コスパ抜群の可能性あり!
それでは、このシーライオン6が競合関係となる三菱アウトランダーPHEVと比較してどれほどの性能を実現してきているのかを分析していきたいと思います。
今回比較しているのはドイツ市場におけるSeal U AWDとアウトランダーPHEVです。なぜドイツ市場なのかというと、オーストラリア市場では22.7kWhへとバッテリー容量が増量された新型アウトランダーが導入されておらず、正確な比較ができないためです。
前述のとおり、新型アウトランダーには22.7kWhが搭載されており、欧州WLTCモードにおけるEV航続距離は85kmと、シーライオン6よりも長いです。さらに燃費性能について、シールUの7.4L/100kmと比較しても、アウトランダーは7.1L/100kmと、わずかに燃費性能で優っています。BYDのDMシステムの強みといわれていた効率性でも、三菱がわずかに上まわっているのです。急速充電性能もアウトランダーのほうがより充電スピードが速いです。
またトヨタの新型RAV4に用意されるPHEVのスペックがわかり次第、今後詳細に比較する必要もあるでしょう。
今回のシーライオン6に対して残念なのが、最新のDMシステムではないという点でしょう。これは熱効率40.12%を達成する第四世代のDMシステム(FWDグレードでは43.04%を達成)であり、その一方で中国市場に投入されているSong Plusには熱効率46.06%を達成する第五世代のDMシステムが採用されているのです。
確かに0-100km/hでは5.9秒と、2.4リッターエンジンを搭載するアウトランダーPHEVを大きく上まわる動力性能を実現しているものの、それでも燃費に強みをもつBYDのDMシステムとしては物足りないと感じてしまいます。日本国内に導入されるシーライオン6に第五世代DMシステムが採用されるサプライズに期待したいところです。
それではシーライオン6の値段設定を予測していきたいと思います。
注目するべきオーストラリア市場について、このグラフはオーストラリア国内で発売されている6車種の値段設定の分布図を示したものです。最安モデルのドルフィンは日本円で300万円程度から発売されており、日本と同じです。次にATTO 3は400万円程度で発売されているものの、オーストラリア市場のエントリーグレードはバッテリー容量が小さいモデルであり、比較するべきは4万4990ドルからの上級グレードであることから、日本の418万円と比較しても若干割高です。また日本国内で495万円から発売中のシーライオン7は、オーストラリアでは550万円程度から発売されています。
これらの情報をもとにすると、日本市場ではATTO 3よりも安価な値段設定で発売されると推測できます。つまりシーライオン6 FWDグレードは、399万円程度で発売される可能性があります。またシーライオン6は、PHEVなのでCEV補助金を適用することも可能です。おそらく20-30万円適用できるとすると、実質380万円程度で購入できるのではないかと。
たとえば新型アウトランダーPHEVは、526万3500円から発売をスタートしているので、補助金を含めても100万円ほど安価に購入できることになる計算です。さらになんといってもBYDの強みは、いわゆる日本メーカーがオプション設定してくる装備内容(上級音響システム、ガラスルーフ、シートクーラー、レベル2自動運転システムなど)を標準装備してくるという点でしょう。それを含めるとシーライオン6がPHEVとして非常にコスト競争力が高くなる可能性が高いのです。
はたしてBYDのPHEVがどれほどの完成度を実現して、どれほどの値段で発売してくるのかは2025年下半期の注目動向といえそうです。