コラム
share:

買い替えずとも乗ってるクルマの「自動運転レベル」が進化する! テスラが火を付けた「OTA」ってなに?


TEXT:桃田健史 PHOTO:TET 編集部
TAG:

自動運転技術に対して積極的にOTAを導入

テスラに関して、自動運転技術のアップグレードについてのさまざまな情報をネット上で見かける。モデルによって、また販売時期や購入時期によって、テスラユーザーの想いは異なるようだ。また、いわゆる認定中古車ではない状態で中古車市場に出まわるテスラ車についても、状況は異なることが考えられる。

そのため、本稿では対象をテスラに限定するのではなく、テスラが自動車産業界に大きなインパクトを与えたOTA(オーバー・ジ・エアー)の観点で話を進めていきたい。

テスラ車のイメージ

まずは、話の前提として、自動運転レベルについて触れておきたい。グローバルでの共通認識として、自動運転技術を示すレベルにはレベル1からレベル5の5段階があり、レベル1とレベル2では運転の主体はドライバーだ。そのため、この領域は先進運転者支援システム(ADAS)となる。レベル3、レベル4、そしてレベル5になると、運転の主体はクルマのシステムが担う。

このうち、レベル3では気象状況などにより、クルマのシステムが自動運転の継続が難しいと判断した場合、ドライバーに運転をリクエストする。それが、レベル4になると、ハンドル、アクセル、ブレーキなど車内操作類がなくなり、いわゆる自動運転という感じのクルマとなる。

テスラ車の室内

さらに、レベル5になると、そのような走行環境でも完全な自動運転を行うとしているが、これはあくまでも理想論であり、実質的にはレベル4が最上位の自動運転という考え方が、自動車産業界での常識になってきている。

こうした自動運転レベルやそれに伴うODDと呼ばれる走行環境・条件を、通信によって車載システムのデータを書き換えることを、OTAと呼んでいる。

自動車メーカー各社は2010年代前半頃から、OTAを含むコネクテッド技術の研究開発を加速させてきた。2010年代半ばにはアメリカのハッカーが車載システムを遠隔操作する模様をネット上に広めるなどしたことがきっかけとなり、自動車産業界全体でサイバーセキュリティ強化の動きが強まった。

OTAについても慎重な姿勢を示す自動車メーカーが多かったなかで、テスラは自動運転技術に対して積極的にOTAを導入した。

テスラ車のイメージ

その当時、アメリカのテスラ本社を取材したが、担当者はまずは先行して高性能なハードウェアを製造時に組み込み、その後にOTAによってアップグレードする計画を示した。

こうしたハードウェアの先行導入時期とその基本性能、OTAのソフトウェアのアップデートのタイミングについてのバランスをどう取るのかは、コネクテッド技術が急速に発達するなかで、コストと利便性の観点でとても難しいと思う。

こうしたコネクテッド技術の進化の過程で、OTA導入により先行したテスラが今後、どのような対応をするのか興味深いところだ。

テスラは10月、レベル4によるロボタクシーの社会実装計画に加えて、モデルYやモデル3などの乗用モデルについても自動運転レベル3相当の標準装備化を進めると発表している。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
ヒョンデの魅力を日本に伝える新たな拠点! 「ヒョンデ みなとみらい 本社ショールーム」がグランドオープン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
more
ニュース
ヒョンデ新型EVは第4の刺客にして真打ち登場か? サイズも価格も軽EVを徹底的にマークした「インスター」
EVとしては使えなくなってもまだまだ再利用できる! 日産リーフのバッテリーを再利用したポータブル電源が「JIDAデザインミュージアムセレクションVol.26」に選定
ジープ初の電気自動車「アベンジャー」に限定色「レイク」をまとった100台の特別限定車が登場
more
コラム
テスラ・モデルYをいま買うと5年間充電無料!? MC前の在庫限りだけど計算してみたら驚くほどお得だった!
「30分で80%」って聞いてたのに半分しか充電されない……は普通に起こりうる! EVの急速充電の真実とは
EVの先行きはわからないが気がつけば選び放題! いまの日本は輸入車だけで7ブランド136車種ものEVが買える!!
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
EVのチューニングカーに新車とトピックが目白押し! 東京オートサロン2025を彩ったEVたちを一挙公開
東京オートサロンに現れた異色のアリアはなんと学生ひとりで作った力作! ここまで仕上がっててじつはまだ進化途中だったってマジか
免許を返納した高齢者も祖父母の手伝いに来た高校生の孫も乗れる! バッテリー交換式を採用したヤマハ「ディアパソン C580」が描く明るい未来
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択