電気自動車による自動車競技「フォーミュラE」が2024年3月30日(土曜日)、フォーミュラEシリーズ10の第7戦として東京沿岸部の東京ビッグサイト周辺の公道を使って開催されることが正式に決まった。開催における課題を分析する。
日本モータースポーツ界における歴史的な快挙
フォーミュラEの公式ホームページで2023年6月20日、24年3月の東京開催が明らかになった。
その中で、小池百合子 都知事からは東京都が推進している環境施策「ゼロエミッション東京」を前提にして、フォーミュラE開催を歓迎する旨のコメントも掲載された。
フォーミュラEは2014年に始まった、バッテリーを搭載し100%モーターで駆動するフォーミュラカーレース。F1(フォーミュラ1世界選手権)やWRC(世界ラリー選手権)、WEC(世界耐久選手権)等と同じく、FIA(国際自動車連盟)が管轄する世界選手権である。
今回の東京開催は、モータースポーツの観点から見れば日本における歴史的な快挙である。ラリーを除く競技として大規模な公道レースが日本で開催されるのは、今回が初めてとなるからだ。
これまで、F1については横浜やお台場などで、またアメリカのインディカーについては北海道の小樽での開催が検討されたことがあった。だが、観客に対する安全確保や、一般交通を遮断すること等を理由に、地元の警察が実施を許可するに至らなったと言われている。
また、主催者やプロモーターの視点では、公道レースでは仮設スタンドによる集客数が既存の大型レース施設と比べると少ないため、入場料収入の確保についてハードルが高い、というのがモータースポーツ興行における一般的な解釈でもある。
さらには、騒音や周辺での渋滞を懸念する声が地元住民から上がることも珍しくない。
そうした公道でのモータースポーツに対するネガティブな要因を伴う考え方を覆すかのように今回、フォーミュラEの東京開催が決定した最大の理由は何か?
それは、「2050年でのカーボンニュートラル」という、東京都における大義名分だと思う。
東京都は2019年12月27日、2050年にCO2排出実質ゼロの貢献する「ゼロエミッション東京」を宣言。これまで、水素戦略、BEV(電気自動車)やEVバイクの普及促進などを積極的に行ってきた。
フォーミュラEの東京開催は、「ゼロエミッション東京」にとってシンボリックな存在になることが期待される。