満充電付近では充電効率も低下する
「急速充電は80%まで」といわれるのはどのような理由か。1番は安全確保だ。次は、リチウムイオンバッテリーの特性を踏まえて長もちさせるためである。
リチウムイオンバッテリーは、ほかのバッテリーに比べ1セルあたりの電圧が高い。なので容量を大きくできる。あるいは必要な容量に対し小型化できる。そして長距離移動が可能になる。しかし電圧が高いことは、万が一の際にその影響が大きくなる懸念がある。EVに限らず、スマートフォンやノートパソコン、またモバイルバッテリーなどで発熱や膨張、あるいは発火が起こるのは、電圧が高いからだ。
とくに充電の際、容量以上に充電し続けると、電極が短絡(ショート)して事故につながる恐れが高まる。充電しすぎでなぜ電極がショートするのか。リチウムイオンバッテリーは、電極に含まれるリチウムイオンが正極と負極の間を行き来して充放電する仕組みだ。
その様子をミクロの目で見ると、電極の結晶からリチウムイオンが出て行き、また入ってくる。それによって電極の体積が減ったり増えたりする。電極の材料によっては、リチウムイオンが出て行きすぎると結晶構造そのものが崩れてしまう場合がある。たとえばコバルトはその懸念のある材料だ。一方でコバルトの性能が高いとされる理由は、脆い結晶構造ではあるがリチウムイオンをたくさんもつことができるからだ。
逆にマンガンは、リチウムイオンがすべて出て行ってしまっても柱のような構造が結晶に残るので、結晶が崩れない。ショートしにくい反面リチウムイオンを保有できる量は限られる。リン酸鉄もマンガンと同じような結晶構造である。リン酸鉄の電極がより安全だといわれるのは、結晶構造の違いによる。
それらふたつの材料の安全性は高いが、リチウムイオンの保有量が限られるので容量の確保でコバルトに劣ることになる。いずれにしても電極の結晶からリチウムイオンが出すぎても入りすぎてもよいことにはならない。リチウムイオンが入り過ぎれば結晶構造が膨らみ、バッテリーが膨張する。
それらはみなミクロの現象だが、何百セルも車載するEVのバッテリーとして無視するわけにはいかない。
もうひとつ急速充電で注意すべきは、高電圧・高電流で一気に電気を流す状況だ。あらかじめ充電器側で系統から得る交流を直流へ変換してからEVに充電するのでそのようなことができる。






















































