安全性と電池寿命を考えて充電するべき
急速充電は、コップに水を入れる様子にたとえることができる。水道の蛇口をいっぱいに開け、勢いよく水を流しながらコップに水を注ぐ場合、コップから水が溢れないよう蛇口を閉めるのは至難の業だ。用心しすぎればコップはいっぱいにならない。しかしコップの口ぎりぎりまで水を注ごうとすれば、蛇口を閉めるのが遅れて水が溢れてしまいかねない。これがバッテリーへの過充電の姿だ。
安全に急速充電を終えるには余裕をもって充電を止めるしかない。その目安が80%という数字だ。もちろん急速充電を連続して何度か繰り返せば、80%以上まで充電できなくはない。しかし、そのときの充電量は本来の急速充電の電圧と電流ではなく、もっと少ない電力量になるはずだ。1回目の急速充電より少ない電力を充電するため停車時間を費やすなら、80%を目安に充電を終えたら走り出し、充電量が減ったところで次の急速充電をしたほうが、移動時間を効率的にできるのではないだろうか。
移動を優先することで目的地までの距離が少なくなれば到着時刻の予定を立てやすく、たとえもう1度急速充電をするにしても短時間で済み、あとは目的地充電に任せる考え方もできる。急速充電でできるだけ満充電に近づける意味は薄いのだ。
そのうえで80%という数字は、急速充電に限らずリチウムイオンバッテリーを長もちさせる、寿命の点でポイントだ。リチウムイオンバッテリーは、すでに述べてきたように電極間のリチウムイオンの出入りで充電や放電を行う。したがって、リチウムイオンが出すぎたり、入りすぎたりしするような無理は禁物だ。それは安全上はもちろん、電極への負担を減らし長もちにつながる。
人間にたとえれば、腹八分目の食事をよく噛んでするのが健康によいとされる。リチウムイオンバッテリーの扱いは、まさに人間の食事と同様といえるのである。急速充電は早食い競争に似ている。勝負に出て、食べ過ぎれば腹をこわす。
リチウムイオンバッテリーを使う最適温度は、人が過ごしやすい気温であることにも通じている。リチウムイオンバッテリーは、人間と似た生き物と思って扱うのが、安全かつ有効利用の秘訣だろう。





















































