EVヘッドライン
share:

JR西日本、水素燃料電池列車を開発へ……デイリーEVヘッドライン[2023.04.17]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
TAG:

鉄道アセットを総合水素ステーションに活用
社会インフラにこそ燃料電池式のEVは有用

【THE 視点】西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は4月12日、燃料電池を搭載した鉄道車両を開発することを発表した。合わせて水素ステーションの整備も進め、鉄道ほかトラックなどの物流関係に水素を提供する計画だ。

JR西日本は、2050年にグループ全体の CO2 排出量を「実質ゼロ」とすることをめざしている。その一環として、水素利活用に関して2つのテーマをあげた。

1つ目は、水素利活用計画の検討である。駅などの鉄道アセットを活用した「総合水素ステーション」を設置し、燃料電池列車やバス・トラック・乗用車に対する水素供給および日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)の貨物列車による水素輸送の拠点としての活用を検討するという。

2つ目は、燃料電池列車導入に向けた開発である。気動車(ディーゼルエンジン車両)の将来の置換えをめざす。

今回のJR西日本の水素の利活用計画において、「総合水素ステーション」という発想は非常に良い取り組みであり、まさに「ステーション(駅)」と言える。

自動車と鉄道とはこれまで別なものとして考えられてきたが、自動車共用の水素ステーションが出来れば、建設費の大幅なコストダウンにもつながり、遅々として進まない水素ステーションの整備が改善されるのではないだろうか。もちろん水素ステーション側の稼働も増えるため収益率の改善にもつながる。

筆者は、普段の移動の足としてFCEVに乗るが、東京23区内にある水素ステーションでも、1日10台程度の利用しかないという。湾岸部に行けば、東京都交通局のFCEVバス「トヨタ・ソラ」が多く走っているので稼働は多いだろうが、1日10台程度では人件費さえ稼げない状況ではないかと思われる。

また、気動車に代わる列車として燃料電池列車というのも良い選択と考える。EVと同じバッテリー式では、恐らく膨大な量の電池を搭載しなければならず、その充電にも相当の時間が掛かる。

燃料電池の良いところは充填時間の短さで、電車の折り返し時間などに水素が補給できれば、現在のダイヤと列車の運用に大幅な変更を必要としない。

この「総合水素ステーション」事業と燃料電池列車、是非とも実現してほしいものである。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★ランチア、ブランドビジョンを反映したコンセプトEV「Lancia Pu+Ra HPE」を発表……航続距離700km以上、充電時間は10分強詳細はこちら<click>

★★ホンダ、ヤマト運輸にEVの「N-VAN」を提供……来年春発売予定の新型軽商用EVのテスト詳細はこちら<click>

★MG、新型オープンカーのティザー映像をSNSに公開……「The MG sports car returns ……」と予告

★日産、「R32 EV」の開発進捗第4弾をツイッターに公開……車体の内外をマーカーを用いて計測、エンジンルーム内にはRB26DETTがまだある模様

★ボッシュ、欧州初のバッテリー放電プラントを開発……バッテリーリサイクル需要の高まりに対応詳細はこちら<click>

★MG、2023年第1四半期の販売台数は2万679台……EVのシェアは9.4%に成長

★九州大学でEV三輪バイクシェアリングが開始……次世代モビリティのフューチャー・九州大学・QTnetが実証実験、広大なキャンパス内などの移動に

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ブレーキダストを封じ込めて環境対策! メルセデス・ベンツが開発したEVならではの技術「インドライブ・ブレーキ」ってどんなもの?
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
more
ニュース
ロングホイールベース化で後席が7シリーズ並! BMW 5シリーズ 「i5 eDrive35L」と「525Li」に「Exclusive M Sport」を追加
中国専売EV第2弾はクロスオーバーSUV! スポーティなクーペ風スタイリングがマツダらしい「EZ-60」を上海モータショーで発表
上海モーターショーで見えたトヨタのマルチパスウェイ! フラッグシップEV「bZ7」とレクサス新型「ES」を同時発表
more
コラム
水素燃料電池車は大型トラックでこそ活きる? FCVトラックのいまの立ち位置と立ちはだかる課題
「濡れた手でコンセントを触るな」なんて言われてきたけど……雨の日に屋外の充電器でEVの充電をするのは危険?
BYDの最新SUV「シーライオン7」で1000kmロングラン! ちょっと気になる点はハイスピード電費と急速充電性能!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択