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「風が吹けば桶屋が儲かる」的な理屈がいまEVでも起こっている! 充電スポットがあるとお店が儲かるのはナゼ?


TEXT:御堀直嗣 PHOTO:TET 編集部/写真AC
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EVの普及が進まなければ状況は変わらない

話がそれたが、そのように、細かく充電を繰り返し、何かをしながら充電も済ます考え方は、エンジン車でいえば、止まるたびに5~10リッターずつ給油し、移動し続けるようなことになる。しかし、ガソリンや軽油だと、自宅はもちろん何処の施設にも設置できるのではなく、セルフサービスであるとしても、そのための時間を別途必要とする。

しかし、用事を済ます間に普通充電するなら、駐車場に設置でき、クルマを止め、プラグを差し込み、あとは食事なり打ち合わせなりをするだけだから、余計な時間をとるわけではない。何か所かに立ち寄る補充電によって、最終目的地に到着する。

こうした止まるたびに継ぎ足し充電で移動するEVの利用の仕方が身に着けば、また、そうやってEVに乗る人が増えれば、充電設備のある店や近隣の商売は、売り上げが伸びていく可能性があるのではないか。

EVのイメージ

これを経験すると、あえてスタンドに寄って給油する行為が、たとえそれが5~10分で終わるとしても、いかに面倒な行動であったかを実感するだろう。EVに乗ってみると、スタンドに立ち寄らずに済むことがどれほど快適か、実感するはずだ。

ちなみに、ガソリンスタンドの件数は確実に減少しており、2023年で約2万7400軒にまでになっている。これにより、たとえば帰宅前など給油の希望が集中する時間帯には列ができ、とても5~10分で給油が済まなくなる場合もあるのではないか。

高速道路や道の駅などの急速充電を使うにしても、行く先に目的地充電があれば、経路充電の負担が減り、混雑が緩和される方向へ向かうことも期待できる。

EVのイメージ

もちろん、一気に遠出をする人には、高性能で大電力を供給する急速充電器が必要になる。そうした充電器の整備は必要だ。とはいえ、経路充電と位置付けられる充電器の性能がすべて高性能で急速でなければならないことはなく、経路の立ちより先に何だかの魅力や用事があり、同時に普通充電できれば、人々は時間を有効活用する事例も増えるだろう。

クルマが多く集まる場所や施設に普通充電器が増え、継ぎ足しによる経路充電の安心が理解され、周辺施設の売り上げも伸びれば何よりだ。また、高性能急速充電器への投資も将来的に抑えられるかもしれない。

いずれにしても、快適なEVライフを実現するには、EVの普及がもっと進まなければ拡充しない。

EVが、単に環境対策車であるというだけでなく、スタンドに立ち寄らないで済む快適さを理解してもらう周知が不可欠だ。

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