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カーボンニュートラルを10年早く実現するにはどうすべきか、メルセデス・ベンツ本社会長の意欲とは


TEXT:小川フミオ PHOTO:メルセデス・ベンツ日本
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「パリ協定よりも早いカーボンニュートラル化を見据えて、数々の技術を整える」とオラ・ケレニアス取締役会会長は話す。それは先駆者としての矜持からの言葉だった。

2050年より早く

メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月にBEV「EQE SUV」シリーズを発表・発売。このときドイツの本社から、オラ・ケレニアス取締役会会長が来日した。

2022年2月1日に、これまでのダイムラーから、メルセデス・ベンツ・グループに社名を変更。

そのとき、ケレニアス会長は「電動モビリティと車載ソフトウェアを重視することで、創業者の遺産を継続したいと考えている」と発言したと報じられた。

これからBEV(バッテリー電気自動車)を中心に、カーボンニュートラル化を進めたいとするケレニアス会長による、EQE SUVシリーズ発表会時の発言は下記のとおり。

「私たちは、2050年のカーボンニュートラル化に向けた目標設定をしています。これは(地球温暖化対策の国際的な枠組みである)パリ協定から導き出した目標です」

「もし、化石燃料に依存するプロダクトを手がける企業だとしたら、このような目標設定をする必要があります。私たちのばあいは“Ambition 2039”(バリューチェイン全体でカーボンニュートラル)を設定しました」

「2050年より10年早く脱炭素化をはかりたいというのが、私たちの考えです。そのためには、2020年代にやるべきことが多々あります」

「そこで私たちは、製品ラインナップや、それを支える技術の数かずを整えて、市場に提供しようと考えています。もし市場が受け入れてくれる用意ができたなら、そうします」

「私たちは、2020年代の終わりまでに、すべてのラインナップを電動化します。2023年第2四半期におけるグローバルマーケットでのメルセデス・ベンツのBEVの売り上げは、前年比123パーセント増です」

「23年上半期のBEVのセールスは、つまり、倍になりました。私たちはいまいきおいに乗っているといってもいいでしょう。EQE SUVは、BEV化促進のカギになります」

世界的に追従されるほどに日本法人は革新的

「日本法人がやることは、革新的です。日本で最初に実施された施策が、追って、世界的に実施されることもよくあります。そのひとつが、EQシリーズの専売拠点設置です。ひとつはすでにオープンしていて(横浜)、もうひとつはまもなくオープンの予定です(青山)」

「充電システムの構築についても、私たちは考えています。2030年までに世界の主要市場において、1万基以上の高出力充電器を設置する計画です」

ケレニアス会長がスピーチをした、EQE SUVシリーズ発表会場では、モニターに「日本でもMercedes me Chargeを活用した日本への導入も検討中」と表示された。

「むかしの図式だと、自動車会社が製品を作り、エネルギーはエネルギー会社の担当でした。しかしそれとはちがうプローチをとるのです。私たちは世界規模でインフラ構築に多額の投資を行うと、すでに発表しています」

2023年1月5日に、メルセデス・ベンツは、上記のケレニアス会長の発言にあるように、世界の主要市場にBEV用高圧充電器を整備すると発表。

たとえば北米では、「MN8エナジー」と協力。総投資額10億ユーロ以上を使って、400以上の充電施設を新設し、2500基以上の高圧充電器を設ける計画という。

「日本でのメルセデス・ベンツのオーナーは、私たちがサポートします。日本法人の経営陣と話しをしています。今年(23年)後半により具体的な内容を発表します。充電への投資を開始する予定です」

「何百万台のBEVは、巨大な蓄電池になるととらえることもできます。これを発電や給電のグリッドシステムとして機能させることもできるのではないでしょうか。EQE SUVには、(日本法人からの要求をいれて)給電システムを搭載しました。クルマのなかに小さな発電所があるという考えはおもしろいと思います」

「メルセデス・ベンツ・グループは、太陽光発電の大規模なプログラムにも投資をしています。欧州のいくつかの地域では、風力発電にも投資しています。つまり、私たちはある意味、エネルギーを自給自足できているのです。これまでエネルギーは独占的なものでした(それが変わるのです)」

「古いバッテリーをどうするのか。これも訊ねられる質問です。大きくて、重くて、多くの素材の集合体のバッテリー。使われているニッケルとかマンガンなどは、貴重であり高価です」

メルセデス・ベンツ・グループでは、ドイツにバッテリーリサイクルのためのクッペンハイム工場を作り(2023年内に落成予定)、そこでのリサイクル率は96パーセント以上を目標にすると発表。

「クルマを含めて、ほぼ完全なリサイクル化を確立すべく技術を確立してきました。車両に使う素材を循環経済に組み込むことにも取りこんでいます」

<了>

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