補助金なしで売れる価格設定が本来の姿
今のEV(電気自動車)は、補助金額により、買い得度や売れ行きが大きく変わる。たとえばホンダが2026年4月に予約受注を開始した小型車のスーパーワンは、車両価格が339万200円なのに、国が交付する補助金額が130万円に達する。価格の38%を補助金で取り戻せるわけだ。価格から国の補助金額を引いた実質価格は、209万200円に収まる。
スーパーワンのベースになった軽自動車のEV、N-ONE e:(L)の価格は、スーパーワンよりも20万円弱安い319万8800円だ。それなのに国が交付する補助金額は58万円に留まるため、価格から補助金額を引いた実質価格は261万8800円だ。

つまり補助金額の違いにより、スーパーワンの実質価格は、N-ONE e:(L)に比べて52万8600円も安くなった。スーパーワンの補助金額が、N-ONE・e:Lに比べて72万円も多いため、損得勘定が逆転している。
さらにいえば、N-ONE e:のベースになったガソリンターボエンジンを搭載するN-ONE RSの価格は227万8100円だ。普通のN-ONEと比べても、スーパーワンの実質価格は18万7900円安い。
そしてEVでは、国とは別に補助金を交付する自治体もある。たとえばスーパーワンを買う場合、東京都で登録すれば、基本補助額が10万円、メーカー別上乗せ補助額がホンダなら40万円だから、合計50万円が交付される。ディーラーオプションのAC外部給電器(駆動用電池から100V・1500Wの電力を取り出せるコンセント)も装着すると、補助金額がさらに10万円増えて合計60万円だ。そうなると実質価格は149万200円まで下がる。さらに東京都足立区は10万円を別途交付するから、最終的には139万200円でスーパーワンが手に入る。

EVのユーザーには嬉しい話だが、マンションなどの集合住宅に住んでいると、自宅に充電設備を設置しにくい。補助金は税金から支払われるため、集合住宅に住んでいたりクルマを所有しない人から見れば、不公平も生じている。川を1本隔てただけで、補助金額が大きく変わる現実もある。EVの補助金は、公平性をもう少しデリケートに考えるべきで、現状は大雑把過ぎる。
そしてEVが高コストで、補助金が交付されないと販売が困難な実情は理解できるが、価格設定の面で補助金に頼っていることも否定できない。

たとえばスーパーワンの価格について、あるホンダの関係者は「国の補助金が130万円も交付されるなら、あそこまで価格を安くすべきではなかった」と語った。いい換えれば補助金額を想定してEVの価格を決めている面もある。
具体的にいえば、N-ONE e:(L)では、前述のとおり国が交付する補助金額が58万円で、これを車両価格から引いた実質価格は261万8800円だ。この実質価格を基準に考えると、スーパーワンの実質価格は、N-ONE e:(L)よりも37万円高い299万円くらいが妥当だろう。130万円の補助金を引いてこの金額とするなら、スーパーワンの車両価格は429万円まで高められる。EVの値付けでは、このような計算も行われる。
また補助金は、政治に左右されるから、不意に廃止されても不思議ではない。今後のEVは、補助金の交付が終了しても、十分に販売できる価格競争力を身に付けておく必要がある。
















































