烏山 大輔 記事一覧

TEXT:烏山 大輔
「Terra Charge」と日東工業のEV充電器「Pit-2G」が連携開始

Terra Motors(テラモーターズ)株式会社は、日東工業株式会社のMode3普通充電器「Pit-2G(ピット・ツージー)シリーズ」をEV充電インフラ「Terra Charge(テラチャージ)」事業に採用した。これによりEV充電器Pit-2Gにおいて「Terra Charge」専用アプリで充電時間の設定や料金決済を行えるようになった。 Mode3普通充電器「Pit-2G」 Pit-2Gは、充電スタンドとして車種を選ばない充電コネクターケーブルを備えているため、EVユーザー自身が自車の充電ケーブルを携行したり、充電の度に取り出して接続したりすることが不要となる。その他にもEVコンセント充電の約2倍のスピードで充電が可能な6kW出力タイプもある。マンションでの使用や外出先でも使用できる「Terra Charge」の充電設備ラインナップの充実に貢献する。 部品供給停止などのリスクが少ない日本製 Pit-2Gはメイドインジャパンの充電器として、ステンレス製筐体に重耐塩塗装を施すなど日本の環境にフィットし、プロユースに応える仕様になっている。充電器は8年といった長期利用が前提となることから、日本製でインフラとしての安全性・信頼性・品質が高いことが特徴だ。さらに部品供給が国内で完結し地政学的なリスクが少ないため、アフターメンテナンスを重視するマンション、ホテル、ゴルフ場などでも、安心して利用できる環境構築が可能である。 Pit-2Gシリーズは、国の補助金対象充電器となるために必要なJARI認証を取得した。これにより令和4年度補正予算による補助金を活用し充電器を導入することができる予定である。 EV充電インフラの「Terra Charge」 テラモーターズが2022年4月より開始した電気自動車向けの充電インフラである。EVの充電設備を始め、充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリや管理クラウド、サービスの提供開始に必要な説明、充電設備の設置工事、ハードおよびソフトの管理運営までを一貫してテラモーターズが担うEV向けインフラ事業である。「Terra Charge」によって、日本でEVがもっと身近になる環境づくりを目指す。

TEXT:烏山 大輔
BMWがBEV 7車種のバッテリーに関するリコールを発表

ビー・エム・ダブリュー株式会社は3月13日、「BMW iX3 M Sport」を含むBEVの7車種について国土交通大臣に対してリコールの届出を実施した。 原因はバッテリーマネジメントエレクトロニクス(SME)において、ソフトウェアが不適切なため、システムの誤診が起きる可能性があることだ。そのため、ごく稀にではあるが充電の停止や高電圧システムがシャットダウンし、モーターの出力およびレスポンスが低下、最悪の場合モーターが停止するおそれがある。なおモーターが停止した場合、車両をオフ/オンすることにより再度走行することは可能であるという。ドイツ本国からの情報では不具合発生は1件、事故の発生は0件とのこと。 改善措置としては全車両、バッテリーマネジメントエレクトロニクス(SME)を対策プログラムへ書き換える必要がある。 プログラムの書き換えは、販売店に入庫して診断機により実施する。もしくは対象車両へ遠隔配信にてプログラムを配信し、使用者自身でインストールして行うことが可能だ。 ユーザーにはダイレクトメール等で通知される。または、車両に直接インカーコミュケーションメッセージが送信される。BMWのホームページにも掲載するという。 ■BMW カスタマー・インタラクション・センター (フリー ダイヤル) 0120-954-018 【リコール対象車種】 BMW i4 eDrive40 BMW i4 M50 BMW i7 xDrive60 BMW iX3 M Sport BMW iX xDrive40 BMW iX xDrive50 BMW iX M60

TAG: #リコール
TEXT:烏山 大輔
ファルケンのEV専用タイヤ「e.ZIEX(イージークス)」、2023年3月欧州で販売開始

ファルケンタイヤはEV専用の新製品「e.ZIEX」を2023年3月に欧州で販売を開始する。「e.ZIEX」は航続距離を最大限に伸ばすため、転がり抵抗を抑え電費を向上させるために設計されたタイヤである。昨年5月にドイツで開催された「The Tire Cologne2022」で初公開された。 e.ZIEXは、住友ゴムグループがこれまでに開発した中で最高レベルの低電費性能を誇るタイヤの一つだ。販売開始時は17~21インチの11サイズで展開する。2024年にはサイズを追加し、より幅広いラインナップとする予定である。 独自の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を使用 「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、相反性能であるタイヤの三大性能(低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能)を高い次元で両立するための技術。ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることが可能だ。この技術を使用し、低電費性能とグリップ力の両方を向上させるゴムの配合を開発した。 またサイドウォールに近いショルダー部分のトレッドの幅を狭め、タイヤの輪郭を最適化し、路面との接地圧を均等化し耐荷重性能を向上させた。これによりウェットコンディションとドライコンディションの両方でタイヤのグリップレベルが向上し、タイヤが均一に摩耗することでタイヤの寿命を延ばすことができる。 走行時の快適性の追求 EVはエンジン音がしないため路面やタイヤからのノイズを感じやすいと言われている。EVの走行時の快適性を追求した「e.ZIEX」は、シームレスで連続したサイプエッジの接触により、タイヤのノイズレベルを大幅に低減している。これは、先進のオフセットトレッドグルーブ配置によって実現された。ファルケンの最先端技術であるSILENT COREも、タイヤのノイズを低減するために機能しており、タイヤ内部のポリウレタンフォーム層が、e.ZIEXの空洞共振を大幅に低減する。 e.ZIEXは、EUの暫定的なラベル分類により、燃費が「A」、ウェットグリップが「A」、騒音が69dBで「A」といずれも最高ランクに分類されている。 まずはEVの発売が続いている欧州での販売開始とのことだが、日本での取り扱い開始も期待したい。EV専用タイヤは交換時の購入コストが高いとの声もあるので、価格設定によってはEVオーナーの維持費を助けるタイヤになるかもしれない。

TAG: #タイヤ
TEXT:烏山 大輔
バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)を活用した実証事業を実施

⻄日本電信電話株式会社(NTT西日本)東海支店、株式会社FOMM、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社は、太陽光発電、可搬型バッテリー、バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)の活用によるエネルギーマネジメントの共同実証事業を行う。 バッテリー交換式EVコンバージョンカー(CEV)とは ガソリンエンジン自動車から、エンジンやマフラー、燃料タンクなどを取り除く。そしてモーターや電池を取り付けるなどの改造を行う。そのようなEV車両のうち、利用者がバッテリーを交換する可搬型バッテリー搭載・交換式タイプのEV車両のことをいう。 現在日本では、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という方針を定め、CO2排出量の削減等の取り組みが進められている。また、蓄電池は天候などにより発電量が大きく変動する太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及拡大に向け重要である需給調整力としての活用が期待されている。 蓄電池の普及に向けて、蓄電池としての価値を最大化し、より利便性の高い利用環境を実現することにより、自治体や企業法人にとっての導入メリットを向上していくことが必要である。 このような背景からこの事業においては、太陽光発電、可搬型バッテリー、CEVの情報を連携・分析することで、発電量・需要量の予兆を把握し、再生可能エネルギーの活用と地域におけるエネルギー循環による脱炭素社会の実現につ なぐことを目指す。 2月から来年度まで実施 太陽光発電設備、可搬型バッテリー、CEVおよびEMS(エネルギー・モビリティ マネジメントシステム)を導入し、再生可能エネルギーでCEVを運行する。それにより得られたデータをEMSで収集、分析を行う。EMSは太陽光発電、可搬型バッテリー、CEVの状態を収集し、統合的に管理を行うシステムである。 (1)実施期間 2023年2月20日〜2024年3月31日 (期間終了後も設備は継続して利用) (2)実施場所 愛知県名古屋市内 (3)役割分担 ・NTT⻄日本:事業の企画・実行管理 太陽光発電設備・可搬型バッテリー・CEV・EMSの導入・運用、データ分析 ※太陽光発電設備は、シーキューブ株式会社が設計・施工。 太陽光発電設備および可搬型バッテリーリースは、NTT・TCリース株式会社が提供。 ・FOMM:CEV・可搬型バッテリーの提供、および CEV・バッテリーデータの提供 ※CEVに使用する自動車リースは、日本カーソリューションズ株式会社が提供。 ・エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ:EMSの提供(2023年夏予定) ※太陽光発電の遠隔監視(エコめがね)は、株式会社 NTT スマイルエナジーが提供。 地域の課題解決に期待 災害等発生時には、近隣自治体に対し太陽光発電設備および可搬型バッテリーを提供する。避難場所等での可搬型バッテリー利用などによる災害レジリエンス(災害を乗り越える力)の強化を目指す。また事業で得られた知見を基に、自治体および企業法人へソリューションとして展開する。再生可能エネルギーの余剰電力活用による脱炭素社会の実現、エネルギーの地産地消や循環の実現など、地域全体の課題解決に貢献していく。

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TEXT:烏山 大輔
ユビ電、ENEOSとハッチ・ワークが協業し、EV向け月極駐車場運営実証を開始

ユビ電株式会社は、ENEOSホールディングス株式会社と株式会社ハッチ・ワークと協業して、2023年3月8日よりグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール(東京都品川区)の月極駐車場にてEV充電サービス付き月極駐車場の運営実証を開始した。 昨今の急速な電気自動車の普及に伴い、充電設備を整える必要性が社会に大きく求められている。 EVの充電は自宅や駐車場での待機中充電(基礎充電)が大半を占める。基礎充電はEV保有に欠かせないインフラであるが、月極駐車場へのEV充電器整備は遅れており、EV保有の大きな妨げとなっている。 このような課題に対して、ユビ電はENEOS、ハッチ・ワークの2社と提携し、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールの月極駐車場で、EV充電サービス付き月極駐車場の実証試験を推進し、ビジネスモデル検証を行う。 実証概要 実証開始時期:2023年3月8日 場所:東京都港区高輪3丁目13-1 グランドプリンス新高輪国際パミール館駐車場 区画数:6区画 ユビ電の電気自動車充電サービス「We Charge」について 「We Charge」とはすべての電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)に対応した充電サービスである。スマホがあれば利用手続きから充電量算出、精算までを「We Chargeアプリ」で完結できる。また自宅マンション以外でも、旅行先のホテルや商業施設などでWe Chargeのあるところなら、同じ料金プラン内で充電できる。どこでも自宅のコンセントのように利用できるのが最大の特長である。 We Charge使用方法 1.We Chargeアプリをダウンロード 2.充電ケーブルを接続 3.アプリで充電器・コンセントのQRコードを読み込み充電開始 支払はWeChargeアプリに登録されたクレジットカードを介して行われる。 We Charge料金プラン 月額0円の「GUEST」プランから月額8,800円の「Super Long」の5つのプランが用意されている。ユーザーが自身の利用状況に応じてプランを選択できることは魅力的だ。 ・Guestプラン 月額0円 48円/kWh相当 ・Shortプラン 月額1,100円 30/kWh相当まで定額 超過料金45円/kWh相当 ・Middleプラン 月額2,200円 60/kWh相当まで定額 超過料金42円/kWh相当 ・Longプラン 月額4,400円 120/kWh相当まで定額 超過料金39円/kWh相当 ・Super Longプラン 月額8,800円 250/kWh相当まで定額 超過料金36円/kWh相当

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TEXT:烏山 大輔
ヒョンデ、新型BEV「KONA(コナ)」を年内に日本で発売

Hyundai Motor Company(ヒョンデ)は3月7日、ソウルでデジタルワールドプレミアを開催。クラストップレベルの航続距離性能のEVやICE、HEV版もあわせ持つB-SUVセグメントの新型「コナ」を発表した。 2台目となるヒョンデ製のBEV 昨年5月にBEVのアイオニック5を日本で発売したヒョンデが、コナを年内にラインナップに追加する。アイオニック5の3サイズは 全長:4,635mm、全幅:1,890mm、全高:1,645mmで、日産アリアなどがライバルになる。それに対してコナは 全長:4,355mm(-280mm)、全幅:1,825mm(-65mm)、全高:1,575mm(-70mm)とサイズが大幅に小さい(括弧内の数値はアイオニック5との差)。 日産リーフ(全長:4,480mm、全幅:1,790mm、全高:1560mm)との比較では、全長は125mmリーフの方が大きいが、幅と高さはほぼ同じなので、リーフの強敵になるだろう。コナの全高が1,575mmと、もう25mm低ければ多くの機械式駐車場に停められるので、BMW i3がそうだったようにヒョンデがそこに対応してくるかに注目だ。 今回は日本での価格の発表はなかったが、兄貴分のアイオニック5が479万円から、お隣の中国のライバルであるBYD ATTO 3が440万円、リーフが408万円からなので、400万円台前半で来るのは間違いないだろう。 充電口がフロントの右側にあり「顔」が左右対称ではないこと、ヘッドライトやリアランプがDRL(デイタイム・ランニング・ライト)やテールランプと別体でタイヤの高さくらいに位置していること、アイオニック5と同じようなサイドのZ形状のラインなど、デザインもとても特徴的だ(タイヤとホイールアーチの隙間から25mmの「車高短」化は難しそうにも見える)。 ヒョンデがコナをいつ導入するのか、価格はどこまで攻めて来るのか。正式発表を楽しみに待ちたい。 車両詳細については以下の通り。 ※仕様情報はグローバルなものとなっており、現時点での日本仕様は未発表。 ヒョンデの電動化ビジョンの加速 コナは、B-SUVセグメントにおいて、最も幅広いパワートレインと最も充実した商品パッケージを提供する車種のひとつである。EV(スタンダード または ロングレンジ)、ハイブリッドエレクトリック(HEV)、内燃機関(ICE)の各バリエーションに加え、スポーティなNラインの選択肢を用意している。 ヒョンデは2022年3月に発表した、2030年までに新型のEVを11車種発表するという電動化加速戦略に合わせ、コナはHEVを含むICE搭載車よりEVを先に開発するという従来とは違う手法をとった。 「コナ(BEV)は、IONIQ(アイオニック)モデルとともに、ヒョンデのEVにおけるリーダーシップを強化する上で大きな役割を果たすと期待しています。この新しいモデルは、初代コナ(BEV)に対する素晴らしい評価を基に、数多くの優れた機能で競合をリードするように設計されています」と、Hyundai Motor Companyの社長兼最高経営責任者である張在勲(チャン・ジェフン)は述べている。 さらに、「ヒョンデはEV革命を単なる最新のトレンドとみなしていません。EV革命は、業界だけでなく、社会にとっても重要な役割を果たすと信じています。私たちのEVのような環境に優しいモビリティソリューションの実現を通じて、クリーンモビリティへの移行を加速し、人類のための進歩をもたらすことができればと思います」と加えた。 充実した商品パッケージ コナは、頑丈でダイナミックなデザインとアップスケールされたディメンションを持ちながらも、個性的なキャラクターを維持しつつ、あらゆる世代の顧客のアクティブなライフスタイルをサポートする。同時に、コネクテッド技術を備え、安全で快適な体験を提供する新しいテクノロジーや便利な機能を備えている。12.3インチのデュアルパノラミックディスプレイスクリーン、Digital Key 2 Touchを装備し、OTA(Over-the-Air)、Connected Car Navigation Cockpit(ccNC)などをアップデートした。 コナ(BEV)は、B-SUVセグメントにおいてクラストップレベルの航続距離(WLTP推定490km ※1)を実現する。また、EV特有のデザイン要素として、フランク(ボンネット内の荷室)、アクティブエアフラップ、室外・室内V2Lアウトレット、ヘッドアップディスプレイ(HUD)※2、i-PEDALドライビングモード、スマート回生システム、e-ASD(e-Active Sound Design)、エコパッケージが装備されている。 ※1 EU仕様基準 ※2 北米マーケットでは提供せず コナは、先進運転支援システム(ADAS)のHyundai SmartSenseと、レベル2の自律走行、前方衝突回避アシスト(FCA)、ブラインドスポットビューモニター(BVM)、遠隔スマートパーキングアシスト(RSPA)、ドライバーステータスモニター(DSM)などの安全装備を新たに搭載している。 新型コナは、先代コナと比較して、ディメンションを拡大した独特のプロポーションである。EVモデルをベースに、全長は2017年の先代より175mm長い4,355mmとなり、ホイールベースは60mm長い2,660mmとなる。全幅は25mm広い1,825mm、全高は20mm高い1,575mmとなる。

TAG: #コナ
TEXT:烏山 大輔
いすゞ、商用BEV導入時の課題解決と脱炭素化をサポートする「EVision」を提供開始

いすゞ自動車株式会社は、いすゞとして初の量産バッテリーEV 小型トラック「ELF(エルフ)EV」の市場投入に合わせ、トータルソリューションプログラム「EVision(イービジョン)」を構築し、3月7日よりサービスの提供を開始した。 このプログラムは、商用BEVの導入検討のサポート、導入課題の解決、CO2排出量削減効果の定量化、さらなる脱炭素化提案によるカーボンニュートラル実現に向けたものである。 各フェーズでの提供ソリューション 顧客が商用BEVを導入するにあたり、様々な課題が想定される。充電設備や電気料金、環境負荷軽減効果などである。これらの課題を解決するため、いすゞは「EVision」を通じ、商用BEVの導入検討から導入時、導入後の各フェーズにおけるソリューションを提供する。 1.導入検討をサポートする「EVisionコンシェルジュ」 顧客がEVを導入した場合のオペレーションを可視化し、最適な運用パターンを設計する。顧客が安心してEVを導入出来るように、導入に向けての検討をサポートする。 [具体的な内容] ・EVへの切替が可能な運行ルート ・充電器・充電時間・タイムスケジュール ・電気料金・施設電力デマンド等を分析 ・導入後のCO2排出量削減効果をシミュレーション 2.導入課題を解決する「EVisionソリューション」 導入フェーズでは、運行の効率化支援や周辺サービスを提供する。 [具体的な内容] ・充電器の選定から施工業者の手配・設置 ・補助金申請といったトータルコーディネートを行う充電ソリューション ・「EVisionプレイズムコントラクト」の設計 ※顧客の運行計画に応じて動力バッテリーの劣化を予測しリース期間に反映するEV業界において先進的なリース契約をパッケージ化したもの。 ・従来と同様の運行管理・予防整備サービス ・商用車情報基盤「GATEX」の車両制御による遠隔充電管理 ・顧客の施設のエネルギーマネジメントシステムと「GATEX」を連携させた消費電力のピークシフトの実現 ・顧客のニーズに合わせた太陽光パネルの導入や再エネ電力プラン、非化石証書等の提案 3.排出量削減効果を定量化する「EVisionレビュー」 [具体的な内容] ・EV、再エネ導入によるCO2排出量の削減効果のフィードバック、さらなる効果拡大の提案 ・法律で義務付けられる温室効果ガスの排出量の国への報告、およびクライアントへの排出量削減目標の進捗報告のサポート

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TEXT:烏山 大輔
高速道路初、新東名のSAで150kW級急速充電器が運用開始

NEXCO(ネクスコ)中日本と株式会社e-Mobility Power(イーモビリティパワー)は、「EVを高出力の急速充電器で充電したい」とのニーズに応えるため、高速道路のサービスエリア・パーキングエリアにおける急速充電器の整備を進めている。今回e-Mobility Powerは国内の高速道路で初めて1口最大150kW級の急速充電器を新たに設置し、3月2日から運用を開始した。この急速充電器は既設充電器の利用頻度が高い「新東名高速道路 浜松サービスエリア(上下)」と「新東名高速道路 駿河湾沼津サービスエリア(上下)」に設置されている。 1口最大150kW級の急速充電器はABB(エービービー)株式会社製の「Terra 184 JJ-X」が設置される。2台同時充電時は1口最大90kWとなる。また1口最大出力90kWの急速充電器はニチコン株式会社製の「NQM-UCY04P」が設置される。こちらは同時充電の台数に応じ総出力が200kW以下となるよう制御される。 高速道路のサービスエリア・パーキングエリアでは、特に休日に充電器の空き待ちをしているクルマも見られるようになってきた。東京―大阪間の中間付近に位置する浜松サービスエリアで最大8台も同時充電ができるようになったことは、充電器の空き待ちを解消する大きな助けになるだろう。 EVユーザーに「選ばれる」サービスエリア・パーキングエリアになるには、充電器の充実が必須になってくるかもしれない。 各サービスエリアに設置した急速充電器の概要、基数および口数 浜松サービスエリア(上り):計8口 ①ABB株式会社製 Terra 184 JJ-X:2口 総出力:180kW 特 徴:1口最大出力150kW(充電開始時から最大15分) 特 徴:2台同時充電可能(2台同時充電時は1口最大90kW) ②ニチコン株式会社製 NQM-UCY04P:6口 総出力:200kW 特 徴:1口最大出力90kW(充電開始時から最大15分) 特 徴:6台同時充電可能(同時充電台数に応じ総出力が200kW以下となるよう制御) 浜松サービスエリア(下り):計8口 ①ABB株式会社製 Terra 184 JJ-X:2口 総出力:180kW 特 徴:1口最大出力150kW(充電開始時から最大15分) 特 徴:2台同時充電可能(2台同時充電時は1口最大90kW) ②ニチコン株式会社製 NQM-UCY04P:6口 総出力:200kW 特 徴:1口最大出力90kW(充電開始時から最大15分) 特 徴:6台同時充電可能(同時充電台数に応じ総出力が200kW以下となるよう制御) 駿河湾沼津サービスエリア(上り):計6口 ①ABB株式会社製 Terra 184 JJ-X:2口 総出力:180kW 特 徴:1口最大出力150kW(充電開始時から最大15分) 特 徴:2台同時充電可能(2台同時充電時は1口最大90kW) ②ABB株式会社製 Terra 184 JJ-S:4口 総出力:120kW 特 徴:1口最大出力90kW(充電開始時から最大15分) 特 徴:2台同時充電可能(2台同時充電時は1口最大56kW) 駿河湾沼津サービスエリア(下り):計6口 ①ABB株式会社製 Terra […]

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TEXT:烏山 大輔
EVを大きく進化させる技術に期待、日本発の技術の展示会「スマートエネルギーWeek春」

スマートエネルギーWeek春が3月15日(水)から17日(金)まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される。2050年カーボンニュートラル実現に向け、ますますの普及が期待される再生可能エネルギー。世界最大級の新エネルギー総合展であるこの展示会は、水素・燃料電池、太陽光発電、二次電池、スマートグリッド、洋上風力、バイオマス発電、ゼロエミッション火力などあらゆる技術が出展される。その中でEVの発展に貢献することが期待される3社の技術を紹介したい。 シャープ、「PV EXPO 春 2023 第16回 国際 太陽光発電展」に出展 シャープはEVへの搭載を目指している高効率太陽電池や、都市部や市街地に適した太陽電池モジュール、EVと住宅用太陽光発電・蓄電池システムが連携する「V2Hシステム」、法人向け自家消費ソリューションなどを展示する。 主な出展内容 1.世界最高水準の車載用高効率太陽電池などの新技術である、薄型・軽量かつフレキシブルなペロブスカイト太陽電池をはじめ、人工衛星などの宇宙や航空分野、EVなどの移動体への応用を目指し、世界最高の変換効率を実現した化合物太陽電池を出展。公道での実証実験を行っている化合物太陽電池搭載のプラグインハイブリッド車(PHV)も展示し、シャープの太陽電池技術の先進性を紹介する。 2.都市部などに適した住宅用太陽電池モジュールや将来EVとの連携が可能な住宅用太陽光発電・蓄電池システムに関して、屋根スペースが限られる都市部などの住宅でも効率的に設置できる、小型サイズの住宅用太陽電池モジュールを出展する。また2024年春発売予定のEV用コンバーターを初公開。EVと住宅用太陽光発電・蓄電池システムが連携する「V2Hシステム」の全体像を展示する。 3.初期投資ゼロで設置可能な産業用太陽光発電システムといった法人向けソリューション工場や大型店舗などに、初期投資ゼロで自家消費用の太陽光発電システムを導入するビジネススキームを提案する。さらに農地で農業と太陽光発電を両立させる営農型太陽光発電や、メガソーラーの発電診断・リパワリングなどを紹介する。 出展小間番号:No.52-4 ジェイテクト、「第14回 国際 二次電池展 バッテリージャパン」に出展 株式会社ジェイテクトは自動車業界のみならず、様々な産業のニーズに応える主電源装置としてのモジュール、主電源装置の力強い相棒となる補助電源、バックアップ電源ユニットなど、キャパシターを用いた様々な電源デバイスを提案する。 主な出展製品 1.高耐熱リチウムイオン・キャパシター 独自特許技術により、世界で初めて-40~85℃の動作温度範囲を実現した。厳しい温度環境での利用や大電流で繰返し充放電する際の自己発熱にも耐え、信頼性の高い電源構築に貢献する。 2.高耐熱リチウムイオン・キャパシター モジュール高耐熱化によって、大電流での連続使用が可能となった、その堅牢性、信頼性はダカール・ラリーという過酷なフィールドで実証済である。自動車分野から産業用途まで、幅広いニーズに対応する。環境規制対応の12V鉛蓄電池代替モジュールも用意している。 3.高耐熱リチウムイオン・キャパシター搭載 多機能化電源システム 自動車分野における自動運転化、電動化に伴う12V系補機系電源の強化機能、およびメイン電源失陥時のバックアップ機能を1ユニットで実現する、小型・軽量な多機能化電源システムを提供する。電圧冗長による高効率運用、電流冗長による高出力運用、電源バックアップまで、信頼性の高い電源システムを提供する。機能安全対応、サイバーセキュリティ―対応可能な商品である。 4.高耐熱リチウムイオンキャパシター搭載 水素燃料電池 ドローン株式会社ロボデックス製の水素燃料電池ドローンに弊社の高耐熱リチウムイオン・キャパシターと補助電源システムを搭載。水素燃料電池では難しいとされる大出力供給、電力変動吸収を担い、ドローンの上昇速度・加速力の向上、姿勢制御性能を強化します。主電源故障時のバックアップ電源としても活用できるよう、機能を拡張中である。 出展小間番号:No.29-39

TAG: #イベント #バッテリー
TEXT:烏山 大輔
ペットと乗れるEVバイク「PONY」を発売、イベントで試乗可能

合同会社グッドシェイプはペットとお散歩できるバイク、The Dog Bike「PONY」を、「第16回ワンOne day at 柏の葉T-SITE」に出店する。このイベントは2023年3月11日(土)、12日(日)に千葉県柏市にある柏の葉T-SITEで行われ、当日は特設コースで「PONY」の試乗ができる。 ペットと一緒に乗れる電動バイク、The Dog Bike「PONY」 家族であり、人生のパートナーでもある「ペット」。そんな大切な存在であるペットが歩行が難しい老犬になっても、気軽にもっと遠くへ一緒に行きたい、もっと楽しく幸せな時間を過ごしたいという開発者の思いから生まれた電動バイクである。 自転車や電車でペットと一緒に遠出するのは大変だ。この「PONY」があれば歩いて行くには遠いお気に入りの公園、ドッグラン施設やお買い物に車がなくても一緒に出かけることができる。 The Dog Bike「PONY」の特徴 ・ペットをシート下のケージまたは前方のキャリーケースに乗せてお出かけが可能。 ・原付バイクの免許以上の保有・ヘルメット着用で運転可能。その上で公道走行ができる。 ・保安部品の装備(LED前照灯・尾灯・ナンバー灯・ナンバープレートホルダー・ミラー・前背後方向指示器・速度計) ・大容量リチウムイオン・バッテリー搭載。バッテリーは外して家のコンセントでも充電できる。(約6時間の充電、バッテリーはリチウムイオン・バッテリー、15Ah、走行距離約40km) ・最大20度の坂道でも走行可能。 ・より安全に軽快に走るために、前後に衝撃吸収装置(ダブルサスペンションフレーム)を装着。 路面の凸凹を吸収する。 ・運転中に両足を置くフットレスト。出し入れは足先でボタンをワンプッシュ。 ・ハンドルバーを折りたたんで車のトランクスペースなどに積載可能。 ・キーロックした状態で振動を感知すると、大音量で警報を鳴らす盗難防止装置を搭載。 The Dog Bike「PONY」の仕様 ・ボディカラー:メタルグレー または サーモンピンク ・本体サイズ:約横1070mm×高1070mm×幅330mm ・ペット用ケージサイズ:横底辺400mm(上辺500mm)×高さ320mm×幅210mm ・折り畳みサイズ:約横1070mm×高さ670mm×幅330mm ・本体重量:約28kg ・モーター:400W/48V ・ブレーキ:前輪ディスク式、後輪ドラム式 ・最高速度:時速35km (法定最高速度は時速30km) ・最大積載:140kg

TAG: #PONY #電動バイク
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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