アルファ初のBEVモデル その気になる中身とは?
ジュニアには大別すると2種類のパワートレインが用意され、それぞれにグレード名が冠される。ひとつは1.2リッター3気筒ミラーサイクルエンジンをベースに、48Vリチウムイオンバッテリーと21kwの電気モーターで構成された48VハイブリッドVGT(可変ジオメトリーターボ)を搭載する「イブリダ」で、前輪駆動と四輪駆動「Q4」のモデルが設定された。もうひとつのパワートレインは、アルファロメオ初の電気自動車となる54kWhのバッテリーを備えたBEVモデル「エレットリカ」だ。どちらもイタリア語でハイブリッドを意味する「IBRIDA」と電気を意味する「ELETTRICA」だから名は体を表していてわかりやすい。
今回、イタリアで発表された初期のラインアップは次の通りだ。ハイブリッドモデルを意味する「イブリダ」には前輪駆動で136馬力のイブリダと、同出力ながら自動後輪駆動アクスルマネジメントを搭載した四輪駆動モデルのQ4イブリダが用意される。
BEVモデルを意味する「エレットリカ」も156馬力のエレットリカと、出力を240馬力に高めたエレットリカ ヴェローチェの2グレード構成だ。後者には専用装備が与えられ、ジュニア全体のフラッグシップ的な意味合いをもつグレードに仕立てているようだ。
そして、ハイブリッドとBEVの両モデルで3種類のパッケージオプションが設定された。自動運転レベル2に相当する機能や、ハンズフリー電動テールゲートなど、安全性とテクノロジー、機能性を重視した「テクノ」。合成皮革とファブリックをブレンドしたインテリアや、マッサージ機能付き電動運転席など、高級感と快適性を高めた「プレミアム」。アルカンターラの内装とスポーティな専用エクステリア、サベルト製シートが選べる「スポーツ」の3種類で、以上が発表時の本国仕様となっている。
走りの面では、ジュリアGTAの開発に携わったチームが開発を行った。14.6のギア比をもつステアリングにより、セグメントのなかでもっともダイレクトで、優れたロードホールディング性能を実現したという。エレットリカ ヴェローチェは、専用のスポーツサスペンションにより車高が25mm低くなるだけでなく、フロントとリヤのアンチロールバーはグリップを高め、素早くコーナリングするためにさらにスポーティな設定が施されている。4ピストンのモノブロックキャリパーと、380mmの大径フロントブレーキディスクによる強力なブレーキ性能、20インチの電気自動車専用チューニングのハイパフォーマンスタイヤなどが相まって、アルファロメオならではのスポーティネスを備えた、他に類を見ないコンパクトカーに仕上がったと豪語する。
ジュニア エレットリカの航続性能は、「削ぎ落したテール」デザインがもたらす優れた空力性能と、プレミアムコンパクトカーのなかではもっとも軽い車重により、WLTPモードで410kmに達するという。また、100kWのDC急速充電ステーションを使用すれば、バッテリー残量10%から80%まで充電するのに30分も要しないと発表されている。トランクスペースもセグメント最大の400Lを確保したと言い、スポーティさと便利さの両立が図られたプレミアムコンパクトに仕上がっている。
日本にはいつ頃上陸を果たすのか、現時点では発表がないものの、ステランティスという巨大グループにアルファロメオが属したことで、ブランドの個性を存分に発揮するに至ったのだから、古くからのアルフィスタは経営統合に感謝するほかないし、何より上陸が待ち遠しい。同グループでアルファロメオと双璧を成すフランスのDS然り、今後ますますグループ内の伝統ブランドが個性を押し出してくることに期待したい。