小川 フミオ 記事一覧

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VW「ID.GTIコンセプト」に、これからのモデルに重要な“3つの方向性”を発見!

電動化によってエキサイティングなGTIの未来を、初めて表した「ID.GTIコンセプト」。そこには、今後のフォルクスワーゲンのクルマづくりにおける重要な要素が入っているのだ。 電動化への3つのキーワードを、かたちとして表したID.GTIコンセプト フォルクスワーゲンのアイコンともいえるGTIモデルは、ICEの時代の遺産になるのか。そんな危惧をもっているひとへの朗報が、2023年のIAA自動車ショーで発表されたID.GTIコンセプトだ。 凝縮したようなコンパクトなボディをもちながら、20インチのホイールによるスタンスのよさと、GTIシリーズに特徴的なレッドラインなど、自動車好きなら食指が動くデザインだ。 デザインの背景には、どんなコンセプトがあったのか。ID.GTIコンセプトが発表されたIAA自動車ショーにおけるフォルクスワーゲン・グループのテーマはデザイン。 フォルクスワーゲン・グループのオリバー・ブルーメCEOは、「よいデザインは私たちのお客様を魅了させるための重要な要素」と語る。 そのなかで出てきたID.GTIコンセプトは、まさにその好個の例なのだそう。ヘッド・オブ・フォルクスワーゲンデザインであるアンドレアス・ミント氏が、最新のデザイン哲学を語ってくれた。 「デザインの柱として確定したのは、3つの要素です。ステーブル(stable)、ライカブル(likeable)、そしてエキサイティング(exciting)であること」 ジャーナリストに公開されたID.GTIコンセプトの前には、たしかに、その3つのキーワードが大きく掲げられていた。 ステーブルとは、「安定感」とフォルクスワーゲンの日本法人では訳す。ライカブルは「好感度の高いこと」、そしてエキサイティングは「感動」。 「3つの要素を完璧にひとつに統合した具体例として」 3つのキーワードは、ID.GTIのベースになったID.2 allが23年3月のハンブルグで公開された際、ミント氏が掲げたものだ。今回もそれが繰り返された。 「フォルクスワーゲンのデザインにとって最も重要な側面は、”安定感”です。安定した価値、安定したフォルム、信頼性、認知度が含まれます。2番目のコア要素は”好感度”。さらに私たちは、お客様を”感動”させたいのです」 ID.2 allの発表会の席上で、ミント氏が述べたこと(のちょっとした要約)だ。 「しかし……」とミント氏は、23年9月のミュンヘンで述べた。 「私が3つのキーワードを”シークレットソース”(秘密のレシピのような意味)として発表した際、そう言われても、よくわかんないな、という声ももらいました」 いまこそ、とミント氏は続ける。その言葉の意味を、具体的に示せるのです、と言い、伝統的なダイヤモンドシルバーメタリックなる塗色に塗られたID.GTIを改めて指し示したのだった。 「私がうれしいのは、3つの要素を完璧にひとつに統合した具体例として、ID.GTIコンセプトをお見せできることです」 これこそ完璧なプロダクト、とミント氏。オリジナルのゴルフGTIがもっていた要素をうまく盛り込み、スポーティさだけでなく、デザインとしてもアイコンだったオリジナルGTIの特徴を、満足いくかたちで取り込んだモデルなのだそう。 「(オリジナルとは)まったく違うクルマです。しかし、強いつながりを認めることが出来るはず。50年におよびそうなGTIの特徴を盛り込んで、このクルマを仕立てたのです」 <了>

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TEXT:小川フミオ
VWの新作「ID.GTIコンセプト」のデザインには、『伝説のDNA』が詰まっている!

「GTI」を、よりダイナミックでスポーティに、ピュアEVの世界へ。ID.GTIコンセプトにある伝統と革新を、アンドレアス・ミント氏に訊く。 電動GTIは、素晴らしい未来像を示す 2023年9月4日に発表された「フォルクスワーゲンID.GTIコンセプト」は、ゴルフやポロに設定されているアイコニックなスポーツモデル、GTIを電気自動車の時代に生まれ変わらせようというもの。 「私たちは、ID.GTIコンセプトによって、フォルクスワーゲンが作ったGTIの哲学が、この先にも、どれほど素晴らしい未来をもたらすかを示します」 そう語るのは、フォルクスワーゲン・ブランドのデザイン責任者を務めるアンドレアス・ミント氏。ベントレーのチーフデザイナーやアウディのエクステリアデザイン責任者という経歴をもつ。 2023年3月にハンブルグで発表されたコンパクトBEVのコンセプトモデル「ID.2 all」もミント氏の指揮下でデザイン開発された。 ハンブルグでのインタビューで、ホットモデルの可能性を示唆していたとおり、6カ月後に、このようなかたちでコンセプトが発表されたのだった。 「パワフルなID.2 allは、電動GTIの完璧なベースとなると確信しております。ID.2 allのスケッチを初めて紙に描いたとき、すでにGTIのイメージも思い浮かべていました」 ID.GTI(コンセプト)は、すぐれたデザインとテクノロジーを備えた、手頃な価格の量産モデルという位置付けだという。 「スポーティなアイコンモデル」(フォルクスワーゲン)をめざしており、そのために「力強いプロポーションと、四隅に配置されたホイールが明確に示す安定感」などを重要視したそうだ。 コンセプトとしているが、量産を視野にしている コンセプトというわりに、ボディディメンションなどは、はっきりした数値が発表されているのが興味ぶかい。 全長は4104mm、全幅は1840mm、全高は1499mm。ホイールベースは2600mmにおよぶ。オーバーハングは短くとられ、タイヤとホイールは、245/35R20と大きめだ。 デザインの説明にあたって、ミント氏は「伝統的でアイコニックなデザイン」を強調。レッドラインや、太いリアクォーターピラー、さらに初代GTIが装着していたスチールホイールのカバーをイメージして軽合金ホイールをデザインしたそうだ。 バンパーは、モータースポーツをイメージしたこのモデル独自のデザイン。中央に配置されたブラックのフロントスプリッターが目をひく。「IQ.ライト」と呼ばれるLEDマトリクスヘッドライトもスポーティな雰囲気だ。 雰囲気だけでなく、高性能のための機能も採用。たとえば、空力性能を最適化し、ブレーキ冷却のためにエアホイールハウジングにみちびき、そこからエアをきれいに外部に排出するためのエアカーテンをもつ。 インテリアは、初代GTIをアイコンに仕立てるのに大きく貢献したチェック柄のスポーツシート、くぼみのある衝撃吸収材を備えた3 本スポーク のステアリングホイール、そしてゴルフボールデザインのシフトレバーといった要素を組み合わせた。 ID.GTIコンセプトでは、ゴルフボールのデザインをセンターコンソールのマルチファンクション「GTIエクスペリエンス・コントロール」に“移植”するなど、部分的ではあるがオリジナルデザインの要素を継承。 スポーツシートには、とうぜんチェック柄を採用。パターンは伝統的に「Jacky(ジャッキー)」と呼ばれてきたが、今回は電気をひっかけて「Jack-e」と呼ぶそうだ。 ユニークなのは、10.9インチのデジタルディスプレイだ。表示を変えられるのが特徴で、「ビンテージモード」を選択すると、セカンドシリーズ以降の初代ゴルフGTIのメーターレイアウトを表示することも出来るそうだ。 発売は、2027年と言われている。デザインに力を入れるというフォルクスワーゲンの自信作ととらえられるID.GTIコンセプト、発売が楽しみだ。 <Vol.3へ続く>

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TEXT:小川フミオ
フォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェの近未来を「IAAモビリティ」でチェック

フランクフルトからミュンヘンへ場所を移し、開催された「IAAモビリティショー(ドイツ国際モーターショー)」。ヨーロッパの将来がみられる会場で、近い未来のモデルをチェックしていく。 フォルクスワーゲンはID.GTIコンセプトに加えて、パサート・バリアントを発表 2023年9月にミュンヘンで開催された「IAAモビリティ」ショーの特徴を簡単にいうと、会場が2つあったこと。 ミュンヘンのメッセ会場と、市内(オデオンスプラッツなど)に、展示が設けられた。 フォルクスワーゲンは、メッセ会場に、「ID.GTIコンセプト」を置いた。 前日のフォルクスワーゲングループ・メディアナイトの報道の影響もあるのか、そこで初お披露目されたID.GTIコンセプトは、まわりから、一般の来場者が離れることがないほどの人気ぶり。 同様に、ミュンヘン中心部のオデオンスプラッツ(オデオン広場)には、オープンスペースと呼ばれる一般客が無料で入場できる会場を特設(そちらのほうがうんと広い)。そこでも展示を行った。 オープンスペースでは、新型「パサート・バリアント」も展示された。全長が5m近くまで拡大した新型は、ワゴンボディのみ。 セダン廃止の理由について「そちらはBEVのID.7がカバーする」とVWブランド技術開発担当取締役のカイ・グリューニッツ氏は説明してくれた。しかもセダン人気は低迷中だ、とつけ加えた。 新型パサートは、LEDライトストリップをフロントマスクに持ち、ID.シリーズとの共通点を強く感じさせた。ただし、プラグインハイブリッドを頂点に、ドライブトレインは内燃機関だ。 見どころは、EVOプラスという新しいプラットフォームを使っていること。

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TEXT:小川フミオ
VW「ID. GTI Concept」をキャッチ!ピュアEVとなった「GTI」がIAAで初公開

VWが、IAA(ドイツ国際自動車ショー)で、コンパクトスポーツ「ID. GTI Concept」を発表した。現地を訪れた小川フミオが、初の電動GTIを深掘りしていく。 ピュアEVのGTI フォルクスワーゲン本社が、2023年9月3日に100パーセント電動化されたGTI「ID. GTI  Concept(アイディ. GTI コンセプト)」 を発表して話題を呼んでいる。 ミュンヘンで9月5日から9日まで開催の「IAAモビリティ」で公開されたID.GTIコンセプト。 「フォルクスワーゲンを象徴するGTIモデルを、未来の電気自動車にどのように組み込むのかについて、具体的なヒントを提供します」 フォルクスワーゲンは、プレス向けのリリースで上記のように記して、「ブランドとファンの方々にとって、GTIの新しい未来が開けている」ことを謳う。 2023年3月にハンブルグで発表された、小型BEV「ID.2 all」とプラットフォームを共用するID.GTIコンセプト。ゴルフやポロのGTIモデルの伝統にしたがい、前輪駆動方式を採用するという。 「ID.GTIコンセプトは、ターボチャージャーを備えたゴルフGTIと同等のパフォーマンスを発揮します。現行世代のスポーツカーと同じように、ビークルダイナミクスマネージャーによって電子制御されるフロントアクスル・ディファレンシャルロックを採用することで実現しています」 ゴルフGTIとゴルフGTIクラブスポーツで採用されたフロントアクスル・ディファレンシャルロックは、高性能の前輪駆動車のための技術。ID.GTIが発表されたあかつきには、このシステム採用の初のBEVとなる。ただし物理的なシステムになるか、モーターによる制御になるかは、現段階ではノーコメントとフォルクスワーゲン。 「I」はインテリジェンスに おもしろいのは、GTIの名称の分析。これまでGTIの「I」とはインジェクション(燃料噴射システム)を意味にしていた。これからは「インテリジェンスを意味する」とフォルクスワーゲンでは定義する。 このインテリジェンスとは「電気駆動モーターの設定をほぼ無限に変更できる」こととフォルクスワーゲン。 「GTIエクスペリエンス・コントロールスイッチを使用して、ドライバーはID.GTI(コンセプト)のパワートレインの特性を変化させることができる」システムも、インテリジェンスの範囲に含まれる。 ユニークなのは、駆動システム、サスペンション、ステアリング、サウンドに加え、歴代GTIモデルをシミュレートした変速ポイントに至るまで、さまざまな設定を調整できること。 そうしてなんと、歴代のアイコニックなGTIモデルまで疑似体験できるとか。フォルクスワーゲンが挙げるのは、1976年の初代GTI、86年のGTI2 16V、2001年のGTI4‘25 years of GTI’だ。「タイムマシン」なる表現も使われていてたいへん興味ぶかい。 「このモデルは、スポーティなアイコンで、先進的なテクノロジーを採用し、親しみやすいクルマであることに変わりはありませんが、電気自動車となり、完全なコネクテッド機能を備え、未来の世界に向けた新しい解釈が加えられています」 フォルクスワーゲン乗用ブランドのトマス・シェーファーCEOは上記のように語っている。 <Vol.2へ続く>

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TEXT:小川フミオ
カーボンニュートラルを10年早く実現するにはどうすべきか、メルセデス・ベンツ本社会長の意欲とは

「パリ協定よりも早いカーボンニュートラル化を見据えて、数々の技術を整える」とオラ・ケレニアス取締役会会長は話す。それは先駆者としての矜持からの言葉だった。 2050年より早く メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月にBEV「EQE SUV」シリーズを発表・発売。このときドイツの本社から、オラ・ケレニアス取締役会会長が来日した。 2022年2月1日に、これまでのダイムラーから、メルセデス・ベンツ・グループに社名を変更。 そのとき、ケレニアス会長は「電動モビリティと車載ソフトウェアを重視することで、創業者の遺産を継続したいと考えている」と発言したと報じられた。 これからBEV(バッテリー電気自動車)を中心に、カーボンニュートラル化を進めたいとするケレニアス会長による、EQE SUVシリーズ発表会時の発言は下記のとおり。 「私たちは、2050年のカーボンニュートラル化に向けた目標設定をしています。これは(地球温暖化対策の国際的な枠組みである)パリ協定から導き出した目標です」 「もし、化石燃料に依存するプロダクトを手がける企業だとしたら、このような目標設定をする必要があります。私たちのばあいは“Ambition 2039”(バリューチェイン全体でカーボンニュートラル)を設定しました」 「2050年より10年早く脱炭素化をはかりたいというのが、私たちの考えです。そのためには、2020年代にやるべきことが多々あります」 「そこで私たちは、製品ラインナップや、それを支える技術の数かずを整えて、市場に提供しようと考えています。もし市場が受け入れてくれる用意ができたなら、そうします」 「私たちは、2020年代の終わりまでに、すべてのラインナップを電動化します。2023年第2四半期におけるグローバルマーケットでのメルセデス・ベンツのBEVの売り上げは、前年比123パーセント増です」 「23年上半期のBEVのセールスは、つまり、倍になりました。私たちはいまいきおいに乗っているといってもいいでしょう。EQE SUVは、BEV化促進のカギになります」 世界的に追従されるほどに日本法人は革新的 「日本法人がやることは、革新的です。日本で最初に実施された施策が、追って、世界的に実施されることもよくあります。そのひとつが、EQシリーズの専売拠点設置です。ひとつはすでにオープンしていて(横浜)、もうひとつはまもなくオープンの予定です(青山)」 「充電システムの構築についても、私たちは考えています。2030年までに世界の主要市場において、1万基以上の高出力充電器を設置する計画です」 ケレニアス会長がスピーチをした、EQE SUVシリーズ発表会場では、モニターに「日本でもMercedes me Chargeを活用した日本への導入も検討中」と表示された。 「むかしの図式だと、自動車会社が製品を作り、エネルギーはエネルギー会社の担当でした。しかしそれとはちがうプローチをとるのです。私たちは世界規模でインフラ構築に多額の投資を行うと、すでに発表しています」 2023年1月5日に、メルセデス・ベンツは、上記のケレニアス会長の発言にあるように、世界の主要市場にBEV用高圧充電器を整備すると発表。 たとえば北米では、「MN8エナジー」と協力。総投資額10億ユーロ以上を使って、400以上の充電施設を新設し、2500基以上の高圧充電器を設ける計画という。 「日本でのメルセデス・ベンツのオーナーは、私たちがサポートします。日本法人の経営陣と話しをしています。今年(23年)後半により具体的な内容を発表します。充電への投資を開始する予定です」 「何百万台のBEVは、巨大な蓄電池になるととらえることもできます。これを発電や給電のグリッドシステムとして機能させることもできるのではないでしょうか。EQE SUVには、(日本法人からの要求をいれて)給電システムを搭載しました。クルマのなかに小さな発電所があるという考えはおもしろいと思います」 「メルセデス・ベンツ・グループは、太陽光発電の大規模なプログラムにも投資をしています。欧州のいくつかの地域では、風力発電にも投資しています。つまり、私たちはある意味、エネルギーを自給自足できているのです。これまでエネルギーは独占的なものでした(それが変わるのです)」 「古いバッテリーをどうするのか。これも訊ねられる質問です。大きくて、重くて、多くの素材の集合体のバッテリー。使われているニッケルとかマンガンなどは、貴重であり高価です」 メルセデス・ベンツ・グループでは、ドイツにバッテリーリサイクルのためのクッペンハイム工場を作り(2023年内に落成予定)、そこでのリサイクル率は96パーセント以上を目標にすると発表。 「クルマを含めて、ほぼ完全なリサイクル化を確立すべく技術を確立してきました。車両に使う素材を循環経済に組み込むことにも取りこんでいます」 <了>

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TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツの最高責任者が語る「メルセデスの『最善』」と「脱炭素」の深い関係

「自動車業界の流れに乗り、ゼロエミッション化を目指す」―明確なビジョンを提言するケレニアス会長の視線は将来を見据えていた。 メルセデスが描く未来像 メルセデス・ベンツEQE SUVシリーズの日本発売にあたって、2023年8月25日に来日した、メルセデス・ベンツのオラ・ケレニアス取締役会会長。 同社の発表会において、日本におけるメルセデス・ベンツ車拡販のための戦略の数かずを述べた。下記はそのときの発言を紹介するものだ。 「私は将来にむかっての戦略を大きく二つに分けて考えています。ひとつは、自動車業界ぜんたいを変革している流れにしっかり乗ること。もうひとつは、将来のゼロエミッション化をめざすこと」 「完全なBEV化は2020年代に実現するかもしれないし、する必要があると私たちは思っています。そこで会社の体制を、BEV時代に即したものへ仕立てているのです」 「私たちは、そこで、10億ユーロの投資を行います。ただし、電気化は、たんにハードウェアの変更だけで成功するのではなく、企業じしんやビジネスの流れと歩を一にしています」 「車両のデジタライゼーションは、5年か10年そこら前の車両と較べてみても、ほんとうに驚くほど進んでいます。センシング技術や、AI(人工知能ソフトウェアスタックと日本法人のビデオでは翻訳)は、自動運転のために開発されてきましたが、それだけでありません。あらゆる点でデジタライゼーションが進みました」 「センシング技術と人工知能ソフトウェアスタックは自動運転と、そのほかのデジタライゼーションの技術は、自動車業界を、いってみればひっくり返しました。私たちはそこで思い出すのです。創設者である、ゴットリーブ・ダイムラーと、カール・ベンツのことを」 「創意ある発明をさらに再発明する。創始者の業績をここでなぞるような技術革新を行っていきたいと考えています。メルセデス・ベンツでは、2023年だけでも150億ユーロの投資をさまざまな分野で行っていきます」 「私たちが投資するのは、R&D、新技術、工場への設備投資、世界中のネットワークマーケティング、それに販売ネットワークです。私たちは、未来に向けて、リソースと資本配分を行っていきます。その点で業界をリードしていると思います」 脱炭素化へ、メルセデスの『最善』 「繰り返しになりますが、メルセデス・ベンツというブランドは、ユーザーの方々に価値を理解していただいています。ひとつは、さきのダイムラーとベンツという創始者から始まるイノベーションとテクノロジーにおける先進性です」 「もうひとつの価値は、私たちのプロダクトを欲しいと思う気持ちを持っていただいていること。最初のメルセデス・ベンツ車に乗ったときの特別な気持は他に替えがたいものです」 「メルセデス車のオーナーになったということで誇らしく思う方は少なくないでしょうし、実際にオーナーになっていただいたら、そのときから、メルセデスの家族なのです」 「メルセデス・ベンツは、たんにA地点からB地点への移動手段ではないと私たちは思っています。メルセデス・ベンツに乗って移動するという特別な体験を提供するプロダクトなのです」 「電動化の歩みを振り返ると、数年前に戦略的な決定を行いました」 ここで、ケレニアス会長は、発表会場にいるジャーナリストに、電動化のプランを書いたスライドを見せた。 そこにあったのは「2022年:生産工程におけるカーボンニュートラル」「2030年:市場が許すかぎり100パーセント電気自動車化」「2039年:バリューチェーン全体でカーボンニュートラル」という計画だ。 「戦略的な決定とは、数十年かけてビジネスを脱炭素化することです。それが長期的にみて、最善だと思えるからです」 <Vol.3へ続く>

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TEXT:小川フミオ
メルセデス・ベンツ・グループの新たな戦略とは。オラ・ケレニアス取締役会会長が語る

「EQE SUV」の発表を機に来日したオラ・ケレニアス取締役会会長は、メルセデスの新たな戦略を提示した。 日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込み メルセデス・ベンツ日本は、2023年8月25日に、SUVタイプのBEV「EQE SUV」を日本で発表・発売。500キロを超える走行距離、スポーティなAMGモデルの設定、給電システムの搭載……と話題が多いモデルだ。 日本では、「メルセデス・ベンツEQE350 4MATIC SUV」が8月25日からデリバリー開始。認証の時期の問題で、もう1台の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」は10月のデリバリーになるという。 全輪駆動方式を採用していながら、低負荷の走行時は、フロントモーターをクラッチを使って切り離して燃費向上に役立てるシステムを搭載。 走行性能、広い荷室による利便性、そしてモニターを3つそなえてのデジタライゼーションなど、いろいろと特徴の多いクルマである。 発表に合わせて、本国からオラ・ケレニアス取締役会会長が来日。EQE SUVへの期待にはじまり、日本におけるメルセデス・ベンツのBEV「EQ」シリーズにかける意気込みなどを熱く語った。 「日本市場がいかに私たちにとって重要か。ここで強調しても、しすぎることはありません。メルセデス・ベンツは、業界をリードする立場にあるプレミアムブランドという自負がありますが、いま変革の時期が来ています」 「私たちの顧客の方々を、ブランドのファンと呼ばせていただくなら、日本でも過去数十年にわたって、強固な関係を築かせていただいてきました。その方々は、テクノロジーの重要性も理解なさっているし、私たちがいま行っていることも評価してくださっている。いってみれば、共益関係にあると思っています」 「私たちは、日本法人のがんばりのおかげで、変革の時代にあっても強固な関係をユーザーの方とのあいだに作りあげてこられました。でも、いままさに変革が始まったところなのです」 新しい戦略6本柱 「自動車業界ではとても多くの出来事が同時進行的に起こっています。それを見据えて、数年前に、新しい戦略を立てるとき、私たちは6本の柱を作りました」 ここで、その「6本の柱」を解説しておこう。2020年に利潤をあげて経営基盤を強固にするためと、ケレニアス会長が発表したものだ。 ひとつは「Think and act like a luxury brand」。私なりに訳すると、「ラグジュアリーブランドとして考え行動する」。 2つめは「Focus on profitable growth」。利潤を出す企業として成長することにフォーカスする。 3つめは「Expand customer base by growing sub-brands」。サブブランドを使って顧客層を拡張する。 4つめは「Embrace customers and grow recurrent revenues」。顧客をうまく抱え込み、代替需要を喚起する。 5つめは「Lead in electric drive and car software」。電気自動車と、それにまつわるソフトウェアの分野で業界をリードする立場に立つ。 6つめは「 Lower cost base […]

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TEXT:小川フミオ
「EQE SUV」が日本発表! 取り回し良し、使い勝手良し、スタイリング良しのBEV SUV

スタイリングはいい意味で“フツウ” メルセデス・ベンツが手がける「EQE SUV」は、余裕あるサイズのSUVタイプのBEV。2023年8月25日に日本で発表・発売された。 特徴について「リアアクスルステアリングによって、最小回転半径は4.8メートルと、よりコンパクトなクルマなみの扱いやすさ。日本の道路事情によく合ったサイズです」 発表会場で登壇した、メルセデス・ベンツ日本営業企画部の上野麻海部長は、上記のように述べて、このモデルへの期待をにじませた。 印象的だったのは、スタイリングだ。いい意味で“フツウ”。奇をてらわないデザインだ。 「メルセデスの革新的な美しさと、伝統的なSUVデザインをみごとに融合したエクステリアには、新世代のダイナミズムとメルセデスならではのエレガンスが息づいています」 上野部長は、同時にお披露目された「EQE350 4MATIC SUV」と、高性能の「メルセデスAMG EQE53 4MATIC+ SUV」の前に立ち、デザイン的な特徴について簡潔にまとめた。 メルセデス・ベンツが「ブラックパネルユニット」と名付けた、ICEならフロントグリルに相当する、独自の黒色のパネルがユニークだ。マスクのようにも見えるパネルの裏にはカメラをはじめセンシングユニットが収められている。 上記2モデルは、フロントマスクも差異化されている。 「AMGライン」エクステリアが標準となるEQE350 SUV のフロントバンパーは、「Aウイング・デザイン」とメーカーから呼ばれるテーマが採用されている。左右エアインテークとフリックを拡大。さらに下部にクロームトリムをアクセントに配したのが特徴だ。 EQE53 4MATIC+ SUVは、よりスポーティ。左右一文字のLEDによる「ライトバンド」がまず目をひく。ブラックパネルは、AMGバッジをもつ専用縦型。Aウイングは、ハイグロスブラックタイプとなる。 電気自動車専用プラットフォームならではのインテリア 室内は、デジタライゼーションがあらゆるところにほどこされている。代表的な装備は「MBUXハイパースクリーン」。コックピットディスプレイ、有機ELメディアディスプレイ、助手席用有機ELフロントディスプレイあをわせて3枚の高精細パネルを1枚のガラスで覆った「ワイドスクリーン」採用だ。 おもしろいのは、センターコンソールのデザイン。前部はダッシュボードにつながって、いっぽう下側は宙に浮いたような形状としている。 「これは、電気自動車専用プラットフォームの採用により、従来のようなセンタートンネルが必要なくなったことを視覚的に示しています」と、プレス向け資料ではBEVの要素がデザインに取り込まれたと説明している。 もうひとつのデジタライゼーションは、メーターディスプレイ。走行モードなどで変更可能だ。 EQE 350 SUV では、「スポーティ」「クラシック」「ジェントル」「ナビゲーション」「アシスト」「サービス」「Offroad」の7 つ。 EQE53 4MATIC+ SUVのばあい「TRACK PAC」「Supersport」「クラシック」「ジェントル」「ナビゲーション」「アシスト」「サービス」「Offroad」の8つとなる。 上記といちぶが重なるドライブトレインの設定(EQE 350 SUVでは、「Comfort 」「Sports」「ECO」「Individual 」「Offroad」)で、パワートレイン、ESP、サスペンション、ステアリングの特性変更が選べる。 日本ではまず「ローンチエディション」が発売される。 「EQE 350 SUVローンチエディション」は、1369万7000円で、デリバリーは発表日と同日から。「EQE53 4MATIC+ SUVローンチエディション」は1707万円で、デリバリーは10月からと、メルセデス・ベンツ日本ではしている。 <了>

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TEXT:小川フミオ
「ボルボ史上もっとも小さな電気自動車」を上手に届けたい! ボルボ日本法人新社長インタビュー

より幅広い世代へボルボを浸透させるために、「EX30」を主にしたこれからのマーケティング施策を、不動奈緒美社長は柔らかく自信に満ちて語る。 海外ではスタンダードなサブスクリプションを広めて 日本の交通事情にマッチし、一般的な立体駐車場にも対応すると謳われる「ボルボ史上もっとも小さな電気自動車」であるボルボEX30。 都市型のボディサイズであり、それを武器に、従来以上に幅広い世代への浸透をはかりたいとされる。 ボルボ・カー・ジャパン株式会社の不動奈緒美代表取締役社長は、東京・青山の「Volvo Studio Tokyo」で、インタビューに応じて、EX30を主とした今後のマーケティング施策について語ってくれた。 −−EX30を対象にしたサブスクリプションサービスについて、改めてうかがいます。 「ヨーロッパでは、(サブスクは)スタンダードになっています。現金で買うのか、ローンなのか、リースなのか、あるいはサブスクリプションなのか。選べます。日本ではまだテストをいろいろ繰り返している段階ですので、今回EX30では台数を先に決めて導入することにしました。その先は今後の市場の反応などを見てから決めていくことになると思います」 −−EX30のサブスクのばあいは、月額9万5000円のクローズドエンド方式ですね。申込金とか頭金が不要で、かつ任意保険や諸費用が含まれているため、比較的若い層にも受けいれやすい方式かもしれません。 「2022年と23年初頭に、BEVのC40でサブスクリプションのキャンペーンを実施ずみで、市場の反応がとてもよかったため、EX30でも実施するはこびになりました。このさきも、段階的に考えていきたいと思います」 すべてのオーナーを大切にしていきます! −−むかしのボルボ車がいまも人気がありますよね。240シリーズとか700シリーズとか。昔のボルボ車が好きだというユーザーとは、これからどんなコミュニケーションをとっていきますか。 「私たちはこれからも、車種を限定せずに、ボルボのオーナーさんならどなたでも大事にします。ただ、入口として、若いかたがこれまで1980年代のボルボ車にご興味をもっていただいたとしたら、ぜひEX30を試してみていただきたいと思っています」 −−そのために、補助金をうまく受けられれば400万円台で買えるかもしれない価格設定と、サブスクなど新車購入の敷居を下げた販売方法を用意したということですね。 「EX30で私たちは、いままでボルボは知っていたけれど、乗る機会がなかったというかたに認知を拡げていこうと思っています。もちろん、ICEの生産は2030年まで続けますし、部品供給などのサービスはそのあとも継続します」 −−ボルボがいいのは、モデルごとに違う魅力をもっている点ですね。私は240の、リアシートの出来のよさに驚いています。いま乗ると、とくにびっくりするほど、作りがいい。まさに北欧のぜいたくな家具のようです。 「繰り返しになりますが、ボルボのオーナーはどなたも大切にしていきます。もし、いま古いボルボ車をお持ちで手放すのが惜しいと思っているかたがいらっしゃったら、2台目として、最新のボルボのアイディアが詰まったEX30、どうでしょうか。私たちとしてはできれば若いかたにたくさん乗っていただきたい。そういう点で今回のサブスクリプションはいい例なのかなと。モスイエローという車体色も、若々しくて魅力的だと思いませんか。男性にも女性にも乗りやすいので、これを機会にいちど試していただけたらって思います」 <了>

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TEXT:小川フミオ
「2025年にBEVの新車販売比率を50パーセントに」EX30で切り開いていくボルボ・カー・ジャパン不動社長のビジョンとは

「達成、あるいは越えることも」とBEV販売拡大に自信を深める不動奈緒美社長の言葉を聞いた小川フミオは、その理由を問いかけていく。 日本によりフィットしたEX30への期待 2023年8月に、小型ピュアEV「ボルボEX30」を日本で発表した、ボルボ・カー・ジャパン。 「欧州での発表から、間を置かず日本でEX30を発表できることを嬉しく思います。これは、日本市場に対するボルボ本社の高い期待の表れです」 そうプレスリリースで述べているのが、23年8月にボルボ・カー・ジャパン株式会社の代表取締役に就任した不動奈緒美氏だ。 容量は69kwhの高効率なNMCバッテリーを搭載し、1充電あたりの航続距離は最大480キロ(欧州参考値)という、日本導入モデル。 最大充電電力量は153kWh。日本でこのスペックの充電器の数は限られているが、仮にこれで充電した場合、26分強で、10パーセントから80パーセントまで充電が可能という。 −−日本市場向けに、たとえばボディ外寸とか、本社がさまざまな協力をしてくれたというEX30ですが、海外でのじっさいの販売状況はどうでしょうか。 「(23年6月のミラノにおける)グローバルローンチから、北米でもプリオーダーをとっているのですけれども、すでに9,000台超えてるそうです。北米はあのサイズ(全長4,235mm、全幅1,835mm、全高1,550mm)だから(ちょっとコンパクトすぎて)そんなに売れないんじゃないかっていうのが予想でした。ところが、それに反して、すごく反応がよいんですね。もちろん、ヨーロッパも反応がよいです」 −−ボルボの目標は2025年までに、新車販売におけるBEVの比率を50パーセントにすることですね。 「チャレンジかもしれません。でもいまの様子をみていると、ひょっとしたら達成、あるいはそれを超えるかもしれないと思っています」 −−それは日本法人のがんばりしだいで(笑) 「はい(笑)。日本ではどんな需要があるのか。それを実際に検証するために、本国から担当者が来日して、確認しています。我々も前から立体駐車場の問題等も提起していましたので。今回のEX30は日本のニーズがぴったり合ったと思います。意外なことに日本だけではなく、さきほど申し上げたとおり、あの北米市場でもしっかりユーザーの心をつかまえたようですし」 ニーズをあげるために −−電気自動車の利便性など、BEVのニーズをあげるために取り組んでいくことを教えていただけますか。 「いろいろなところでデジタルによるサービスを増やしていくつもりです。オンラインとオフライン、さまざまなお客様に選択していただけるようにして、オファーやサービスを提供していきたいと考えています」 −−提供される充電環境はどうでしょうか。 「ボルボのネットワークは全国に100店舗以上あります。そのうち85パーセントの店舗で急速充電器が設置されています。さらに、今年の年末までには100パーセントになります。できるところから取り組んでいきます」 −−店舗の急速充電の出力は? 「ほとんどが50キロワットです。将来的には徐々にさらに高出力のものに変えていきたいと思っています」 <Vol.3へ続く>

TAG: #EX30 #ボルボ #戦略
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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