全固体電池により航続距離1,200km、急速充電10分以下に
次に、さらなる進化を目指す“ハイパフォーマンス版”も開発が進行中。こちらはバイポーラ構造を採りつつハイニッケル正極を組み合わせることで性能をより引き上げるという。具体的にはパフォーマンス版よりも航続距離を10%向上、コスト10%減を目指すとのことで、単純計算で航続距離は1,100km程度となる。さらに航続距離を伸ばしコストを抑えるという目標は凄まじいが、こちらも2027~2028年の実用化を目指していくという。
最後に、全固体電池については2027~2028年の実用化にチャレンジする。その性能はハイパフォーマンス版に比べ航続距離20%向上、急速充電は10分以下を目指すとのことで、実現すれば航続距離1,200kmのBEVが2027年にも市販されることになる。
一方、全固体電池のコストは「精査中」とされ、搭載モデルはかなり高価になりそうだが、ハイブリッド車の「プリウス」や燃料電池車の「MIRAI」をライバルメーカーが絶句する値段で市販したトヨタだから、手が届かないクルマにはならないはず。そして、トヨタでは全固体電池をさらにレベルアップさせたバージョンの研究開発を進めている。こちらはハイパフォーマンス版に比べ航続距離50%向上を目指しており、実現すれば一充電で1,500km走れるBEVが登場するはずだ。
トヨタではBEVに関し、ロケット技術を応用した空力技術の開発、部品点数を削減するギガキャストの導入、自走組立ライン等を取り入れた工場の設計などにも取り組むという。さらに、多様な電動車に対応するマルチパスウェイプラットフォームについては、新型「クラウン」のパワートレインをBEVに転用したテスト車両も公開し、BEV版を提供できる技術力をアピールした。
これまでEVに及び腰と言われた評判を一変させる破壊力のある発表内容に、ライバルメーカーメーカーは震撼必至だろう。