コラム
share:

エコランではなくガチ計測!THE EV TIMES流の電費計測を開始


TEXT:烏山 大輔 PHOTO:小河原 認 、烏山 大輔
TAG:

BEV(バッテリー電気自動車)を購入するにあたり、不安な点と言えば充電環境に加えて、まだまだ不充分とされる航続距離だ。

カタログには一充電走行距離の値を明示してある。しかしEVが実際に使われる現場は、そうした値が記録される平坦で一定なテストコースではなく、勾配もカーブもある。

そこでTHE EV TIMESでは、試乗や撮影で広報車を借り出す機会に乗じて、公道の高速道路で「生きた」電費を計り、読者の皆さんの参考になる電費を導き出したいと考えた。

計測方法

高速道路をACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を使用し、80km/h、100km/h、120km/hの各速度で巡航した電費を計測する。ACCを使用することで、誰でも一定速走行を実現できるので、読者の皆さんの再現性も高いものとなる。

なお、同じ区間の往路と復路を同じ速度で走行することにより、勾配(標高差)を平準化しており、往復距離を往復で消費した電力で割って区間電費としている。同じ速度の別区間(AとD、BとC)との平均電費も走行距離を消費電力で割って算出している。

計測区間に入ったらすぐにACCを巡航速度に合わせ、電費をリセットし計測区間終了直前の電費を記録する。

なお、車両のメーター速度表示と実際の速度には差があるため、GPSで実速度を確認しACC設定速度を調整、正確に各巡航速度で走行できるようにする。こうすることでメーター80km/h巡航においてA車は実速度78km/h、B車は実速度が75km/hで、実はB車の方が有利だったという不公平をなくす。

そして計測は、交通量が少なく渋滞が発生する可能性の低い深夜に実施する。

計測区間

120km/hの電費を計測するため、現状では国内で最も制限速度120km/h区間の長い新東名高速道路(以下、新東名)を利用するため、東名高速道路(以下、東名)と新東名を使用することにした。

実際の制限速度を踏まえ、かつ各速度で往復の走行距離を約100kmに合わせるため、下記の5区間を設定した。

A区間:
東名川崎IC(標高47m)ー厚木IC(標高22m)
100km/h、距離27.4km、標高差25m

 

B区間:
厚木IC(標高22m)ー秦野中井IC(標高107m)
80km/h、距離15.1km、標高差85m

 

C区間:
秦野中井IC(標高107m)ー御殿場IC(標高454m)
80km/h、距離33.6km、標高差347m
D区間:
御殿場IC(標高454m)ー駿河湾沼津SA(標高138m)
100km/h、距離23.3km、標高差316m
E区間:
駿河湾沼津SA(標高138m)ー新静岡IC(標高71m)
120km/h、距離47.8km、標高差67m
80km/h巡航区間距離:片道48.7km、往復97.4km
100km/h巡航区間距離:片道50.7km、往復101.4km
120km/h巡航区間距離:片道47.8km、往復95.6km

標高差の多寡による電費の差を確認するため、80km/h区間はあえてB区間(標高差85m)とC区間(標高差347m)に分けている。

100km/h巡航もA区間は標高差25mとほぼ平坦だが、D区間は316mもあり、この2区間の差にも注目だ。

120km/h巡航は確実に電費が悪くなることが考えられるが、各自動車メーカーはBEV化にあたり、ドアハンドルをグリップ式からフラップ式や格納式にしたり、メルセデスはEQシリーズにワンボウ・デザインを採用するなど空力性能を突き詰めており、EQSセダンに至っては量産車世界初のCd値0.20を達成している。

さらに欧州では120km/h以上の速度域での移動の場面も実際に考えられるので、欧州車、中でも特にアウトバーンのあるドイツ車が120km/h電費の「落ち度」が少ないかどうかなど、何か見えてくるものがあるかもしれないと思い、120km/hの電費計測にも臨む。

 

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ZF・AxTrax2(photo=ZF)
被けん引車を補助動力装置化し電費・燃費を向上……ZF、トレーラ用EV駆動システムを開発[2023.09.25]
ZF・CeTrax 2デュアル電動セントラルドライブ(photo=ZF)
完全低床フルフラットバスが実現へ……ZF、EVバス用の新型駆動ユニットを発表[2023.09.22]
ホンダ・モトコンパクト(photo=アメリカン・ホンダ・モーター)
「モトコンポ」がEVで復活……米ホンダ、超小型電動スクーター「モトコンパクト」を発表[2023.09.21]
more
ニュース
BYDの新型EV「ドルフィン」は363万円から。補助金で200万円台も可能
大型トラックのEV化進む。メルセデスが航続距離500kmの「eアクトロス600」を発表
新モデル「iX1 eDrive20」がBMWのEVに追加。実質500万円前後で購入可能かも?
more
コラム
元町工場で様々なモデルが混流生産される様子。出典:トヨタ
トヨタの「からくり」やカイゼンに満ちたクルマづくりを、EVも混流生産する現場で見た
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?
宇都宮駅東口の周辺を走る、宇都宮芳賀ライトレールの様子。筆者撮影
8月開業の宇都宮「LRT」が拓く電動モビリティの可能性。渋滞解消と新しい街づくりに大きく前進
more
インタビュー
電気自動車で自由に旅できる世界を目指して。シュルーターさんと「ID.BUZZ」の旅物語
ボルボ「EX30」は「脱炭素」をキーワードにインテリアの“プレミアム”を再定義する
フォルクスワーゲン「ID.BUZZ」は人や荷物だけでなく笑顔もはこぶクルマ
more
試乗
BYDドルフィンのフロントビュー
新型BYD「ドルフィン」の商品力に見る凄み。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗
BYDドルフィンのフロントビュー
BYD「ドルフィン」で感心した3つのポイントとは。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗
BYDドルフィンのフロントビュー
BYD「ドルフィン」は日本製EVの脅威となるか。中国発の最新コンパクトハッチに国内試乗
more
イベント
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=日本EVクラブ)
今年の最長距離の参加者は⁉︎……「ジャパンEVラリー白馬2023」は充電計画も愉しい
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
ぶっちゃけトークの夜がやっぱり本番⁉︎……72台のEVが集まった「ジャパンEVラリー白馬」
ジャパンEVラリー白馬2023(photo=福田 雅敏)
「ホンダ・クラリティ FUEL CELL」でEVイベントに参加……長距離走の燃費を計測してみた
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択