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ACCは1km/hごとの速度設定に少し手間がかかる
スピードメーター表示とGPSによる実速度の差は下記表の通りだった。実速度を80km/hにしたい場合は、メーター速度を84km/hに合わせる必要がある。
なお、EQE 350+のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の設定はステアリング右側の下、スポークにあるボタンで設定できる。「RES」ボタンを押すと車両側で認識している制限速度表示が自動で設定されるのは便利だったが、写真のように新東名で「80」と「120」の標識が併記されているところでは、「大貨等」の対象である「80」を認識してしまう場面があった。
ACC走行中に設定速度を変更する場合は、「SET+」か「SET−」を押すのだが、このボタンでは10km/hごとしか変更できない。それでは上記の表のように84km/hに設定する場合はどうするかというと、アクセルを踏んで84km/hになった時点で「SET+」を押すとその時点の速度に設定できる。
なお、先行車との車間距離は「SET+」ボタンの左側のボタンで4段階の中から選択できる。
メーカー公表値通りの充電速度を実現
今回の電費計測では駿河湾沼津SAの下りと上りで1回ずつ充電を行った。その結果をまとめたのが次の表だ。
どちらのSAにも最高出力が150kWの充電器があり、EQE 350+も最大150kWでの充電が可能で、プレスリリースには150kWの場合、SOC10%から30分間で57%まで、47%分の充電ができるとある。
充電1では充電器側のトラブルで16分経過時点で充電がストップしてしまったため、SOCは18%、航続距離にして118km分の充電に留まった。充電中にバッテリー冷却用のファンが作動することはなかったため、車内はほぼ無音で、車外では周りのトラックのアイドリングの方が音が大きかった。
充電2ではメーカー公表値通りペースで、SOCが47%回復した。充電終了時はSOCが88%、航続距離が525kmととても安心できる数字になっていた。この充電2は120km/h巡航の往復を終えた直後なので、バッテリーが充電に適した温度に温まっていたのだろうか。気温は充電1も2も22.5℃だった。
ただ充電2ではバッテリー冷却システムが作動し、車内は63db、フロントナンバープレートの横の冷却用空気取り入れ口付近では68dbだった。もちろん充電1の時よりは車内にもそれなりに作動音が聞こえるが、我慢できないほどの大きさではなく、十分仮眠も取れる程度だ。
しかしながら、燃料を入れた分だけ確実に航続距離が伸びるICE(内燃機関)と違って、BEV(バッテリー電気自動車)の難しさは、充電速度が充電器や車両の状況によってはメーカー公表値通りにならないことがある点だ。
気温によっては冷房による航続距離の落差は無視できるレベル
エアコン使用状況に応じた、メーター上に表示される航続距離の変化は、夜間、深夜、昼間の3回確認した。気温が22.5℃から24.5℃とあまり差がなかったこともあり、特に冷房の下落率はいずれも2%とわずかだった。
暖房は下落率10〜13%、航続距離にして50km前後だった。過去に走らせたEVの中には、暖房をつけると航続可能距離が25%も下落してしまうモデルもあった。その頃からすれば下落率は、約半分に抑えられていて、技術の進化を感じた。
装着タイヤ
※製造週年は「2822」の場合、2022年の28週目に製造されたことを意味する。
Mercedes-Benz EQE 350+
全長:4,970mm
全幅:1,905mm
全高:1,495mm
ホイールベース:3,120mm
車両重量:2,390kg
前後重量配分:前1,150kg、後1,240kg
乗車定員:5名
交流電力量消費率:176Wh/km(WLTCモード)
一充電走行距離:624km(WLTCモード)
リアモーター最高出力:215kW(292ps)/3,559-15,913rpm
リアモーター最大トルク:565Nm/0-3,559rpm
バッテリー電力量:90.6kWh
モーター数:後1基
トランスミッション:1速固定
駆動方式:RWD
フロントサスペンション:4リンク式
リアサスペンション:マルチリンク式
フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク
リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:255/45R19
最小回転半径:4.9m
荷室容量:430L
車体本体価格:12,510,000円
CD値:0.22
※AMGラインパッケージ、パノラマスライディングルーフ装着車
※電費計測は、季節、気温、天候による差はどうしてもカバーしきれないこと、また電費は実際の乗車人数や荷物の積載量によっても変わってくるため、あくまでも参考値であること、ご了承いただきたい。
基本的には速度規制や車線規制がない状況で走行するものの、避けられない場合は適切な速度で走行し、その区間の電費については数値の補正を実施する。