コラム
share:

電費は抜群! 充電性能も文句なし! BYDシールの実走行テストでわかったEVとしての高い能力


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

想定を上まわるスペックを実現していた

【総評】

まず、航続距離テストについて、外気温は平均28.5℃程度だったこともあり、EVの電費という観点ではまずまずのコンディションだったはずです。そして、シールRWDのもっとも信用に値するEPAサイクルにおける航続距離はアメリカで発売されていないため不明なものの、時速100kmで高速を巡航すると、おおむね500km程度は走行できるのではないかと推測していました。よって当初の想定をはるかに上まわるスペックを実現できているという点で、シール RWDのリアルワールドにおける電費性能の高さが際立つ結果になったと思います。

BYDシールのフロントスタイリング

次に充電性能テストについて、150kW級急速充電器を使用した場合、充電時間は40.5分程度を達成。他方で、90kW級を使用した場合、充電時間は47分とやや長くなっています。他方で、海外仕様のシールについては、最大150kW級の充電出力を発揮可能であり、日本仕様がわずかにデチューニングされているという点は、チャデモ規格への対応の問題点を浮き彫りにする結果になったとも感じます。

そして、30分間の充電時間で回復可能な航続距離を、航続距離テストの結果である588kmから概算すると、およそ305km。30分充電すると300km分程度の航続距離を回復できるとイメージしてみると、必要にして十分な充電性能であると感じる方も少なくないかもしれません。

※SOC11%からブーストモードの上限15分間充電を行った場合、105kWの充電出力が一貫して持続。約25.7kWh充電され、SOC39%まで回復。

BYDシールのモニター

また、私がEV性能とは別の評価軸として独自設定している6つの項目についても確認しましょう。

・乗り心地:7/10ポイント
AWDのみ設定されている可変ダンパーなしでも段差の突き上げは少ない。スポーツセダンとしてはフワフワ感強めに感じるかも?

・静粛性:7/10ポイント
100km/h巡航でわずかに風切音あり。とくに競合のモデル3対比では静粛性で劣る。

・自動運転支援機能:6/10ポイント
前車追従は悪くないもののレーンキープの精度が低い。今後採用される見込みの最新ADAS「God’s Eye」に期待。

・音響性能:7/10ポイント
Dynaudio 12スピーカーシステム(サブウーファーあり、システム出力775W)
重低音はパンチあり。他方で高音域のクリア感に欠けるのでバランスはあまりよくない。日産アリアのBOSEシステムに似た音響システム。

・回生ブレーキのフィーリング:5/10
シールはワンペダルドライブ不可。回生力も弱くブレーキペダルを多用せざるを得ない。さらに、停止直前に摩擦ブレーキとの兼ね合いか、どうしてもカックンブレーキになってしまう。

・小まわり性能:6/10
最小回転半径は5.9mとホイールベースが2920mmであることもあり、取りまわしはよくない。他方で全幅が1875mmとそれほど大きくないので、都心部でもさほど気にする必要はない。むしろ2100kgの車重による機械式駐車場への対応のほうが問題?

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
みんな大好き「フィアット500」に100個の魅力をプラス! 新型EV「フィアット600e」が日本デビュー
8月の輸入車BEV登録台数のトップをBYD「SEAL」が奪取! BYDの月間登録台数も過去2番目の好成績
100%EV化に向けた「目標の調整」イコール「EV失速」は早とちり! ボルボの目標は揺るがない
more
コラム
電費は抜群! 充電性能も文句なし! BYDシールの実走行テストでわかったEVとしての高い能力
BYDシールで1000km走って「充電性能の安定性」に衝撃! リアルワールドでも「コスパ最強」が証明された
日本で発売直後なのに中国では年次改良で新型登場! BYDの新型SEALの実力がヤバい
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
目のつけどころが「シャープ」なEVコンセプト発表! 「LDK+」を「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」で公開
1万km走行相当の利用券が10名に当たる! テスラがスーパーチャージャー10周年を記念したキャンペーンを実施
免許がなくても参戦できる! マツダが「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP 2024」を開催
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択