日本車に有利な日本タイ経済連携協定
山本局長:補助金以外で優遇策はあるのでしょうか。
クリサダ会長:乗用車の自動車税は8%ですが国産のEV車は2%になります。輸入車についてはどの車両も80%の税金がかかりますが、EVに関しては40%です。ただ日本とタイは経済協定があるので日本車を輸入する場合は税金が20%で、EVだと0%になります。
山本局長:日本とタイの取り決めは何というものですか。
クリサダ会長:日本タイ経済連携協定(JTEPA)という2国間協定です。
タイ政府のEV補助金については2022年のこのモーターショーの3月頃に発表されました。ナショナルEVコートという国の委員会に関係する各省庁、例えば工業省・交通省・大蔵省などの省庁が集まって国の方針を決めます。2021年に方針を決めてタイはEVを推進することになりました。その目標と先ほどの政策があり、MGとGWM(グレートウォールモーター)の自動車メーカー2社がこのモーターショーで、タイ国内で製造するための提携をしたいと表明しました。
現在は政府と協力する会社が先ほどの2社から、自動車が9社、バイクが3社の合計12社となりました。そのうち日本の会社は2社あり、自動車はトヨタモータースタイランド、バイクがタイホンダです。この補助金は自動車・バイク・ピックアップトラックをカバーしています。
山本局長:タイが急激にEVシフトする理由は何ですか。
クリサダ会長:ナショナルEVコートという国のブレインたちが、タイの自動車産業がエンジンからEVの時代に変わると見込んだのです。タイの自動車生産量は世界で10番か11番くらい。このままエンジン車を生産していくと世界的に遅れてしまうので、国力アップのためにEV車を生産していく必要性があると判断し、EVについての様々な方針や政策を出してきました。
山本局長:ASEANの中でもタイはEVに意欲的で、EVの自動車・バイクのメーカーだけでなく、周辺機器も一緒に生産を試みていると思いますが、具体的にどのようなことをしていますか。
クリサダ会長:先ほどの国の政策構想で、自動車をタイで組み立てるために国が推すのは、国内生産の割合を高めていくことです。
例えばタイとEV生産での補助金制度で署名をしているバイクの会社は、モーターやバッテリーのような重要な部品をタイ国内で作ることを国が強く要請しています。今はバッテリーを製作する会社は国内にエナジー・アブソルートとGTSEの2社しかありません。政府はバッテリー会社がタイ国内に投資をするのを期待しており、バッテリーを国内で製造する会社を政策で支援したいと考えています。
Krisda Utamote(タイ電気自動車協会会長)
電気自動車の技術と革新における知識交換の促進と支援を目的とし、電気自動車技術の発展に関する規制、基準、運用に関するコンサルティングも行うタイ電気自動車協会の会長。さらにBMW Group Thailandでも21年以上にわたり、MINI のディーラー開発、販売計画、ブランド管理を担当し、現在はBMW、MINI、BMW Motorrad のビジネスユニットのコーポレートおよび製品コミュニケーションの管理、ならびにBMW Thailand、BMW Manufacturing Thailand、BMW Financial Services Thailandの企業業務の管理や広報部長とBMW Group Thailandの要職も務める。