンに至っては量産車世界初のCd値0.20を達成している。 さらに欧州では120km/h以上の速度域での移動の場面も実際に考えられるので、欧州車、中でも特にアウトバーンのあるドイツ車が120km/h電費の「落ち度」が少ないかどうかなど、何か見えてくるものがあるかもしれないと思い、120km/hの電費計測にも臨む。  

TAG: #航続距離 #電費 #電費計測

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