#燃料電池車(FCEV)
TEXT:小川 フミオ
オープンスポーツ「Z4」の燃料電池車だって作ってみせる!BMWが燃料電池車に懸けるアツい想い

BMWは2020年代後半に燃料電池車(FCEV)の発売を予定している。同社はなぜここまで水素にこだわるのか。そこには不確実な未来に向けて、BMWが考える戦略があった。 多様な電動化戦略 水素を近未来の燃料として有力視するのが、ドイツのBMWだ。さきごろ、「ジャパンモビリティショー2023」で、燃料電池車「iX5ハイドロジェン」をお披露目したBMWでは、これから電気と水素を両輪として進めていくと明言している。 私が以前、インタビューしたBMW取締役会のオリバー・ツィプセ会長は、「BEV(バッテリー駆動のEV)はあるところで頭打ちになる可能性がある」としていた。 南ヨーロッパは充電設備が少ないし、そもそもEVが普及していない地域で充電ステーションを建てても赤字になってしまう。なので、EVの普及がある台数に達すると、収益性が低くなる問題を引き起こす可能性が高い……それが指摘だった。 BMWが水素を使う燃料電池の開発を続けているのは、それだけでない。EUをはじめ、世界各地で水素燃料補給ステーションのネットワークが構築されつつあることもふまえ、多様な電動化戦略に合致しているというのだ。 そこまでは理解できる。しかし……と私は思う。乗用車、それもプレミアムクラスのスポーティなモデルに特化しているBMWが、そこまで水素に入れ込む意味はあるのだろうか。それこそ収益性の問題はクリアできるのだろうか。 「それはあります」。そう答えてくれたのは、水素技術におけるジェネラルプログラムマネージャーを務めるBMWのドクター・ユルゲン・グルドナーだ。下記に、ドクター・グルドナーとの一問一答の続きを記していこう。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
TEXT:小川 フミオ
200kmごとに水素ステーションが整備される欧州でBMWが燃料電池に取り組む理由

ジャパンモビリティショーのBMWブースにはFCEV(燃料電池車)の「iX5ハイドロジェン」が展示されている。JMS開幕前日に燃料電池車の開発を進めるBMWとトヨタ関係者によるシンポジウムが開かれていた。この催しに参加した小川フミオ氏のレポートをお届けする。 再エネでグリーン水素製造が理想的 BMWジャパン(正式にはビー・エム・ダブリュー株式会社)は、水素を燃料とするFCEVの実証実験を、2023年7月25日から開始している。 その車両「iX5ハイドロジェン」を、私も、2022年にアントワープでの国際試乗会でドライブしたことがある。 なんでアントワープだったかというと、巨大な港湾都市であり、船舶や大型貨物車の次世代燃料として、水素が有力視されていて、水素ステーションも増えているため相性がいい、と説明された。 水素を解析して、イオンを取り出し、それを電気エネルギーとしてバッテリーに充電してモーターを駆動する。つまり、水素を燃料とした電気自動車である燃料電池車のiX5ハイドロジェン。 アントワープを走り回ったところ、好印象。トルクがたっぷりあって、加速はスムーズ。燃料としての水素と、窒素化合物の排出ゼロの燃料電池車の可能性を実感させてくれるものだった。 そんななか、「ジャパンモビリティショー2023」開催とタイミングを合わせて、BMW本社で、水素技術におけるジェネラルプログラムマネージャーを務めるドクター・ユルゲン・グルドナー(Dr. Juergen Guldner)が来日した。 ショー開催前の10月24日には、ジャーナリストを招いて「燃料電池車をテーマとしたシンポジウム」が、BMWジャパン主催で開催され、2011年より基礎研究を共同で行っているトヨタ自動車の担当者らも出席。 モデレーターを務めたジャーナリストの清水和夫氏が「風力などで発電した電気の貯蔵は喫緊の課題で、電気から水素を作り(グリーン水素などと呼ばれる)エネルギーとして使うのがひとつの理想型」とするなど、可能性が示唆されたのも印象的だった。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
ホンダ・クラリティFCEV(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏
「ホンダ・クラリティFC」で水素の燃費を実測……エンジン車より良いのか悪いのか!?

燃料電池車「ホンダ・クラリティFC」で「ジャパンEVラリー白馬2023」へ参加した筆者が電費を計測。はたしてFCEVはガソリン車に比べてお得といえるのだろうか。 イベント終了、無事帰還できるか 「ジャパンEVラリー白馬」の模様は前回で締めたわけだが、最後に肝心なことをレポートしなければならない。白馬村から自宅まで「クラリティ FUEL CELL」で帰らねばならないのだ。 バッテリー式EVの充電インフラに比べてまだまだ無いに等しい状態の水素の充填インフラである。無事に帰還することができるのだろうか。 イベントの試乗などに使用し街乗り燃費を測定 帰路の基本的なルートは往路と一緒だ。イベント終了後「白馬五竜」の駐車場を出て、まずは約50km先の長野の水素ステーションを目指す。 「白馬五竜」の駐車場からステーションまでのおよそ50kmの燃費は196km/kg。これまでの最高燃費を記録している。50km/hの道路を順調に走行できたからだろう。およそ5kg入るクラリティの水素タンクが満タンなら約1,000km走れることになる。 チャージ前の航続可能距離は414kmを示しており、数字上では自宅まで無事に帰れる。しかし渋滞などを考えると、およそ220km先の自宅最寄りの水素ステーションまでそのまま走るのは不安であるため、予定通り水素をチャージすることにした。 ここでは1.78kg入った。金額にして2,153円。一昨日このステーションで水素を入れて、白馬まで行き、試乗車として使用し、会場から宿の足などに使われ、最終日にこのステーションまで走行した距離は184km。燃費は大幅に下がり103km/kgとなった。普段街乗りで酷使する状況の参考値と言えるだろう。 ちなみに筆者の充填中、またまた珍しく次のお客さんが来た。旧型の「トヨタ・ミライ」である。やはり店員も驚いていた。また2台重なるなんてと。 電動車であるFCEVも渋滞には弱い チャージを終えると一般道を少し走り、須坂長野東ICから上信越道に入る。復路は日曜日午後ということもあり、故障車を原因とする渋滞や自然渋滞などにはまる。 途中トイレ休憩を兼ねてハイウェイオアシスのある藤岡PAに寄り関越道に入る。関越道でも何か所か渋滞にはまった。目指す練馬水素ステーションの営業時間内にたどり着くのは絶望的となる。 航続距離的にはそのまま自宅まで帰っても問題ないのだが、EVラリーでの実燃費を計りたかった。 結局、関越自動車道練馬ICに着いたのは18時45分。練馬のステーションは18時に閉店してしまうので、結局帰路当日水素を入れることはできなかった。仕方がないのでその日は自宅に直帰し、翌24日に練馬のステーションで水素をチャージした。 長野で充填してからの距離はおよそ231km。燃費は125km/kg。航続可能距離は385kmを表示していた。ここで1.93kg入れて会計は2,335円。航続可能距離は629kmを表示していた。 復路は下りが多いので往路(128km/kg)より良い燃費になるだろうと期待したが、悪い結果となった。渋滞が主な原因だろう。

TAG: #THE視点 #燃料電池車(FCEV) #電費計測
WAE EVRh(photo=WAE)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
ニュル7分20秒が照準……F1ウィリアムズ傘下のWAEがハイパーFCEVを開発へ[2023.09.12]

最高出力748psを発生するハイパー燃料電池(FC)ユニットを提案 FCトップランナーの日本勢も見過ごせないのでは 【THE 視点】F1チームを運営するウィリアムズの子会社ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング・テクノロジーズ(WAE)は9月5日、高性能スポーツ燃料電池車(FCEV)のプラットフォーム「EVRh」を発表した。 「EVRh」は、最高出力120kWの水素燃料電池と同430kWの液冷式バッテリーを組み合わせたエネルギーシステムを採用し、車両全体の最高出力は550kW(748ps)になるという。車重1,900kg以下、0-100km/h加速は2.5秒以下で、航続距離は600kmとのこと。 駆動方式は複数のモーターを備えたAWDを採用するようだ。水素タンクとバッテリーを車両中央部に配置することで重量配分の最適化を行ない、ドイツの「ニュルブルクリンク・北コース」のラップタイムは7分20秒以下がターゲットとのこと。 実は今回発表された「EVRh」は、昨年WAEが開発・公開したEV用の革新的なプラットフォーム「EVR」に続くものとなる。同社は、革新的な技術開発を行なうとともに、カーボンフリー車両の開発を重要視している。特に「EVRh」はOEM生産に対応し、コストパフォーマンスを最適化した上でスピーディに市場に投入できるモデルとなるようだ。 「EVRh」のプラットフォームは、今年の「人とクルマのテクノロジー展」で東京アールアンドデーが発表した「FCEVスポーツコンセプト」にも似ている。スポーツカーのプラットフォームの前後に水素タンクを搭載し、二次バッテリーを積むハイブリッドFCEVという構造だ[関連記事はこちら<click>]。 スポーツFCEVは、「トヨタ・ミライ」や「ホンダ・クラリティ・フューエルセル」「BMW iX5ハイドロジェン」といった実用車とは一線を画す独自の構造を持ったカテゴリーになる。EVでもハイパーカーが登場するようになってきたが、「ハイパーFCEV」が登場するのも時間の問題だろう。走る楽しさを追求している日本のメーカーも負けてはいられないのではないか。 FCEVにも様々なカテゴリのクルマが増えれば選択肢が増え、普及拡大にもつながるだろう。実際にFCEVに乗る筆者も、こういった楽しいFCEVが出ることは歓迎である。「EVRh」ベースの「FCEVスポーツコンセプト」の実車が見れることを楽しみにしている。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ベルエナジー、「電気の宅配便」本格稼働 ……「日産・サクラ」に「チャデモ」対応の充電器およびバッテリーを搭載して電気を宅配する実証実験を9月19日から開始する。場所は茨城県つくば市内限定で、ユーザーが自宅以外に駐車した場合に限る。本サービスは2024年度内に開始予定。 ★メルセデス・ベンツ・トラック、新型EVトラック「eアクトロス」を発表へ ……10月10日に世界初公開予定と発表した。長距離輸送用のEVトラックで、航続距離は500kmになるという。 ★レクシヴ、日産とEVで協業 ……EVのデータ連携に関する実証実験を共同で行なう。日産のEVの車両データをサーバーを通じて連携。車載デバイスなどが必要なくなり、車両管理やエネルギーマネジメントがしやすくなるという。 ★指月電気、V2X対応のEV用充放電機を発表 ……「グリーンファクトリーEXPO」<幕張メッセ…9月13日(水)〜15日(金)>で新製品「エクシーブ」を公開する。ピーク電力カットや災害時にEVの電力を使用できる機器となる。 ★三菱重工、90MPaの水素昇圧ポンプを市場投入へ ……水素ステーション向けの「90MPa級超高圧液体水素昇圧ポンプ」の長期耐久試験をクリア。ポンプの起動・停止運転を300回実施。累計250時間の運転を達成したという。本実験は米カリフォルニアにあるファーストエレメント・フュエル社の水素供給施設で行われた。来年まで継続するという。 ★あいおいニッセイ同和損保・MS&ADインターリスク総研・法政大学、空飛ぶクルマを共同研究 ……空飛ぶクルマの社会実装に向けて共同研究契約を締結した。MaaS事業の保険・サービスの開発や人材育成などを行なう。特に法政大学は、次世代航空人材向け教育カリキュラムへ研究成果の活用を検討するという。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.12]

TAG: #THE視点 #海外ビジネス #燃料電池車(FCEV)
TEXT:烏山 大輔
水素が変える未来、BMWのFCEV開発者が語ったその詳細とは?

BMWはFCEV(燃料電池車)を、クルマの新たなパワートレインのひとつにするだけではなく、インフラとそのコスト、エネルギーを有効活用する手段としても考えていた。 FCEVは究極のエコカーと主張 FCEVは、水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生した電気でモーターを回し、クルマを走らせる。排出するのは水だけなので「究極のエコカー」と言われている。 現在市販されているFCEVは、トヨタのミライとヒョンデのネッソの2車種だ。そしてBMWはiX5ハイドロジェンの開発と実証実験で得た知見を活かして、2020年代後半にFCEVを発売する予定だ。 7月25日に行われたiX5ハイドロジェンの日本での実証実験開始の会見において、BMWグループ 水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長のユルゲン・グルドナー氏の説明から、BMWの水素戦略をみていく。 BMWも他の欧米メーカーと同じようにBEV(バッテリー電気自動車)のラインナップを増やしており、現在日本ではiX、i7、i5、i4、iX3、iX1と6車種を展開している。 しかし、来たる電動化時代にはBEV100%では対応が厳しいとBMWは考えている。その理由の一つがインフラだ。全ての車両がBEVになったら、相当数の充電器が必要だ。そしてその充電器の設置にかかる費用も膨大なものになる。 グルドナー氏の説明によると、BEVとFCEVがそれぞれ500万台までのインフラコストではFCEVの方が高いが、1000万台になるとFCEVにBEVが追いついてきて、1500万台では逆転し、それ以上ではBEVの方が高くなっていることが分かる。 FCEVは充填速度が早いことを活かし、現状のガソリンスタンドのように短時間で多くのクルマを対応することができることをイメージすれば、このグラフを理解できる。 合わせてグルドナー氏は、BMWとしてもトラックやバスなどの大型車はほとんどFCEVに移行していくとの考えを示した。これまでTHE EV TIMESでもお伝えしてきたように、大型車は重いバッテリーを搭載する必要のあるBEVよりも、軽量な水素タンクにより積載空間や最大積載量、航続距離を確保できるFCEVの方が有利だ。 大型車がFCEV化してくれば、燃料の水素は、乗用のFCEVよりも多くの量が日々安定的に必要になるため、水素製造コストも下がる可能性も考えられる。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
BMWとトヨタの水素開発トップが参加した水素関連のシンポジウムの様子
TEXT:桃田 健史
BMWがトヨタとの燃料電池コラボ詳細を公開。2020年代後半登場予定の次世代BMW燃料電池車には、トヨタ第三世代燃料電池を搭載か?

BMWとトヨタが燃料電池に関するコラボレーションの実態について紹介するシンポジウムが開催された。両社は2013年4月に燃料電池の研究開発を含めて技術の協業を進めてきたが、これまで詳しい内容が公開されたことはない。2社どのようにコラボしているのか? 足掛け10年に及ぶ深い関係 BMWが燃料電池車「iX5ハイドロジェン」を日本初公開した翌日、BMWとトヨタの水素開発トップが揃った水素関連のシンポジウムが実施された。 両社は、2013年4月に、協業に関する正式契約を締結している。 大まかには、サスティナブル・モビリティの実現。 具体的には、「燃料電池システムの共同開発」、「スポーツカーの共同開発」、そして「軽量化技術の共同研究開発」としていた。 このうち、燃料電池については、両社の手持ち技術を出し合い、2020年を目標に燃料電池車の普及拡大を目指すとしていた。 実際には、初代「MIRAI」の技術を応用して、BMW「5シリーズGT」の燃料電池車を開発したのが、2社協業が見える化した第一弾だった。 さらに、今回登場した「iX5ハイドロジェン」は二代目「MIRAI」の燃料電池セル等を使う。 振り返ってみれば、ここまで到達するまで、すでに両社の技術提携は10年もの月日が流れていることになる。 BMWグループ水素燃料電池テクノロジー・プロジェクト本部長のユンゲル・グルドナー氏は「iX5ハイドロジェン」の研究開発には「スウェーデンでの冬季テストなど、各種の実走実験を含めてこれまで合計4年間を費やした」と燃料電池車の開発は粘り強く続けることが大事だと主張した。 その上で、登壇したトヨタの水素カンパニー・プレジデントの山形光正氏は「FCEV(燃料電池車)の課題解決に一体となり挑戦」という言葉を示して、BMWとの協業の重要性を強調した。

TAG: #BMW #トヨタ #燃料電池車(FCEV)
TEXT:烏山 大輔
BMWジャパン、日本でiX5ハイドロジェンの実証実験を開始。市販燃料電池車の開発に活かす

BMWジャパンは7月25日にBMW Tokyo Bay(東京都江東区)で開催した記者会見において、同日より燃料電池実験車両「BMW iX5ハイドロジェン」の公道走行による実証実験を開始すると発表した。 電気自動車の開発と同じステップを踏む BMWは、2020年代後半に予定しているFCEV(燃料電池車)の発売に向けて、今年の2月からドイツやアメリカでiX5ハイドロジェンの実証実験を行っている。今回、その実験実施国に日本が加わった。 日本に持ち込まれたiX5ハイドロジェンは3台で、日本各地での走行テストだけでなく、官公庁や行政機関、大学などとも連携し、専門家からのフィードバックを得る予定だ。集まったデータはドイツ本社に送り開発に役立てられる。なお、日本での公道テストは2023年末までの予定である。 BMWは、BEV(バッテリー電気自動車)の開発から発売に至る工程でも、「MINI E」と「BMW ActiveE」をパイロット車両として開発に用いて、BMW初の市販BEVである「i3」の発売につなげた。 FCEVでも同じステップを踏む。今回のiX5 ハイドロジェンはパイロット車両で、6年以内にリリースされる予定のFCEVの開発を支える役目を担う。 「iX5ハイドロジェンは、南フランスでのサマーテストを2回、スウェーデン北部でのウィンターテスト3回を含む4年にもわたる量産車と同じテストを実施しました。さらにこの車の開発プロジェクトは次の重要なフェーズである公道でのテストに入ります」と同車のプロジェクト・マネージャーのロバート・ハラス氏は述べた。 401psのRWD、0-100km/h加速は6秒以下 iX5ハイドロジェンを構成するシステムをみていこう。FCEVは、車両から供給する水素と空気中の酸素を燃料電池で化学反応させ、電気を作りだし、その電気でモーターを回転させることでクルマを走らせている。その要の燃料電池システムは125kW(170ps)を連続して出力することができる。燃料電池セルは2013年からFCEVを共同開発しているトヨタから調達したものだ。 「この安定した出力によりアウトバーンでの長距離移動も問題なくこなすことができます」とハラス氏が自慢げに語った。 水素タンクはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製で、センタートンネルと後席下に2基が設置され、700気圧の気体水素を6kg貯めることができる。もしタンクが空になっても満タンにするのに3分ほどしかかからない。航続距離(WLTP)は504kmだ。 リヤには第5世代の「BMW eDrive テクノロジー」が搭載される。これは電気モーター、トランスミッション、パワー・エレクトロニクスをまとめたものだ。この車両専用に開発したリチウムイオンバッテリーを組み合わせて、最高出力295kW(401ps)のパワートレインを実現した。これにより0-100km/h加速は6秒以下、最高速は約185km/hのパフォーマンスを発揮する。 車両重量の発表はなかったが、同クラスのBEVよりは軽く、PHEV(プラグイン・ハイブリッド車)と同等程度とのこと。 iX5ハイドロジェンはミュンヘンにあるBMWグループ研究革新センター(FIZ)のパイロット・プラントで製造される。

TAG: #BMW #iX5ハイドロジェン #燃料電池車(FCEV)
「モビリティ水素官民協議会の中間とりまとめ」資料より抜粋(出典=経済産業省)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
「FCEV普及の見通しが不明で投資計画が立たない」……経産省、官民協議会の中間報告を公表[2023.07.13]

問題点の洗い出しと将来に向けての現実的な議論を確認 中距離・高稼働のFCEVについては35MPaの低圧車載タンクが有用 【THE 視点】経済産業省は7月11日、「モビリティ水素官民協議会の中間とりまとめ」を公表した。 モビリティにおける水素の普及に向けて、2022年9月より水素供給側・自動車メーカー側・物流事業者側・荷主側・国・地方自治体が一体となって将来像を共有し、必要な政策を議論する検討会を行っている。 2023年6月に水素基本戦略の改定があったことを踏まえ、現状の打破に向けて各団体が一定の前提の元に将来の見通しと普及に向けた課題を共有したのが、この度の中間とりまとめと言える。 燃料電池車(FCEV)は、電力を作るための水素の充てん時間が短く航続距離が⻑いといった強みを有している。それを踏まえて走行距離と稼働時間が長い商用車の分野では、FCEVがバッテリー式のEVよりも有用であることは、世界的な常識になりつつあり、欧米でも商用車へのFCEVの導入が加速しつつある。 しかし、自動車メーカーと物流・荷主企業・水素供給企業は、各々がFCEVの需要の見通し、FCEVと水素ステーションの普及台数見通しが不明というのが現状で、投資計画が立てられないといった三すくみの状態となっている。具体例を挙げれば、⾞両や⽔素の価格が高額な点や⽔素ステーションの整備が進まないなどの課題が挙げられる。 今後は野⼼的な導⼊⽬標を策定するとともに、現在は未策定のトラック(8トン超)の転換⽬標や、充填インフラの導⼊プランの設定を検討していくという。 また「⽔素基本戦略」の改定も踏まえて各ステークホルダーへのさらなるヒアリングを行ない、⾞両導⼊価格やランニングコストの低減、商⽤⾞に対応する⽔素ステーションの整備や設備のマルチ化と運営費低減、高い需要が⾒込まれる地域の選定等を⾏っていくという。 FCEVを日常利用する筆者は、電動車としてはエネルギー源(水素)の充填時間が短いという利点は十分に理解している。そして問題だと感じてきた商用車用ステーションの整備不足が、今回の発表で明るみに出たと捉えている。 また、FCEVに搭載する水素用タンクは、これまで70Mpaの高圧がひとつの基準のように扱われてきたが、中近距離を⾼稼働⾛⾏するモビリティについては、35MPaの低圧タンクの導入が有用との報告もあり、方向転換ともいえる内容を発表している。 高圧水素の充填は、それだけ電力のコストもかかっている。低圧にすればそれを低減できることになり、水素価格の抑制に繋げられるだろう。このあたりの議論も行われるようになったのは嬉しい。今回の発表はもちろんこれだけではないのだが、普及に向けた本気度が感じとれる中間とりまとめだった。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ケータハム、クーペの新型EVコンセプトカーボン「プロジェクトV」を発表……2025年後半から2026年前半に発売予定[詳細はこちら<click>] ★★横浜ゴム、EV用サマータイヤ「アドバン・スポーツEV」を発売……2023年秋頃より欧州で発売、16サイズを予定[詳細はこちら<click>] ★★アルピーヌ、2023年に新型「A310」を含む新型EVを7車種発表……独自のEV用プラットフォームを開発へ ★パワーエックス、北海道室蘭市と連携協定を締結……室蘭港にて電気運搬船および蓄電池を活用 ★ホンダ、経産省の実証事業「令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業」に参画……東京電力など計13社による事業、潜在的なエネルギーソースであるEVなどを活用 ★メルセデス・ベンツUSA、2023年4月〜6月期のEVの売り上げが増進……「EQ」シリーズ全体で1万1,927台を販売、前年同時期比608%増 ★永輝商事、フランス「IES Synergy」のEV用充電器を輸入販売……最高出力6kWタイプの小型普通充電器から180kWの大型急速充電器まで計3機種を用意 ★エネチェンジ、スーツ専門店のアオキにEV用充電器を設置……神奈川県内の2店舗(AOKI横浜三ツ境店<横浜市瀬谷区>/津久井城山店<相模原市緑区>)に最高出力6kWのタイプを1基ずつ ★アウディ、鹿児島県屋久島町にて「e-tron」のレンタカーサービスを開始……屋久島町と連携し脱炭素化を支援、役場の公用車に「e-tron」を1台貸与など[関連記事はこちら<click>] ★日本郵船、中国にて大型EVトラックを使用した実証実験を開始……日系現地法人のパナソニック四維、三井住友海上火災中国と共同、自動車物流事業に導入 ★リョービ、6000トンのダイカストマシン「ギガキャスト」を導入……自動車用のバッテリーケースを生産可能 ★日揮HD、オーストラリアにて水素製造プラントを受注……住友商事の現地法人から受注、年産250トンの水素を製造 ★BMW、芸術家のマルク・ブランデンブルグ氏によるアート絵を描いた「iX1」を発表……ドイツのシュテーデル博物館との長期的なパートナーシップの一環で デイリーEVヘッドライン[2023.07.13]

TAG: #THE視点 #燃料電池車(FCEV) #行政
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
新「水素基本戦略」を閣議決定、15兆円の投資はFCEV普及に活かせるか[2023.06.08]

水素価格は値上がりが続き現実と乖離する点も FCEVの普及には価格低下と総合水素ステーションの設置が必要 【THE 視点】内閣官房は6月6日、「再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議(第4回)」にて、「水素基本戦略」を改定した。官民合わせて、15年間で15兆円を、水素関連事業に投資する。 合わせて経済産業省傘下の資源エネルギー庁は同日、「令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)」を公開した。その中において、水素価格の低下を目指すことを明言した。 白書には、「水素社会の実現に向けた取組の加速」の項目があり、「水素社会の実現を通じて、カーボンニュートラルを達成するためには、水素の供給コスト削減と、多様な分野における需要創出を一体的に進める必要がある」と書かれている。 具体的には、「一般的な水素ステーションにおいて、100円/Nm3(ノルマルリューベ:空気量を表す単位)で販売されている水素の供給コストを、2030年に30円/Nm3(CIF価格)、2050年には20円/Nm3(同)以下に低減し……(以下略)」とのこと。 水素ステーションで現在販売されている水素の価格は、1kg当たりの単価だ。1kgで11.14Nm3となることから、100/Nm3と報告される水素の価格は、1,114円/kgとなる。 しかし、昨年までは1,100円/kg(税込)程度であった水素の価格は、今年の初めから4月にかけておよそ1.5倍の1,650円/kgとなったところが多い。こうなると、2030年に現在の価格の3割程度(およそ1/3)とされる報告書の価格とつじつまが合わない。2030年の時点で、白書内にて2050年の目標としている1/5程度にしなければならないということになる。 また水素ステーションの数も、現在およそ170ヵ所とされているが、政府は2030年までに1,000ヵ所を目指すという。 しかし、今後増えるであろう商用FCEV(燃料電池車)の導入拡大を見据えた施策を加速させるためには、もう少し実際の現場を捉えなければいけない。 トヨタやホンダは、トラック・メーカーと協業して大型商用FCEVの開発・導入を加速させる方針を示している。しかし現在、大型車に対応した水素ステーションはまだまだ少ない。乗用車・大型車ともに利用できる大型の水素ステーションなどのインフラ整備を進めなければ、普及の加速は難しいだろう。 筆者は日頃の足としてFCEVに乗っている。現在値上がりしてしまった水素の価格では、ランニングコストで比較するとハイブリッド車には到底及ばす一昔前のガソリン車並みとなってしまっている。 今後の普及を考えると、2030年以前に水素価格を現状の価格の1/3以下にしなければ、エンジン式のクルマと比較してランニングコストが合わない。更に言えば、先に記述したとおり1/5程度まで下げないことには、FCEVが日常の足として日本に浸透するのは困難だ。 なお、水素エネルギーとFCEVに関して、当媒体の以下の記事でも述べているので、ぜひご一読いただきたい。 FCEVは実用的だが一般普及はまだ早いか……現役EV開発エンジニアが「ホンダ・クラリティFUEL CELL」を愛用して実感した燃料電池の可能性(前編) [THE視点] 水素燃料電池(FC)を世界に誇る先端技術に……現役EV開発エンジニアが「ホンダ・クラリティFUEL CELL」を愛用して実感した燃料電池の可能性(後編)[THE視点] (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、EVの新型コンパクトSUV「EX30」を欧州で発表……最高出力315kW(428ps)のAWDで、最大航続距離は480km[詳細はこちら<click>] ★★Jvolt、デジタル・サイネージ搭載のEV用充電器を発売……EV用充電器を広告映像などのPR掲示板に活用可能 ★★ホンダ、インドで中型SUV「エレベート」を発表……3年以内に「エレベート」ベースのEVを発売 ★アウディ、鹿児島県屋久島町にEV用充電器(最高出力8kW)を設置……屋久島の脱炭素化についての包括的提携の一環にて ★北海道、道内のFCEV導入事例を公表……2023年3月に、十勝総合振興局や胆振総合振興局に「トヨタ・ミライ」を計3台など ★テスラ、在庫車・認定中古車の購入キャンペーンを実施中……登録代行手数料(10万円)無料など ★フィアット、「アバルト500e」のデザイン・モチーフを紹介……「サソリ」のエンブレムをモチーフとした空力デザインなどをボディの随所に ★国土交通省、「ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX・GXに関する検討会」(第5回)を開催……中央合同庁舎3号館<東京都千代田区>10階共用会議室にて、6月12日(月)13時〜15時 デイリーEVヘッドライン[2023.06.08]

TAG: #THE視点 #水素インフラ #燃料電池車(FCEV)
TEXT:福田 雅敏
「下町ロケット」の魂、日の丸サプライヤーの縁の下の技術をメーカーは見逃すな[THE視点]

来場者数6万3,810人・出店社数484社と、昨年を上回る規模での開催となった「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」<パシフィコ横浜(横浜市みなとみらい地区)/5月24日〜26日>。 本レポートの第1回[詳細はこちら]ではメーカー、第2回[詳細はこちら]ではサプライヤーの第1弾としてモーター一体型駆動装置(イー・アクスル)の展示を紹介してきたが、最終回となる今回は、サプライヤーの中でも、普段はあまり注目されないバッテリー・カバーなど、縁の下を支える部品を紹介する。 自動車技術会……EVのホワイトボディを展示 本イベントの主催である自動車技術会のコーナーには、ホワイトボディ(骨格のみのボディ)の展示があった。 展示されていた車種は、「日産アリア」「トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ」(兄弟車)、「マツダCX-60」「いすゞ・エルフ」の4車種。 この中から、EV、PHEVに関連する、3車種のホワイトボディを紹介する。 「日産アリア」は、最新のEV用プラットフォーム「EV-PF」を採用している。 エアコン関連(HVAC)のモジュールを、モーター・ルーム(ボンネット)に収め、室内はフラットフロアを実現。フロント周りのサブフレームの一部およびバッテリーパックには、アルミを使用し軽量・高剛性化も実現した。 「トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ」は、トヨタとスバルの技術を融合し共同開発されたプラットフォームを使用している。 バッテリーパックをボディの一部として活用しているのが特徴で、高い安全性と操安性を実現している。バッテリーパックはスチール製だが、パックとボディをつなぐ部分には、アルミの押し出し材を使用する。 「マツダCX-60」は、PHEVではあるもののアルミ・ダイキャスト製のバッテリーパックを使用していることに目を引かれた。詳しくは後述する。

TAG: #イー・アクスル #人とくるまのテクノロジー展 #燃料電池車(FCEV)

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EVヘッドライン
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BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
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ニュース
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
日産からセダンのEVが出るぞ! 中国向け車両「N7」を初公開
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コラム
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解
充電が無料でできる施設は税金のムダ遣い? 地方自治体の取り組みの是非を考える
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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
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イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
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