EVヘッドライン
share:

電気で走れ、いすゞのピックアップトラック……海外専売「D-MAX」にEVが登場予定[2023.10.20]


TEXT:福田 雅敏/ABT werke
TAG:
いすゞ・D-MAX(photo=いすゞ自動車)

ZFのピックアップトラック向け駆動装置「リジッド電動アクスル」を採用か
日本で売れない理由はなく、いすゞ乗用モデルの国内復活に期待

【THE 視点】いすゞは10月6日、1トン積みピックアップトラック「D-MAX」の大幅改良モデルをタイで発表した。10月12日よりタイで販売を開始し、順次グローバルに展開していくという。加えてこの発表でEVピックアップトラックの生産・販売も表明した。

現行型の「D-MAX」は3代目にあたる。2019年10月のデビュー以来、力強いデザインと悪路走破性、優れた燃費性能などが高く支持されている。今回の大幅改良では、内外装デザインに磨きをかけ、世界中のユーザーから求められる幅広いニーズに対応することで、市場により適したピックアップトラックを目指したという。

「D-MAX」は、いすゞのグローバル戦略車として、アジア/欧州/中東/アフリカ/中南米/オセアニアなど100ヶ国以上の国と地域で販売されている。2022年度のグローバル販売台数は約34万台で、特に1トン積みピックアップトラック最大市場であるタイでは約18万台(シェア45%)を販売した人気モデルである。

タイのバンコクで行われた発表イベントに出席したいすゞの南真介COOは次のように述べた。

「いすゞは、カーボンニュートラル社会実現に向けて積極的に取り組んでいます。今後、タイにてバッテリーEVピックアップトラックの生産を計画しており、まずは欧州から導入し、タイを含め市場のニーズに応じて順次投入を検討していく予定です」

「EVピックアップトラック」との表明であったが、この会場で発表したということは「D-MAX」ベースのEVとみて間違いない。

詳細は明らかにされていないが、「エルフEV」のモーターがZF社のものだ。前にレポートした今年の「人とクルマのテクノロジー展」でのZFのブースにはピックアップトラック用の「リジッド電動アクスル」なるものが展示されていた。「D-MAX EV(仮)」には、このZFのものが採用されると推測している[関連記事はこちら<click>]。

これまでいすゞは、「東京モーターショー」に「D-MAX」を参考出品として展示してきた経緯がある。その時のいすゞの話では、「ディーゼルエンジンの排ガス規制の問題で日本に輸入できない」と言っていた。EVになれば排ガス規制は関係ないので「D-MAX EV」を日本で売れない理由はなくなる。

日本ブランドのタイ製のピックアップについては、トヨタが「ハイラックスRevo BEVコンセプト」を発表済み。三菱も新型「トライトン」発表の際に数年後にEVも発売することを表明している。「ハイラックスEV」に「トライトンEV」そして「D-MAX EV」が出そろえば、日本ブランドのEVピックアップトラックの熾烈なシェア争いが始まるだろう。

忘れてはいけないのが日本市場である。「ハイラックス」は日本に導入済みで「トライトン」が2024年初頭に日本導入予定。「ハイラックス」は人気モデルに成長し、それとともにピックアップトラック市場が日本でも盛り上がりつつある。

時間はかかるだろうが、筆者としては両車のEVモデルの日本導入を強く望んでいる。クルマとして魅力的で、「エコカー」ではなく「面白いクルマ」としてEVを定着させるためにも必要だと思うのだ。カナダへ旅行した際に見たEVピックアップ「リヴィアン」で覚えた高揚感が、日本のEVにもほしい[関連記事はこちら<click>]。

どのメーカーにせよ、EVピックアップトラックが日本導入となった暁には、ぜひいすゞにも参入してもらいたい。名車揃いであるいすゞの乗用モデルの国内復活を、期待せずにはいられないのだ。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★ホンダ、EVの自動運転タクシーを国内展開へ
……本田技研工業・ゼネラルモーターズ・GMクルーズホールディングスが共同開発した自動運転専用EV「クルーズ・オリジン」を使用したタクシーサービスを2026年初頭に日本国内で開始する。東京都心部で数十台から開始し、台数と提供エリアを順次拡大予定。500台規模での運用を見込んでいるという。本車両は「ジャパン・モビリティ・ショー2023」(JMS)にも展示する。

★★ホンダ、バッテリー交換式商用EVを用いた集配の実証実験を開始
……本田技研工業とヤマト運輸が共同で実施する。車両は、EV化した「N-VAN」に着脱式バッテリー「ホンダ・モバイルパワーパックe:」を対応させた「MEV-VAN・コンセプト」を使用する。2023年11月から群馬県内で開始するという。車両は「JMS」にも展示する。

★★ナビタイムのアプリからプラゴ充電器の予約が可能に
……ナビタイムが展開する「EVカーナビ by NAVITIME」から、プラゴの予約機能付き充電器の空き情報と充電予約が可能になった。無料で利用が可能。

★ゼンリン、全国の充電スタンドの詳細情報を公開
……特設サイト「EV充電スタンドマップ」を公開した。スタンドの位置/急速・普通の種別/出力/メーカー/料金/営業時間などが確認できる。

★日産、コンセプトEV「ニッサン ハイパーパンク」
……「JMS」に出展する第四弾のコンセプトEVとなる。SUVスタイルの車両で、多角形を用いた未来的なデザインとなっている。

★トヨタ紡織、自動運転EVを「JMS」に出展
……自動運転レベル4(機械主導の自動運転)に対応した電動モビリティを出展する。座席の配置を自在に変更できるライドシェアモビリティなどを展示する。

★テラモーターズ、御殿場市の公共施設に充電器を設置
……静岡県御殿場市と連携協定を締結した。御殿場市役所/御殿場地域振興センター/原里支所/玉穂支所/印野支所/高根支所に、最高出力6kWタイプの普通充電器を2基ずつ導入する。

★「BYD AUTO 静岡」が10月20日(金)にオープン
……商業施設の「静岡モディ」<静岡市葵区>の1階にショールームを開設する。「アット3」と「ドルフィン」を常設展示。11月30日(木)までオープニングフェアを開催する。

★デンカ、リチウムイオンバッテリー用材料の製造工場をタイに建設
……バッテリーの材料となる「アセチレンブラック」(カーボンブラック)をタイで製造する。現地の企業と合弁会社を設立し、ラヨン県マプタプットに生産工場を建設する。

★自動車向け半導体のインフィニオン、ヒョンデ・キアと複数年契約
……炭化ケイ素(SiC)・シリコン(Si)パワー半導体の供給について複数年契約を結んだ。2030年までに両社向けの製造能力を増強するという。

デイリーEVヘッドライン[2023.10.20]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
BEV大国の中国で販売が失速! ここ数年でPHEVのシェアが伸びていた
中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは
more
ニュース
家を買ったらヒョンデのEVもついてくる!? ヒョンデKONAとYAMADAスマートハウスのセット販売が開始
日産は中国市場で年間販売台数100万台達成を目指す! 経営計画「The Arc」に沿って戦略的コンセプトカー4台を公開
マツダが中国向けに開発した流麗な新型電動車! 「MAZDA EZ-6」と「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
more
コラム
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較
テスラが日本で全車30万円一律値下げ! 補助金が制限されるもお買い得度ではモデルYが圧倒!!
イケイケだったテスラに何があった? イーロンマスクが1.5万人規模のリストラを発表!
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択