ポルシェらしい性能と他にない機能でライバル急追
動力性能についても抜かりがなく、マカンターボエレクトリックの場合、最高出力470kW、最大トルクは1130Nmに到達します。これにより、0-100km/h加速が3.3秒、最高速度も時速260kmを実現。これは、ポルシェの最速SUVであるカイエンターボGTと同等の加速性能であり、この数値だけを見ても、ポルシェの本気が見て取れるわけです。
そして、このマカンエレクトリックについては、PPEという新たなEV専用プラットフォームを初採用しながら、ポルシェアクティブサスペンションマネージメント、PASMと名付けられたエアサスペンションシステムも搭載されています。そのうえ、後輪操舵機能も搭載され、最大5°の切れ角を実現、街なかの取りまわしのよさとともに、高速走行における直進安定性も両立しています。
さらに、ボンネット下の収納スペースであるトランクについても84リットルと、ゆとりのスペースを確保しています。
インテリアについてもBurmesterの21スピーカー、1470Wを発揮する豪華なサウンドシステムであったり、中央の10.9インチのディスプレイとともに、助手席用の10.9インチのディスプレイも搭載し、サードパーティ製のアプリをダウンロード可能とすることで、エンタメ性能を強化しています。
ドライバー向けには、87インチのARヘッドアップディスプレイも搭載されることで、視線移動を少なく抑えて、運転に集中することが可能になります。
そこで、とくにポルシェがベンチマークに据えてきていたであろう、世界でもっとも売れている電気自動車ブランドであるテスラ・モデルYとのEV性能を比較してみたいと思います。
まず航続距離については、バッテリーを多く搭載している分だけマカンのほうが長い航続距離を確保しています。
充電性能については、確かに800Vシステムを採用していることで海外仕様はマカンに軍配が上がるものの、日本国内では最大135kW程度に制限される見通しですので、充電時間という観点では、モデルYとまったく同様の性能となりそうです。
ただし、充電インフラについては、ポルシェPCAを使用可能ですので、テスラと比較しても、公共の90kW級以上の急速充電器とPCAをうまく併用することで、テスラと同等の充電体験を提供することができると思います。
動力性能については、さすがポルシェというべきか、ターボではモデルYパフォーマンスを凌ぐ動力性能を実現しています。
車両サイズについては、まさにモデルYと瓜ふたつのようなサイズ感であり、さすがに車両重量や収納スペースではモデルYに軍配が上がるものの、モデルYにはないエアサスペンションや後輪操舵機能を搭載してきているという点もポイントで、このように比較してみると、ポルシェが相当にモデルYをベンチマークにして開発を行ってきていることが見て取れるわけです。
すでに発表されている海外市場の値段設定を含めると、おそらく日本国内では1100万円程度からのスタートになるのではないかと推測可能です。これは、内燃機関車モデルにおけるマカンSと似たような値段設定となる見込みです。動力性能などを総合すると、ポルシェのEVとしては非常にリーズナブルな値段設定であると感じます。
このように、今回ポルシェのバッテリーEV第2弾であり、じつはソフトウェアの開発遅延によって発売が1年ほど遅れていた、マカンのEVバージョンであるマカンエレクトリックに関しては、現在プレミアムSUVに求められているEV性能、動力性能、装備内容などを徹底的に押さえてきたことによって、2024年で極めて注目に値するEVに仕上げてきたわけです。
このなかで、日本市場という観点においては、売れ筋のマカンのEVバージョンであるということ、PCAという独自の充電ネットワークを有しているということ、現在のプレミアム電動SUVのベンチマークであるモデルYにはない、エアサスや後輪操舵機能が搭載されているということに要注目です。
これらを総合すると、日本でも非常に注目度の高いEVとなるといえるでしょう。
いずれにしてもゆくゆくは、実際にマカンエレクトリックの長距離テストを実施し、競合となるモデルYと性能を比較痛いと思っています。また、モデルYのアップデートバージョンとして2024年末までの導入が見込まれるジュニパーも含め、このマカンエレクトリックに関する日本仕様の最新情報がわかり次第情報をアップデートしていきたいと思います。