コラム
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メルセデス・ベンツ・グループの新たな戦略とは。オラ・ケレニアス取締役会会長が語る


TEXT:小川フミオ PHOTO:メルセデス・ベンツ日本
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「EQE SUV」の発表を機に来日したオラ・ケレニアス取締役会会長は、メルセデスの新たな戦略を提示した。

日本におけるメルセデス・ベンツのBEVEQ」シリーズにかける意気込み

メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月25日に、SUVタイプのBEV「EQE SUV」を日本で発表・発売。500キロを超える走行距離、スポーティなAMGモデルの設定、給電システムの搭載……と話題が多いモデルだ。

日本では、「メルセデス・ベンツEQE350 4MATIC SUV」が8月25日からデリバリー開始。認証の時期の問題で、もう1台の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」は10月のデリバリーになるという。

全輪駆動方式を採用していながら、低負荷の走行時は、フロントモーターをクラッチを使って切り離して燃費向上に役立てるシステムを搭載。

走行性能、広い荷室による利便性、そしてモニターを3つそなえてのデジタライゼーションなど、いろいろと特徴の多いクルマである。

発表に合わせて、本国からオラ・ケレニアス取締役会会長が来日。EQE SUVへの期待にはじまり、日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込みなどを熱く語った。

「日本市場がいかに私たちにとって重要か。ここで強調しても、しすぎることはありません。メルセデス・ベンツは、業界をリードする立場にあるプレミアムブランドという自負がありますが、いま変革の時期が来ています」

「私たちの顧客の方々を、ブランドのファンと呼ばせていただくなら、日本でも過去数十年にわたって、強固な関係を築かせていただいてきました。その方々は、テクノロジーの重要性も理解なさっているし、私たちがいま行っていることも評価してくださっている。いってみれば、共益関係にあると思っています」

「私たちは、日本法人のがんばりのおかげで、変革の時代にあっても強固な関係をユーザーの方とのあいだに作りあげてこられました。でも、いままさに変革が始まったところなのです」

新しい戦略6本柱

「自動車業界ではとても多くの出来事が同時進行的に起こっています。それを見据えて、数年前に、新しい戦略を立てるとき、私たちは6本の柱を作りました」

ここで、その「6本の柱」を解説しておこう。2020年に利潤をあげて経営基盤を強固にするためと、ケレニアス会長が発表したものだ。

ひとつは「Think and act like a luxury brand」。私なりに訳すると、「ラグジュアリーブランドとして考え行動する」。

2つめは「Focus on profitable growth」。利潤を出す企業として成長することにフォーカスする。

3つめは「Expand customer base by growing sub-brands」。サブブランドを使って顧客層を拡張する。

4つめは「Embrace customers and grow recurrent revenues」。顧客をうまく抱え込み、代替需要を喚起する。

5つめは「Lead in electric drive and car software」。電気自動車と、それにまつわるソフトウェアの分野で業界をリードする立場に立つ。

6つめは「 Lower cost base and improve the industrial footprint」。固定費を下げ、生産拠点の改善を行う。

「このようにして、変革の時代における成長戦略を策定してきたのです」

ケレニアス会長の言葉は続く。

オラ・ケレニアス(Ola Källenius)プロフィール
メルセデス・ベンツ取締役会会長
1969年6月11日、スウェーデンのヴェステルヴィーク生まれ。ダンデリッド文法学校(スウェーデン)でアビトゥア(大学入学資格)を取得後、1988/89年にスウェーデン軍で兵役に就く。1989年から1993年までストックホルム経済大学(財務・会計修士)およびザンクトガレン大学CEMSプログラム(国際経営修士)で学ぶ。1993年、国際経営アソシエイト・プログラムの研修生として旧ダイムラー・ベンツAG(現メルセデス・ベンツグループ)に入社。2015年1月1日よりダイムラーAGの経営委員会メンバー、2019年5月22日より経営委員会会長を務めている。また、メルセデス・ベンツの取締役会会長。

<Vol.2へ続く>

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