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フォルクスワーゲン、盤石なBEV生産体制構築へ。3つのギガファクトリーを設置


TEXT:小川フミオ
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フォルクスワーゲンはBEV(バッテリー電気自動車)ラインナップの構築を急ピッチで進めている。BEVの開発・生産と並行して、彼らが積極的に推進しているのが、自グループにおけるバッテリー開発・生産の体制強化だ。公式発表によれば、本拠地であるドイツを皮切りに、スペイン、そしてカナダへ、3つのバッテリー工場を新設するという。将来のVWグループBEVを支える車台「SSP(Scalable System Platform)」に適用する統一規格のバッテリーセル「ユニファイドセル」を、そこで大量生産していく姿勢を打ち立てている。勢いに乗るVWのBEV戦略の最前線に、自動車ジャーナリストの小川フミオが迫った。

新生「スカウト」ブランドで北米のEVシフトを推進

VWグループのテクノロジー担当役員トマス・シュマル氏 脱炭素化の重要性を説くVWグループのテクノロジー担当役員でありPowerCoも担当するトマス・シュマル氏

 

フォルクスワーゲンは、BEV生産に本格的に向き合っている。最重要パーツであるバッテリーも、自社で開発し生産する動きが、ここにきて急加速中だ。

バッテリーに関するVWの最新の動きは、2023年3月13日に発表された、カナダ・オンタリオ州にバッテリー工場を建設するというもの。

発表の席上で、VWグループのオリバー・ブルーメCEOは、2022年12月に発表した「10ポイントプラン(10項目の計画)」を引き合いに出し、「北米戦略はなかでも最重要」とした。

北米におけるVWの近々の活動は、BEVを中心としたもの。ID.4の現地生産に加え、SUVの元祖ともいわれる「スカウト」の名を復活させ、BEVとしてサウスカロライナ工場で作る計画も進行中だ。

スカウトは、1961年から80年にかけて、米インターナショナルハーベスター社が生産を手がけていた。

86年に、ナビスターインターナショナルコーポレーション社によって買収されたのち、VWは2021年にナビスターを傘下に納め、同時にスカウトの商標権も手に入れている。

独ギガファクトリーは2025年に稼動予定

独ザルツギッターに建築中の工場、ザルツギガ ザルツギガが稼働したときはカーボンニュートラルの工場になるという

 

フォルクスワーゲンは2022年にPowerCo SE(SE=欧州株式会社)という子会社を設立。グループのバッテリー関連機能をここに集約させている。

ギガファクトリー(生産を集約した大きな施設)の第1号は、ドイツで2025年からの稼働をめざして建設が進められている。

VW本社のある独ウォルフスブルクから南西40km少々のザルツギッターなる町の郊外にある「ザルツギガ Salzgiga」バッテリー工場。

カナダにおける計画が発表された日、私はちょうど、ザルツギガ(ギガファクトリーにひっかけた新しい呼称)を見学に訪れていた。

広大な敷地内では、研究棟やパイロット生産設備が試験稼働しはじめていて、あとは工場の土台が建設中。25mほどのコンクリート製の支柱が並べられていたりと、壮観な光景だった。

1970年に稼働開始したザルツギッター工場では、当初K70というフォルクスワーゲンセダンを生産(日本には輸入されなかった)。エンジン生産が主業務だ。

2022年7月に、VW(PowerCo)はここにバッテリー工場をつくる計画を発表したのだった。

「2030年までには、ヨーロッパで販売される車両の10台に8台がBEVになると予想しています」とは、フォルクスワーゲンのパトリック・アンドレアス・マイアー最高財務責任者(CFO)の言。

同社では「2026年までに10車種の新しいBEVモデルを発売する予定」(マイアーCFO)といい、工場の改装を含めて生産体制の変革を急ピッチで進めている。

PowerCoは、ここに20億ユーロの投資をして、ユニファイドセル(どのVWのBEVでも使える統一規格のバッテリーセル)の開発・製造を行う。

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