Q6から読み解く次世代アウディデザイン
次に、側面では最近のアウディ車のアイコンである前後ブリスターフェンダーがポイント。興味深いのは、同時期の新型A6とは形状が異なることで、A6がフェンダーの張り出しに素直に沿った柔らかい造形なのに対し、Q6ではナイフでボディを削ぐようなラインを引くことで「段差」を作っている点。ここは、あえてSUVらしい力強さを出したということでしょうか。
また、資料を見ると、Dピラーとルーフとの間のブラックの縁取りが新型の自慢だそうで、これまたA6と同じ表現。これはキャビンを長く見せる効果があるそうですが、この樹脂パーツはリヤガラスの周囲までのびているので、柔らかいボディをよりスムースに見せる効果もあるようです。
リヤに向けては、かなり絞られたキャビン形状が意外なところ。先のDピラー表現と合わせ、とくにキャビンを大きく見せようという意図はなさそうです。ブリスターラインに沿わせたテールランプは流行の横一文字形状。そのなかでアウディらしさといえば、繊細に配置されたLEDによる緻密なグラフィックでしょうか。
冒頭に書いたとおり、Q6 e-tronのスタイリングは従前のキリッとした表情から、より柔らかい表現への過渡期にあるように見えます。滑らかな面構成ではライバルのメルセデス・ベンツも同じ傾向にありますが、アウディでは柔らかさのなかに一定のシャープさを織り込んでいる点が特徴といえそうです。
新しいデザイン責任者による明快な主張がどのように現れるのか。このQ6からもいろいろと想像が膨らみそうです。
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