コラム
share:

「ボルボ EX30」のデザインに、テスラの影がちらつく


TEXT:烏山 大輔 PHOTO:ボルボ・カー・ジャパン、メルセデス・ベンツ・ジャパン、小河原 認、烏山 大輔
TAG:

8月24日にいよいよ日本で発表されたEX30のデザインを観察すると、テスラのような合理化が見えてきた。良い意味でのコストダウンにもなっているこのデザインの考え方のほとんどに賛成だ。

ある意味テスラ超えの部分も

「テスラ モデルY」の物理スイッチは、ステアリングホイールのスポークにある二つと頭上のハザードスイッチ、ドアにはパワーウィンドウスイッチとドアオープナースイッチくらいだ。

そして今回のEX30は、ドアにスイッチはない。あるのはインナーハンドルだけだ。それではパワーウィンドウのスイッチはというと、フロント用のそれはアームレストの先端にあり、リア用はセンターコンソールの後端にある。

こうすることでドアのスイッチを無くし、コストダウンとともにすっきりしたデザインと物入れスペースを実現した。ドアからスピーカーをなくし、ダッシュボード上部の左右に広がるそれに置き換えたのも、「ドアからなるべく電装品を取り除くため」と考えると合点がいく。BEV(バッテリー電気自動車)はICE(内燃機関)車と異なり、車体前部のダッシュボード空間に余裕があるし、ドアから電装品を取り除くことは余分な配線をなくし軽量化につながるからだ。

ドアのロック/アンロックスイッチは、フロントのアームレスト先端にまとめられている。ドアミラーの角度調整や格納は、センターディスプレイでの操作になっているのだろう。テスラでさえ物理スイッチとして残していたハザードスイッチもディスプレイの右下に“収納”された。

このスイッチの統合は良いと思う。しかし実際の使用を想定すると、一つだけ難点なのは後席乗員が窓を開閉する際に、上体を前に倒しスイッチまで手を伸ばさなければならないことだ。

フタ付きのアイデアが新しいセンターコンソールのデザイン

ICE車とは異なり、BEVではプロペラシャフトやマフラーを通すことを考える必要がなくなり、自由度が格段に向上したセンターコンソールをどうするかが、デザイナーの腕の見せ所ではないかと思っている。

EX30の場合は、2台のスマホ置き場がある。無線充電ができて、画面はきちんと見えやすい角度に作られており、かつスマホを差し込む部分が柔らかいゴム製のレバーのような構造で、スマホが動きにくい設計になっている。

 

さらにその手前のバッグなどが置けるスペースは、実は観音開きのフタになっていて、ここを開けるとUSB-C端子が2つ備わる収納スペースが現れる。使用頻度が少ないものや車から離れる際に、人目につかないようにしておきたいものをしまうのに重宝するだろう。

そんなセンターコンソールの上に位置するアームレストには、可動式の2つ分のカップホルダーがある。この可動部にはダンパーがついていてゆっくり前に出てくる、かつしっかりした作りで全く「ちゃちさ」を感じさせない。こういうふうに、コストをかけるところとコストをかけずともデザインでカバーできるところを、しっかり分けているのが素晴らしい。

デザインにコストをかけているところをもう一つ。筆者が体験した最近のクルマには、多数の色の中から1色を選択できるアンビエントライト機能を備えるモデルがあった。EX30では、5つのテーマを持つ同機能が装備されているのだが、それはただ1色で光るだけではなく、グラデーションするのだ。

例えばスウェーデンブランドらしいノーザンライト(オーロラ)モードでは、緑から青や紫へと色が変わっていく。夜間に高速道路のサービスエリアで充電中に、この優しい光と、それぞれのテーマに合ったアンビエントサウンドの流れる車内にいたら、とてもリフレッシュできるのではないかと思う。光り方が気になる方はボルボのウェブサイトを確認して欲しい。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
more
ニュース
ルノーが手がけた伝説の名車が現代に蘇る! 小型EVホットモデル「ルノー5 ターボ 3E」とは
ドライブレコーダーにETC車載器にカラオケマイクもついてくる!? 4月15日発売のBYD新型クロスオーバーSUV「シーライオン 7」の事前予約開始
マルチパスウェイで世界中の要望に応える! トヨタが欧州で新型「C-HR+」「bZ4X」「レクサスRZ」のBEV3車種を発表
more
コラム
トヨタやテスラの「ギガキャスト」にホンダの「メガキャスト」ってなに? いま知っておくべき電気自動車の製造方法
台数が増えたらやっぱり問題も増えた! EV乗りが「急速充電スポット」で見かけるトラブル事例TOP3
今度のBYDはクルマの屋根にドローンを搭載だと!? 留まるところを知らないBYDの開発スピードがヤバイ!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
売り物ではなく概念を展示するモデリスタ! 正体不明なトヨタbZ4Xはブランドの「新化」という概念を示すスタディモデルだった【大阪オートメッセ2025】
子どもに大人気の電動バギーに大迫力のエアロキットや色が変わるフィルムまで登場! 大阪オートメッセのEV関連出展物はどれもユニークすぎた
大阪は電動モビリティも元気いっぱい! ヒョンデの超注目EVにスズキ初の電動モペットなど見どころたくさん
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択