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CEV補助金は令和5年4月からどう変わる?


TEXT:生方 聡
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経済産業省は2月14日、令和5年4月からの「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」(以下、CEV補助金)についてその概要を公表した。EV購入者向けの補助金の額はおおむねこれまでどおりだが、一部車両では減額になるなど変更も見られる。そこで、CEV補助金の歴史も含めて、発表の内容をチェックしてみる。

CEV補助金は1998年にスタート

EVを購入するうえでハードルになるのが、エンジン車に比べて価格が割高なこと。そこで、経済産業省ではEVを新車で買う人を対象としたCEV補助金によって、EVの普及促進を図ってきた。私もフォルクスワーゲンID.4を購入後にCEV補助金を申請。65万円の補助金が受け取れる予定……申請から2ヵ月半が経過したが、まだ振り込みはない。

CEV補助金がスタートしたのは、いまから25年も前の平成10年(1998年)のこと。当初は「同種の一般の自動車との差額」、すなわちベースとなるエンジン車から値上がりした価格の一部を補助していた(上限額あり)。

ただ、これだと差額を算定するベース車両・グレードを何にするかで補助金の額が変わるし、そもそもEV専用モデルでは差額を算出こと自体不可能。また、経済産業省としてはより電費性能が高いEVを普及させる意味から、平成28年(2016年)からは航続距離をもとに、さらに令和2年(2020年)度第3次補正予算分からは消費電力率を考慮して算出する方法に変更されている。

直近の令和4年度の場合、補助金の額は次のように算出される(乗車定員10人以下の普通自動車)。

  • ・外部給電機能がない場合:3000×(一充電走行距離−160)×176.2÷電力消費率+50000
  • ・外部給電機能がある場合:4000×(一充電走行距離−160)×176.2÷電力消費率+50000

ここで「176.2」の数字は基準となる電力消費率で、この数値より電力消費率が良ければ(数値が小さければ)補助金額が高くなるという計算だ。また、外部給電機能(V2Lまたは、V2H、または、AC100V/1500Wのコンセントを搭載)があれば、それだけで補助金がアップするという計算である。ただし、補助金の額には上限があり、外部給電機能がない場合は65万円、ある場合は85万円になる。なお、小型自動車と軽自動車は算出方法が異なり、上限額は外部給電機能がない場合が45万円、ある場合が55万円になる。

試しに私が購入した「ID.4プロ・ローンチエディション」の場合で計算してみると、外部給電機能がないので、

3,000×(561−160)×176.2÷153+50,000=1,485,417円

という計算になるが、実際には上限があるので、ID.4プロ・ローンチエディションの補助金額は65万円になる。

他の例としては、「アウディQ4 e-tron」「ボルボC40リチャージ」「BMW iX」など輸入EVの多くが65万円であるのに対し、「トヨタbZ4X」や「ヒョンデ・アイオニック5」などは、外部給電機能を武器に85万円を獲得。「日産サクラ」や「三菱eKクロスEV」も軽自動車ながら55万円となる。

CEV補助金以外には、地方自治体が独自に給付する補助金がある。興味がある人は「次世代自動車振興センター」の解説ページをご一読いただきたい。

https://www.cev-pc.or.jp/local_supports/hokkaido.html

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