変化が大きく突発的対応が多い人はEVオーナーに不向き
EVに向いていないライフスタイルは、上記の逆で突発的な対応が多い人だ。
たとえば、突然遠くの客先を訪れることが多いような仕事をしていると、自分のライフスタイルに必要な航続距離を判断するのが難しい。仕事の途中では充電ステーションに立ち寄る時間が取れないというケースもあるだろう。こうした生活を送っている人は、EVに乗り換えるとストレスを感じるシーンが多くなってしまうのは仕方がない。
具体的には、毎日のように取材で東奔西走するモータージャーナリストのような職業はEVに向いていない典型といえる。自動車メディアがEVに否定的なムードなのは、彼らのライフスタイルが関係している面もあると思う。ただし、こうしたライフスタイルが多数派かといえば、そうではないだろう。
変化の多いライフスタイルでなければ、EVを拒絶してしまうのはもったいない。
また、車中泊を活用して気ままなドライブ旅行を楽しむという人もEVは向いていない。時間に縛られていなければ、高速道路のSA/PAや道の駅など、EVを充電できるスポットは多いため、EVでのロングドライブは可能だ。しかし、軽バンでの車中泊ライフを楽しんできた筆者だけの感覚かもしれないが、気ままなドライブに「EVの充電」という”計画”を組み込むことを嫌う人は少なくなさそうだ。
重要なファクターとして、EV向きかどうかを左右する資質は「計画性」といえる。
どんなにバッテリーが大きなEVでも、十分に充電されていなければ遠出することはできない。「明日はドライブを楽しむぞ」と思ったら、必要なだけ事前に充電しておく(前日に充電器につないでおく)という計画性が、EVに合ったライフスタイルには必要だ。
前半で、EVを自宅の普通充電につなぐことを”寝る前にスマホを充電するような感覚”と記したが、スマホの充電を忘れてしまうことが多く、出先でモバイルバッテリーをレンタルすることが多かったりするような人は、EVでも同様の失敗をしてしまう可能性が高そうだ。
うっかり充電を忘れただけで満足に走れなくなるEVより、ガソリンスタンドを見つければどうにかできるエンジン車のほうが安心できるという主張は、十分に理解できる。
もっとも、ガソリンスタンドがどんどん減っているのも事実。地域によってはガソリンスタンドというインフラが足りなくなり、EVへ乗り換えることを余儀なくされるケースも出てくることだろう。
そうした未来にストレスを感じることなく、EVの快適なカーライフを享受するためには、まずは日常のスマホ充電から『計画性』を習慣づけてみるのはいかがだろうか。その一歩が、EVのある豊かなライフスタイルへつながるはずだ。