メーカー主導の欧米と専門業者主導の日本のインフラ、充電器の利便性に課題
【THE 視点】フォルクスワーゲン・グループは1月27日、世界で延べ1万5,000基の急速充電器(最高出力350kW)が、同社のグローバル・ネットワークに接続されたと発表した。この数字はグループが目指す4万5,000基のネットワークの3分の1の数を示している。
このネットワークは、フォルクスワーゲンが国際的な自動車メーカーとして初めてすべてのEVが利用できる世界的な急速充電ネットワークをパートナー企業とともに構築していくプロジェクト。2023年末までにヨーロッパで約1万箇所、世界中で最大2万5,000箇所の急速充電ポイントが稼働する予定だ。
ヨーロッパの急速充電ポイントは、VVグループのフォルクスワーゲンの乗用車部門、アウディ、ポルシェが参加する合弁事業「IONITY(アイオニティ)」の支援を受けて設置されている。
日本においても、アウディジャパンが主体となり、ポルシェジャパンとともに展開する150kW(一部90kWもあり)の急速充電器ネットワーク「プレミアム・チャージング・アライアンス」が展開されていて、フォルクスワーゲンジャパンも加入している。
現在、日本で最大の充電インフラを抱える企業は株式会社e-Mobility Powerだ。その数は約2万200口(急速充電器7,400口+普通充電器1万2,800口)となっている。国内全体では、約4万基((一社)次世代自動車振興センター 充電設備補助金交付台数)と言われていて、近年はガソリンスタンドの数が3万箇所を割ったという話があり、充電器の数がガソリンスタンドの数を超えたことになる。日本政府は、成長戦略として2030年までに普通充電器12万基、急速充電器3万基を設置すると発表している。
また2月9日、e-モビリティ・パワーとエネチェンジが提携し、エネチェンジが展開する普通充電器(最高出力6kW)を、e-モビリティ・パワーのネットワークに今後置き換えていくことを提案すると発表した。これにより、従来の最高出力3kWの充電器のおよそ2倍の速度で充電できるので、大容量化が進むEVの充電が効率的に行えるようになっていく。
筆者としては、充電器の数は多い方が良いと思っているが、その利用方法については改善の余地があると考えている。法的な問題もあるので実現可能かは別として、今のガソリンスタンドのように入れた分(充電量)だけ課金され、現金やクレジットカードの利用が解禁されれば、会員でなくても手軽に充電できるようになるはず。もちろん会員との充電料金の差はあっても構わない。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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