EVヘッドライン
share:

単三充電池40本のサバイバル……ミツバ、鈴鹿のエコレースで自社開発のEVバイクが9連覇[2023.08.17]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
TAG:
「Ene-1 Suzuka Challenge」に出場した「ミツバイク」(photo=ミツバ)

パナソニックの充電池「エネループ」40本分で鈴鹿東コースを8周
残電力をいかにマネジメントするかがEVレースのキモ

【THE 視点】ミツバは8月4日、「鈴鹿サーキット」<三重県鈴鹿市>にて7月30日に行なわれた手作りEVのエコレース「Ene-1 Suzuka Challenge」の「KV-Moto」部門(主催:ホンダモビリティランド)において、自社製の電動駆動システムを搭載したEVバイク「ミツバイク」が優勝を飾り、大会9連覇を達成したと発表した。

本レースは、パナソニックの単三充電池「エネループ」40本をエネルギー源とし、手作りのEVを使用してサーキットを走行する。2013年から開催されているレースで、今年は40台が参加した。

コースは鈴鹿サーキットの東コース(2.243km)を逆回りで走行。1台ずつ出走して1周のタイムアタックを行う「1 LAP」と、そのタイム順で決めたグリッドから一斉にスタートし、30分間走行する「30minトライアル」の2つの競技の合計ポイントで勝敗を決める。

クラスは、最低重量が15kgに制限されている「Div+」と「DivNEXT」、最低重量の定めがない「Div1」に分かれ、さらに一般、大学・高専・専門学校・高等学校・中学校の各部門に分かれる。

今回のレースでは、ミツバは「1 LAP」では2位だったが、「30minトライアル」でコース8周(走行距離18km)を完走し高ポイントを獲得した結果、総合優勝を飾った。高効率のモーターとエネルギーマネージメントが勝敗の決め手となったという。

「Ene-1」レースは、筆者がJAFの委員時代に開催されていたFIAのソーラーカーレースに併催されていたこともあり、見学したことがある。マシンはほとんど音を立てずに、選手が前傾姿勢で疾走していく姿が印象に残っている。

高レベルのモーター効率とエネルギーマネージメントが勝敗の決め手というが、マシンをどう省エネルギーで走らせるか、どのようなライン取りを行うかといった戦略も必要なはず。チームとライダーのスキルの差も結果に大きく働いていることは間違いない。

「フォーミュラE」もそうなのだが、飛ばしたもの勝ちではなく、チェッカーまでにバッテリーの残量をいかに制するかというサバイバルレースの側面もあるのが、EVレースの特徴である。

ちなみに「Ene-1」は、4輪クラスの「KV-40」も開催されており、次回は2023年10月15日(日)に「モビリティリゾートもてぎ」<栃木県茂木町>の予定だ。

余談だが、鈴鹿サーキットには、「ene-1(エネワン)」という一般者向けのアトラクションがある。一定のエネルギーで「走行距離」を競うものだ。エネルギーがなくなってしまえばゴール手前で終了。操作パネルにあるエコメーターを見ながらアクセルを調節し、400m先のゴールを目指すという内容となっている。“残電力サバイバル”の緊張感を味わえるアトラクションである。
(福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★中国の吉利汽車(ジーリー)、新型EV「JI YUE 01」を発表……クーペタイプのSUV、充電網を独自に構築

★★グリーンコープ生活協同組合ふくおか、配送車にEVトラック「日野デュトロ Z EV」を13台新規導入……約500台ある配送車の全EV化を加速

★★トムス、お台場にEVカート用のサーキットを開業……EVカートやe-モータースポーツを体験できる「シティサーキット東京ベイ」<東京都江東区>を10月下旬にオープン

★ボルボ・トラックス、マレーシアにてEVトラックの販売を開始……現地の物流企業が「FMエレクトリック」2台を初購入

★プラゴ、スマホ充電レンタルサービス「シェアスポット」を運営するインフォリッチと協業……「ShareSPOT」と「Myプラゴ」をそれぞれのサービスのコンテンツに組み込む

★エネチェンジ、「竜宮城スパホテル三日月 富士見亭」<千葉県木更津市>にEV用充電器を導入……「ホテル三日月本社」と合わせて6kWタイプの普通充電器を11基

デイリーEVヘッドライン[2023.08.17]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
ヒョンデの野心的な中長期戦略「ヒョンデ・ウェイ」発表! 2030年までに年間販売台数555万台を実現しそのうちEVは200万台を目指す
EVに関心があっても導入に踏み切れないタクシー事業者多数! 広島でbz4Xを導入した事業者の陰に「電脳交通」の存在あり
買っていきなりレースを走るだと!? ヒョンデ「アイオニック5 N」の記念すべき納車第1号オーナーの声
more
コラム
BYDシールで1000km走って「充電性能の安定性」に衝撃! リアルワールドでも「コスパ最強」が証明された
日本で発売直後なのに中国では年次改良で新型登場! BYDの新型SEALの実力がヤバい
日産の第一四半期の営業利益は前年同月比でなんと99%減少……って大丈夫か? 円安解消も含めてアメリカ&中国市場で苦戦を強いられている!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
more
イベント
とにかくこの形に惚れたんです! 日本中から約140台もの日産アリアが集結した「日産アリア全国オーナーズミーティング2024」に潜入した
走る以外の楽しみがEVにはある! ラーメン屋台まで登場した「EVサマーキャンプ2024」を見るとEVが欲しくなる!!
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択