コラム
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200kmごとに水素ステーションが整備される欧州でBMWが燃料電池に取り組む理由


TEXT:小川 フミオ PHOTO:小川フミオ、BMW
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(左から)清水和夫氏、トヨタ自動車・水素ファクトリー・プレジデント 山形光正氏、日本水素ステーションネットワーク合同会社代表社員職務執行者 吉田耕平氏、住友商事・水素事業部 相原美歩氏、BMWグループ 燃料電池車プロジェクト責任者 ユルゲン・グルドナー氏

 

EUは200kmごとの水素ステーション設置を義務化

下記は一問一答の形式で、水素を使う燃料電池車をめぐる、ドクター・グルドナーとのやりとりだ。

ーーゼロエミッションビークルについては、BMWは従来からBEV(バッテリー駆動のEV)に力を入れていますが、水素を使うEVである燃料電池車を開発している理由を教えてください。

「テクノロジー的にどちらも補完関係にあるのです。乗用車から大型トラックまで、従来のICE(エンジン車)をみた場合、BEVはほとんどの使用事例に適合しますが、すべてではありません。たとえば、大型バッテリーは大型トラックには合いませんし、充電施設が少ない地域もあります。充電時間が長すぎると感じるユーザーもいますし、寒冷地域のユーザーは航続距離が短くなることを望みません。タクシーには燃料電池のほうが向いているし、欧米に多い、牽引を定期的に利用するユーザーもそうです」

ーー燃料電池の導入プログラムは現実的でしょうか。

「EUでは、2030年末までに、人口10万人規模の都市はその周辺に水素ステーションを200キロごとに設置することを義務づけています。最初は商用車が中心ですが、この水素ステーションのなかには、乗用車用の700バール拠点も含まれていて、数にすると600以上の水素ステーションが見込まれています。従来のサービスステーションからのコンバートが容易であることや、少なくとも欧州では日本のように特別な資格(国家試験である高圧ガス製造保安責任者試験に合格した高圧ガス保安監督者)なしで、ドライバーが自分で充填できるし、ステーションは24時間空いています」

そうなると、燃料電池車がぐっと身近な存在に感じられてくる。BMWではEUと歩を揃えて前に進んでいるのだ。そうは言っても、BMWは商用車を作っていないではないですか、と指摘すると、ドクター・グルドナーは「そこにコラボレーションをする意味があるのです」と語るのだった。

次回へ続く

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