#急速充電
TEXT:小鮒康一
「ガソリンでも走れるくせに急速充電器使うなよ」は暴論? 正論? PHEVの急速充電器問題を考えてみた

外部充電のみで賄っているPHEVユーザーも存在 EVユーザーにとってバッテリー残量というのは命綱でもあり、ギリギリの状態でたどり着いた急速充電器に先客がいたときの絶望感は計り知れないものがある。 このとき充電しているのがBEVであるならまだしも、PHEV車であったときは、「ガソリンでも走れるんだから、急速充電器占領しないでよ~」という気もちになる人も少なからずいるのではないだろうか。 筆者もBEVに乗っていたときは何度かそういったシチュエーションに遭遇し、そういった気もちを抱いたことがあるというのが正直なところだ。 しかし、冷静に考えてみれば、急速充電器を使用しているPHEVユーザーも年会費やビジター充電費を支払って使用しているれっきとしたユーザーであり、急速充電器を使用する権利はBEVユーザーと同等にあるということなる。 PHEVモデルはバッテリー容量がそこまで大きくないため、自宅で充電すれば十分だろうという声もあるかもしれないが、なかには自宅に充電設備をもたずに外部充電のみで賄っているユーザーも少なからず存在するハズ。 そもそもPHEVのユーザーは急速充電器を占領するな、といい始めてしまうと、次はBEVのユーザーでも緊急性の低いユーザーは急速充電器を占領するな、というような意見にも繋がりかねないだろう。 もちろん、急速充電器を使う側にもマナーは必要であるため、充電が終わっているのに一向にクルマに戻ってこないとか、そもそも純内燃機関車なのに急速充電器前に駐車するというような行為は言語道断だが、自車のバッテリー残量や待機ユーザーの有無などで譲り合って使うというのがマナーであるのはBEVでもPHEVでも変わりないといえるのではないだろうか。 今後、さらにBEVが普及して急速充電器がより多く設置されるようになったり、充電速度が飛躍的に向上したりすれば、こういったいがみ合う意見も減ってくるかもしれないが、現状はやむを得ないところがあるというのが実際のところ。いつの日か、そんなこともあったと当時を知る人の間で話せる日が来ることを期待したい。

TAG: #EV #PHEV #急速充電
TEXT:渡辺陽一郎
全国の高速道路でたった「520口」かよ! EVが売れてないのにそこかしこで「急速充電待ち」が発生するワケ

高速道路の急速充電器は520口程度に留まる 2024年中旬時点で、急速充電器(CHAdeMO)の口数は、全国に約1万500口とされる。給油所の数は全国に約2万7000カ所で、もっとも多かった1994年は6万カ所以上だったからいまは半減したが、急速充電器の口数はさらに少ない。 しかも給油所では、1回に複数の車両を給油できて所要時間も短いが、急速充電器は前述のとおり全国に約1万500口しかないうえに、充電の所要時間は、給油に比べて大幅に長い。乗用車の給油は5分以内で終わるが、急速充電は、充電量にもよるが1台当たり20〜30分はかかる。 その代わり、電気自動車は自宅でも充電できるのだが、急速充電器を利用すると順番待ちになることが多い。それはおもに高速道路のパーキングエリアやサービスエリアだ。新車の販売店に設置された急速充電器なら、比較的スムースに利用できるが、パーキングエリアやサービスエリアでは時間を要する。 そうなる理由は、パーキングエリアやサービスエリアの拠点数に対して、設置されている急速充電器が少ないためだ。全国にパーキングエリアは約650カ所、サービスエリアは約240カ所だから合計約890カ所に達するが、高速道路の急速充電器は520口程度に留まる。 パーキングエリアやサービスエリアの約890カ所に達しない。 ちなみに電気自動車のユーザーは、大半が一戸建てに住む。都市部の販売店では「最近はマンションに住みながら、販売店の急速充電器で充電するお客さまも増えているが、中心はいまでも一戸建て」だという。そうなると、短距離移動のための充電は自宅で行う。急速充電器を使うのは、長距離移動が中心だから、高速道路にこそ集中的に設置すべきだ。 しかし実際は、前述のとおり急速充電器が適材適所で設置されているとはいえない。関係者によると、「高速道路のパーキングエリアでは、それぞれ配電事情が異なり、急速充電器を設置しにくい場所も少なくない」という。 結局のところ、電気自動車の充電は自宅で行うのが基本だ。そして電気自動車は、遠方への外出には適さない。電気自動車の世界観では、クルマは近隣の移動に使うものだ。遠方まで出かけるときは、駅の駐車場に駐めて公共の交通機関を利用するパーク&ライドとの親和性が高い。長距離の移動では、クルマの利用よりも、公共交通機関の環境負荷が圧倒的に小さいためだ。 仮に電気自動車で長距離を移動するなら、時間に余裕をもたせて、充電スケジュールを組んでおく必要がある。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:小鮒康一
この先の「充電カード選び」が明暗をわける! EVをお得に乗るなら充電サービスにアンテナを張るのが正解だった

サービスによって年会費や充電料金が異なる BEVで走るためには必要不可欠な充電という行為。いまBEVに乗っている人の多くは自宅に充電設備があり、寝ている間など、クルマを使用しない間に充電を行い、次に乗るときにはある程度充電された状態、もしくは満充電状態で乗り出すというケースが一般的だろう。 ただ近年は、大容量バッテリーを搭載したBEVも増えてきており、BEVで長距離移動を行う人も少なくない。そうなると、道中で継ぎ足し充電などを行うケースも増えるワケなのだが、ここで問題となるのが充電をするためには基本的に会員カードやwebでの認証など、何かしらのワンアクションが必要となり、充電ケーブルを車両に繋いで即充電、とはいかない点だろう。 しかもこの会員カードは誰でも入会できるタイプのものもあれば、そのメーカーの車種を保有していないと入会できないタイプもあり、それぞれに入会金や月会費、そして都度の充電料金の単価に違いがあるというややこしさなのだ。 一応、カードがなくてもその場でweb登録を行って充電をすることができるビジター充電というサービスもあるが、登録に手間がかかる上にビジター充電は割高になることが多いので、緊急時の最終手段という形になるだろう。 新車でBEVを購入するユーザーの多い現在では、ほとんどの人が各販売メーカーが用意する充電プランに入会しているとは思うが(初年度無料などのサービスが付帯するケースも多いため)、今後、中古車でBEVを購入するユーザーも増えてくるにつれて、どのサービスに入会するかに頭を悩ませる人が増えるのは間違いないだろう。 現状は複数のサービスが存在する状況となってはいるが、すでにサービスを終了した事業者も存在するなど、まだまだ紆余曲折がありそうな雰囲気で、携帯電話やクレジットカードのように定期的に内容を見直して選択する必要が出てくるハズ。 各社とも基本料金はやや高めながら都度課金額が安いところや、年会費はかからないものの、都度課金額が高めなところなど、すでに特色も出てきているので、自分の使い方に合わせて最適なサービスを選びたいところ。 数が多いと選ぶのには難儀するが、その分だけ競争力が働いてユーザーにとっては有利になることも少なくないので、つねにアンテナを張っておくことが重要といえそうだ。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:桃田健史
急速充電器はさまざまな規格が乱立状態! EVの普及を目指すなか充電器事情はこの先どうなる?

CHAdeMOは当分の間150kWまで 普通充電と急速充電。こうした表現が最近、日本でもかなり浸透し、その違いについての理解も広まってきている印象がある。 最近では、経済産業省によるEV普及施策の一環として、ベンチャー企業などを巻き込んで全国各地でEV用充電インフラ整備が進んでいることも影響しているのだろう。また、消防法などによる高出力型充電器の設置に関わる規制も段階的に緩和されている状況だ。 そうしたなか、急速充電については、高速道路のSAやPAで最新設備の導入を急いでいるところだ。EV所有者に限らず、そうした機器をSAやPAで見かけることもあるだろう。 具体的には、1基を単独使用した場合の最大出力が90kWで同時に複数のEVに対応できるタイプや最大出力150kWの仕様だ。輸入車ブランドでは、アウディとポルシェが連携し、全国の新車販売店で出力150kWの充電器を設置する事業戦略を進めているところだ。 こうした急速充電の高出力化の傾向は、いつまで続き、またこの先はどこまで出力が上がっていくのだろうか。 IT、電子・電気に関する各種カンファレンスや商業見本市、また自動車メーカーの報道陣向け試乗会など、さまざまな機会に急速充電に関わる人たちと急速充電の今後について話を聞いているが、「CHAdeMOは当分の間、150kWまで」という声が主流だ。 高出力化の最大の課題は、充電器単体のコストではなく電気代だという。イニシャルコスト(初期投資)としては、急速充電器が数百万円かかり、さらに設置工事にも数百万円が必要であり、トータルで1000万円を超えてしまうことも珍しくない。さらに、ランニングコストとしての電気代がかさむ。 そのため、急速充電器をさらに高出力化するのであれば、新しいサービス事業の開拓が必然であろう。 たとえば、家庭や企業における普通充電やV2H(ヴィークル・トゥ・ホーム)、また電池のリサイクル・リユース、さらにスマホなど通信機器の購入・データ通信・通話代を含めるといった、エネルギーマネージメント事業の構築が考えられるだろう。 一方で、グローバルに目を向けると、急速充電方式については、CHAdeMO、アメリカでのCCS1、欧州でのCCS2、中国でのGB/T、そしてテスラ方式であるNACSが並行して存在する状態が続いている。EVシフトがいま、「踊り場」といわれるなか、急速充電の規格について実質的な標準化や統一に関する議論が自動車産業界で盛り上がっているとはいえない状況だ。 それでも、自動車産業界では「2030年代にはEV本格普及の目処が見えてくる」との見解が一般的だ。そのため、急速充電の規格、またエネルギーマネージメント事業を勘案した適正な高出力についても2020年代後半までには、自動車産業界で何らかの動きが起こるのではないだろうか。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:渡辺陽一郎
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解

急速充電器の性能は向上している 一般的にEV(電気自動車)を所有するには、自宅に充電設備を設置することが不可欠と考えられているが、日産の都市部の販売店では「最近は自宅に充電設備をもたないお客さまも増えた」という。日本では総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅に住み、都市部ではその比率が70%以上に達する。 そして、充電設備を備えたマンションは一部の新築物件に限られ、仮に充電スペースがあっても1台分だけで、来客用の駐車スペースと兼用している場合も多い。充電設備を備えていないマンションにあとから設置するのは、スペースの確保も困難で、管理組合や自治会の許可を得る必要も生じる。これは相当に難しい。 そうなると、集合住宅に住むなど自宅に充電設備をもたないユーザーは、急速充電器を使って充電することになる。 ちなみに以前の電気自動車では、急速充電を繰り返すと駆動用リチウムイオン電池の劣化が激しく、1回の充電で走行可能な距離が大幅に短くなると指摘された。 それがいまは、開発者によると「温度管理が綿密に行われるから、以前のようなバッテリーの劣化は生じにくい。普通充電との併用が好ましいが、急速充電に頼っても問題はない」とのことだ。EVの技術進歩により、以前に比べると、急速充電器を利用しやすくなった。 その代わり、集合住宅に住むユーザーが急速充電器を積極的に使うと「充電渋滞」が生じる可能性も高まる。2024年3月末の時点で、急速充電器の口数は1万少々とされるが、この内の30〜40%はEVやPHEV(プラグインハイブリッド)を扱う販売店に設置されている。 クルマの販売店に次いで急速充電器を多く設置するのは、郊外の大型商業施設やコンビニエンスストアだ。高速道路や自動車専用道路のパーキングエリア、サービスエリアに設置される急速充電器は意外に少ない。急速充電器全体の10%以下に留まる。 そのために休日になると、充電渋滞が発生しやすい。ユーザーとしては、パーキングエリアやサービスエリアの急速充電器を増やしてほしいが、利用者が少ないために採算が取れない充電設備もある。あるいは「周辺地域の電力インフラとのバランスが重要になり、すべてのパーキングエリアに急速充電器を設置できるわけではない」という指摘も聞かれる。 以上を踏まえると、現在のEVの利用方法としてはセカンドカーが好ましい。長距離を移動するときには、エンジンを搭載するハイブリッドなどのファーストカーを使い、使い勝手の優れた給油によって走る。EVは自宅で充電して、買い物などの短距離移動に使う方法だ。EVの開発者にも「EVの充電は自宅が基本で、急速充電は、電欠しそうになったときの緊急手段」とコメントする人が少なくない。

TAG: #急速充電
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツが新会社設立で「EV急速充電ネットワークの整備」を強化! 2026年末までに計100口の設置を目指す

メルセデス・ベンツが充電器を増設へ メルセデス・ベンツは日本で電気自動車(EV)の普及を加速させるべく、11月1日に新会社「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本合同会社」の設立を発表した。 新会社は、高出力の急速充電ネットワーク(HPC:High Power Charging Network)の設置を通じて、すべてのEVユーザーにメルセデス・ベンツならではの充電体験を提供することを目的に、急速充電施設の設置及び運営を行う組織として設立された。 高出力の急速充電インフラ(HPC)の整備により、EVの充電時間を短縮し、EVユーザーの利便性向上が見込まれる。また、より急速充電ニーズの高い3大都市圏の周辺を中心に導入を進めることで、長距離移動時や基礎充電設備の不足による充電の不安を解消し、EVの実用性を高めるとしている。 なお、新会社「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本」は、HPCの設置および運営事業に関して、大型蓄電池の製造・販売、EVチャージステーションのサービス展開で実績のあるパワーエックス社と事業提携し、共同で協議・検討を進めていくことを発表した。 これにより、充電設備のスペックならびに具体的な設置予定箇所は未公表ながら、2026年末までに25カ所50基、合計100口の急速充電設備を設置していく予定であることも発表。 ドイツのプレミアムブランド各社が急速充電ネットワークの拡充を推し進めるなか、メルセデス・ベンツも追随する姿勢を示したことは、同社のEQシリーズを検討および保有しているユーザーにとっては心強いのではないだろうか。今後の発展に期待したいところだ。

TAG: #パワーエックス #メルセデス・ベンツ #急速充電
TEXT:TET 編集部
日本ではその性能のすべてを発揮できない! 出力270kWの充電が可能なアウディQ6 e-tron登場

欧州の充電インフラ事情がクルマを進化させている EVに乗って長距離を移動しようとすると、心配なのは経路充電の充電スポットとその充電器の出力性能。日本の高速道路を管理するNEXCO各社が公表している2023年度の急速充電器増設状況では、年間に全国52か所のSA/PAに計129口を増設したというが、そのうち150kW級の出力性能をもつ急速充電器の口数はわずか4口に留まる。日本の平均的な急速充電器の出力が50kW前後といわれるなか、EVの普及を急ぐうえでその充電器自体の電力供給体制の改善は急務だ。 経済産業省からは、高速道路上の急速充電器は出力90kW級以上で整備を急ぐべし、との指針が2023年8月に示されているが、それでも性能として十分なのか一抹の不安を覚える。それというのもアウディがドイツで発表した内容を目にすると、もはやインフラ側の整備がEVの性能向上に追い付いていない印象を抱いたからだ。 アウディQ6 e-tronがわずか10分の充電で255kmも走れるワケ 2024年5月8日にアウディは、自社のプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)用に開発された高電圧バッテリーが、最大充電出力270kWの急速充電器を使用すると、最長走行距離255km分をわずか10分でチャージできるようになったと発表した。 いわずもがな、この性能を実現するためには電力供給側である急速充電器の性能向上に加え、受給側のバッテリー性能の向上が不可欠だが、今回の発表の注目点は、もちろん後者の性能が著しく向上した点についてだ。 実現の背景には、800Vのアーキテクチャー、プレコンディショナー機能を備えた新しい高電圧バッテリー、PPEの新しい予測サーマルマネージメントなどの採用が挙げられる。これらを搭載したアウディQ6 e-tronは、最大270kWの出力で充電することが可能で、充電時間が大幅に短縮され利便性が向上している。 この恩恵を受けられるのは12のモジュールから構成された総電力量100kWh(正味容量は94.9kWh)のモデルになるが、10のバッテリーモジュールで構成された総容量83kWhのモデルであっても、10~80%までの充電にわずか21分しか要しないという。 400Vの充電ステーションでは、バンク充電と呼ばれる機能を使うことができる。これは充電開始前に、バッテリーマネージメントコントローラー(BMCe)内の高電圧スイッチがオンになり、車両に搭載されている800Vのバッテリーが同じ電圧のふたつのバッテリーに分割されることで、最大135kWで並列充電することが可能になる機能だ。この2分割されたバッテリーが同じ充電状態になってから、次にロックステップ方式で残りの部分が充電される。こうすることで車両側の受給能力を向上させている。 充電マネージメントとしては、国際充電規格のコンバインド充電システム(CCS)に準拠している。高速かつ信頼性の高い充電を実現するために、HCP 5高性能コンピューターが、E3 1.2電子アーキテクチャーの新しいドメインコンピューター内で充電プロセスを管理している。スマート・アクチュエーター・チャージング・インターフェイス・デバイス(SACID)と呼ばれる通信制御ユニットは、車両と充電ステーションの接続を行うインターフェイスとして機能し、標準化された受信情報をHCP 5ドメインコンピューターに送信する。 また、欧州市場向けのアウディPPEモデルは、車両左後部のCCSコンボコネクターにより、DC(直流)およびAC(交流)充電に対応しており、追加のAC充電コネクターも車両の反対側に設置されている。アウディQ6 e-tronシリーズに関していえば、標準でAC11kWの充電が可能で、残量ゼロのバッテリーを一晩で充電することができ、AC22kWに対応した充電機能も後日オプションとして提供される予定だ。 アウディQ6 e-tronシリーズには「Plug & Charge」機能が標準装備されている。現在、「Plug & Charge」機能は、欧州最大の充電プロバイダーであるIONITY(アイオニティ)の充電ステーション、および一部の充電オペレーターが運営する充電ステーションで利用可能だが、今後はさらに多くのプロバイダーで利用できるようになる見込みだ。 「Plug & Charge」のメリットは、1回利用したプロバイダーであれば、車両と充電ステーションの間で暗号化された通信が行われているので、次回以降は面倒な手続きを踏まなくとも充電プロセスが自動的に開始され、クレジットカードなど「myAudiアプリ」に登録されている支払い方法に従って請求がスムーズに行われることだ。 自動車メーカーも充電インフラの整備に本腰 アウディ自身も充電環境の整備には余念がなく、欧州内の29か国に設置された約63万の充電ポイントから構成されたアウディチャージングサービスや、都市部の急速充電ステーション「アウディチャージングハブ」の整備などを進め、自社の顧客をサポートしている。 我が国においても、アウディ・ポルシェ・フォルクスワーゲンの3ブランド、計356拠点のディーラーに設置された90〜150kW級出力のCHAdeMO規格急速充電器が利用可能な「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」が展開されている。公共の充電インフラ整備に留まらず、自社での環境整備を欧州、日本を問わず積極的に推し進めているのがアウディだ。 ただし、日本と欧州で大きく異なるのは最大充電出力。2024年春に東京の紀尾井町にオープンさせた欧州圏外唯一のアウディチャージングハブでも、その最大充電出力は150kWに留まる。一方の欧州では、幹線道路沿いを中心に設置された約3000か所のIONITY急速充電ステーションでは、最大350kWでの急速充電が可能なのだ。 こうした充電環境の違いにより、受給側の充電能力も飛躍的に向上しているわけで、この欧州仕様のアウディが日本に導入されたとしても、やや宝の持ち腐れ感は否めない。しかし、インフラ整備の環境変化も大きく様変わりしているわけで、150kW級以上の急速充電ステーションが日本国内で急拡大する可能性だって否定できない。 その意味では、いまは「卵が先か鶏が先か」というだけで、車両側がオーバースペックであっても将来に向けた蓄えとして十分意味のあることではないかと思うところ。むろん、この車両スペックを使い切れるほどの急速充電設備が、経路充電に必要とされる箇所へ多数設置されることが最善策であることは明白だ。しかしそこは発電・送電まで含めた国家プロジェクト級の課題なので、あくまでも願望の域を出ない戯言であることはお断り申し上げよう。また、EVの使い方で重要なのは急速充電を含めた経路充電よりも、自宅や事業所等での基礎充電が肝心であるということも付け加えておく必要がある。

TAG: #e-tron #Q6 #アウディ・チャージング・ハブ #急速充電
TEXT:高橋 優
数字だけ高スペックでも実際の充電は遅い! EVの進化についていけない急速充電器の現状

200kW級でも実際はその半分の90kWでしか充電できないという問題 日本の急速充電サービスプロバイダー最大手のイーモビリティパワーが、最大150kW新型急速充電器を発表しました。日本全土に広がっていく新型急速充電器の詳細内容、そして今後の急速充電器設置に必要となるポイントも含めて解説します。 まず今回取り上げていきたいのが、日本最大の充電サービスプロバイダーであるイーモビリティパワー、通称「eMP」の存在です。このeMPは、EV普及黎明期から充電サービスを展開していた日本充電サービスから事業を受け継ぐ形で設立された会社であることから、国内のほとんどの急速充電器を管理するという急速充電プロバイダー最大手です。 実際に、現在eMPが管理・提携する急速充電ネットワークは、2023年度末の段階で9103口と、2022年度と比較して1223口も増加しています。これまでの設置数から考えても、この1年間で急速に充電器のストール数が増加している様子が見て取れるでしょう。 そして、このeMPの設置している200kW級急速充電器に関しては、世間でいわれているほど高スペックな充電器ではないという点を、私自身、繰り返し批判してきました。 ・確かに200kW級とはいわれているものの、実際に1台あたりの出力については最大でも90kWに制限されてしまう ・その90kWが、そのEVの充電性能の許す限り持続するのではなく、最高でも15分しか持続することができずに、その後は最大50kW程度に強制的に制限されてしまう ・6口合計した最高出力が200kWであることによって、仮に3台目のEVが充電をスタートすると、場合によっては1台目の充電出力が50kWに制限されてしまう ・4台目のEVがきてしまえば、なんと1台目のEVは25kWしか許容することができなくなる可能性もある つまり、6台同時に充電可能な200kW級急速充電器の実態というのは、最大90kWが15分しか持続しない、かつ複数台のEVが充電している場合、その90kWすら発揮することができないということなのです。 ちなみに、駿河湾沼津と浜松、および湾岸長島SAについては、最大150kW級を発揮可能な最新型の急速充電器が設置されたものの、そのスペックに関してもまったく同様に、 ・150kWという出力については最大でも15分しか持続させることができない ・2台同時充電ができる仕様であるものの、2台目のEVが充電をスタートすると、最低70-80kW程度という充電出力に制限 また、その200kW急速充電器のスペックの低さを知っていて、かつ充電性能の高いEVを所有するユーザーは、150kW級の急速充電器を優先して使用するはずであり、すると多くの場合において2台同時充電の機会が多くなり、実質的に150kW級という充電出力を発揮することはできないわけです。   そして、2024年現時点において発売されている新型EVのスペックを見ると、たとえば日産アリアについては最大130kW、トヨタbZ4Xやスバルソルテラについても最大150kW、メルセデス・ベンツEQAやEQBについても100kW、EQE、EQSであれば150kW、アウディQ4 e-tronやフォルクスワーゲンID.4についても94kW、Q8 e -tronやe-tron GTについては150kW、BMW i4やiX、i5は150kW、iX1についても130kW、ポルシェ・タイカンも150kW、ボルボEX30も150kWなど、すでに現時点においても、150kW級の充電性能を有するEVが数多く存在しています。   また、これらの充電器の耐用年数は8年から10年程度であるということを踏まえれば、日本のEVユーザーは、2030年になってもこの200kW急速充電器を使用することが求められます。

TAG: #チャージ #充電器 #急速充電
TEXT:烏山 大輔
パワーエックス社が従量料金制の充電事業を開始!再エネ100%電力による充電も可能

パワーエックス社は、10月26日より自社運営によるEV充電事業「PowerX チャージステーション」を開始した。専用アプリを使用し事前に予約もできるなどとても使い勝手の良い充電サービスだ。 予約可能で「充電待ち」なし 今回オープンしたチャージステーションは東京の南青山と目黒の2拠点。年内に丸の内や成田空港などの10拠点に、来年には100拠点に拡大していく計画だ。 都市部の集合住宅に住んでいるEVユーザーは、近くの急速充電器で充電するパターンが多いと思うが、その場合にネックとなるのが、他のユーザーが既に充電中の場合に、充電待ちが発生することだ。 パワーエックス社の充電サービスは、専用の「PowerX アプリ」を使い、利用の3日前から予約が可能なため、充電待ちを避けられる。予約時間は30分、45分、60分の3種類から選択可能だ。 予約した時間は、駐車スペースを確保できるため、60分の予約をして食事に向かい、充電を30分で終わらせたとしても、残りの30分間はクルマを停めておいたままでも良い。食事の途中でクルマに戻り、一般の駐車スペースに移動させなければならないということはない。 もし追加で充電をしたい場合は、予約している時間内であれば、アプリ操作とプラグを挿しなおすことですぐに充電を開始できる。 この充電サービスは毎月支払う固定費は無料。充電した分だけ支払う従量料金制を採用しているため、車両側の充電能力の差による不公平感もない。充電中は、アプリで充電できた量と料金、車両のバッテリー残量(SOC)をいつでも確認できる。目標の充電に達したらアプリ側で充電を終了させることも可能だ。 充電料金は、アプリに登録したクレジットカードから自動決済される。クレジットカードや自動車メーカーなどが発行する充電カードを手元に用意する必要もなく、スマホだけで予約から充電、決済までを完結させることができる。 同社が「国内最速クラス」と謳う最大150kWの超急速充電が可能で、クルマによっては10分間で約130km分をチャージできる。2台同時充電の場合でも、両車ともに最大120kWでの充電が可能だ。

TAG: #パワーエックス #充電インフラ #急速充電
TEXT:桃田 健史
テラチャージの大英断! 2025年までに都内で、導入・維持コストが無料の急速充電器を1,000箇所設置

電動車向けの充電サービス企業であるテラチャージが2023年9月26日、都内で記者会見を開き、自動車産業の常識を覆す大胆な手法で急速充電サービス事業に参入することが明らかになった。導入コストと維持コストは無料。まずは都内で1000カ所設置へ。その詳細とは? 「超急速充電器1000基を無料導入」新プラン 同社は、日本でEVバイク事業を立ち上げた後、インドなどで小型電動車(リキシャー)事業などを展開する、テラモーターズの関連企業だ。 2022年から、戸建住宅や集合住宅で日常的に行われる「基礎充電」では、主にいわゆるEVコンセント(出力3kW)を、またホテルや商業施設などを目的地とした際の充電である「目的地充電」向けでは普通充電器(6kW)の導入プランを展開してきた。 今回の新プランは、対象を急速充電器のなかでも出力が高い150kW充電器を主に導入する。これをテラチャージでは、超急速充電器と位置付けている。 地域は東京都内で、その数はなんと1000基にも及ぶ。今後2年以内程度での実現を目指す。 しかも、土地の所有者で超急速充電器の運用を行う、サイトオーナーの負担はまったくかからず無料だという。 つまり、充電設備の費用、設置工場の費用、充電器に関連するメインテナンス費用、さらに電気代の基本料や月々の電気代まで全てが無料、というプランだ。 無料期間は設定されておらず、契約中は無料が続く。 採用第一号は家電量販店「コジマ」 会見では、今回公表した超急速充電器の無料導入プランの最初の事業者が、導入に対するコメントを寄せた。 その企業とは、全国で家電量販店を展開する「コジマ」だ。 総務人事本部 総務部長からの、同コメントの中では、「コジマの店舗は郊外に立地していて、今後もBEVでの来店が増えることが考えられる中、充電設備の整備は喫緊の課題」だとして、テラチャージの新プランの導入の背景を説明した。 テラチャージが会見中に紹介した、新プランのサイトオーナー候補のイメージとしては、ガソリンスタンド、郵便局、スーパーマーケット、商業施設、そして自動車販売店など、日常生活でBEVを使用する様々な場所を示した。

TAG: #テラチャージ #急速充電

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