車両とは別電源で稼働する後付けキャンパーユニット
広大な大地が育てた本物のサバイバル仕様
【THE 視点】GMCは8月25日、「ハマーEVピックアップ」のキャンパー「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」を発表した。「ハマーEVピックアップ」 の車体に後付けしてキャンパー化することができるキットで、2024年に同車のユーザー向けにアースクルーザーを通じて販売するとのこと。
アースクルーザーは、アメリカ・オレゴン州にあるキャンパーのメーカー。「フォードF-350」のほか、「三菱ふそう・キャンター」「いすゞ・エルフ」などをベースに、オフロード走行も対応できるキャンパーを製作している。
この「ハマーEVピックアップ」向けキットの主な特徴は以下のとおり。
・「ハマーEVピックアップ」向けに専用設計された軽量高剛性のカーボンファイバーボディ
・発電出力605Wの太陽光パネルと電力量6kWh/最大容量460Ah/電圧12Vのリチウムイオン・バッテリーを搭載。冷蔵庫などの家電製品を約1週間稼働可能
・3層構造の断熱材を使用しあらゆる季節に対応可能なポップアップ・ルーフ
・機能性と部屋としてのデザインを追求したインテリア
・ダブルベッド/屋内外対応のシャワー/トイレといったアメニティの充実
・使いやすさを追求した7インチの対角タッチスクリーン式コントロール・パネル
・1500Wのインバーターを装備
日本でも車中泊のブームが続いているが、世界でもトレンドのようで各社続々とEVのキャンパーを発表している。
フォルクスワーゲンは「ID.Buzz」のキャンパーを公開したし、メルセデス・ベンツは、「Vクラス」のEV「EQV」にキャンパーモデルの「マルコポーロ」の追加を匂わせている。日本ではHWエレクトロが「エレモ-L」のキャンパーを発表した。
今回、GMCが発表したのは「ハマーEVピックアップ」の後付けキャンパーキットだった。ハマーが持つ悪路の走破性を生かして、人里離れた自然の中で1週間も人道的な車中泊が楽しめるのは、このEVならではの特徴であろう。しかも走行距離に影響がない独立の電源なので、ユニットの電力が底をついても自走での帰還が可能だ。
日本に置き換えて考えれば、軽トラックに後付けの架装を施したキャンパーと同じジャンルに分類できる。ピックアップ・トラックは、アメリカの軽トラックと言える身近な存在だ。しかし国土面積や使用環境が違うと、こうも作り込みが変わるのか。趣味のキャンパーというよりも狩猟に使用するような“サバイバル仕様”である。キャンパーは、その国の大地が育てるのかもしれない。
日本にも豪華絢爛な富裕層向けのキャンパーは輸入・販売されているが、「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」には、それらとは一線を画すワイルドさがある。こんなキャンパーを相棒に、ぜひアメリカにて冒険をしてみたいものである。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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デイリーEVヘッドライン[2023.08.28]