#デザイン
TEXT:すぎもと たかよし
ヤリスクロスより小さいのに「堂々たる」ジープを表現! 注目のEV「アベンジャー」のデザインの秘密

コンパクトながら安定感のある佇まい 2024年9月26日、ジープ・ブランドでは約2年ぶりとなる新型モデル、アベンジャーが発売になりました。同ブランド初となるEVとして早くも各方面で話題になっていますが、新鮮なスタイリングにも注目が! そこで、今回はあらためてエクステリアデザインの見所をチェックしてみたいと思います。 まず、何より意外なのはそのコンパクトさでしょう。パッと見は豊かなボリューム感もあって「それなり」の大きさを感じるのですが、全長4100mmは。先行したレネゲードより150mmも短く、国産コンパクトSUVのヤリスクロスと比べても80mmも短いのです。 それにしても堂々と見えるなあ……、と思わせるのはスタンスのよさゆえで、じつはホイールベースを見るとヤリスクロスと同じ2560mm。となれば、前後のオーバーハングは自ずと短くなり、小さくてもしっかりした佇まいになるワケです。 基本的なスタイリングは、ザックリいうと同ブランドのなかでもグランドチェロキーやコマンダーの流れにあるようですが、その端正さにジープの起源であるウィリスのワイルドさを加えたのが特徴のようです。 たとえばワイド感を強調したフロントはグランドチェロキー的ですが、抑揚あるボディに合わせ、より立体感を持たせた点が独特。自慢の7スロットグリルとヘッドライトとの「段差」も大きいし、グリル自体にも「折り」が加えられて奥行きがあるのです。 で、同車は最近のEV車の流行である「ノッペリ顔」でない点も見所。もちろん海外市場では内燃機関版が用意されていることもありますが、グリルはブランドを示す重要な要素ですから、EVだからといって安易に「フタをする」選択をしなかったのは正解だと思えます。

TAG: #JEEP #アベンジャー #デザイン
TEXT:TET 編集部
レクサスが世界最大のデザインイベント「ミラノデザインウィーク2024」に出展! EVコンセプトカー「LF-ZC」にインスパイアされた2作品を展示

「Time」をテーマにふたつの作品が表現していることとは? レクサスはイタリア・ミラノで開催されている世界最大のデザインイベント、「ミラノデザインウィーク2024」に出展。世界中のクリエーションが集結するトルトーナ地区の中心である、スーパースタジオ・ピュー内のアートポイントとアートガーデンにおいて、インスタレーション「Time」を公開した。 インスタレーション「Time」では、ソフトウェアが未来を予見しながら、クルマを通じたひとりひとりの体験価値の可能性を新たに広げ、絶え間なく進化し続けていくという、テクノロジーによる未来の無限の可能性に対するブランドの想いを表している。また、カーボンニュートラルとラグジュアリーが両立する世界を目指し、エネルギーとソフトウェアに向き合いモビリティの革新を進めていくというレクサスの意志も表現されている。 今回は、会場内にレクサスの次世代バッテリーEVコンセプト「LF-ZC」(Lexus Future Zero-emission Catalyst)に着想を得た2組のデザイナーによる作品が展示されている。各作品の詳細は以下の通りだ。 インスタレーション「Beyond the Horizon」 ソフトウェアによって常にアップデートされ、従来の乗り物としての役割以上にユーザーとの会話を通じひとりひとりに寄り添いながらパーソナルな体験価値をもたらすという、モビリティの未来に対するレクサスの考えを体現した作品。一列に並んだ約2mのインタラクティブ・スカルプチャーは、まったく同じ外装でありながら、それぞれに個性の異なる光の表情を持つ。その中央には、未来に向けた探求と革新の象徴として、レクサスの次世代バッテリーEVコンセプト「LF-ZC」が佇む。 伝統的な職人技術と最先端のテクノロジーの融合は、この作品のもうひとつの主題だ。1500年以上続く越前和紙によって、高さ4m、幅30mもの巨大なスクリーンを構成し、刻々と移ろい変わる水平線の情景をそこに映し出す。この和紙には「LF-ZC」にも採用された竹が、環境への配慮とラグジュアリーなデザインを両立する素材として漉き込まれ、未来に向かいながらも日本の伝統素材や匠の技を尊重するレクサスの姿勢が表現されている。 作品を手掛けたのはロンドンのデザインスタジオ「Tangent」の創業者にして、東京大学先端科学技術研究センター特任准教授を務める、デザイナー、クリエイティブディレクターの吉本英樹氏。 音楽は、先鋭的な電子音楽作品からピアノソロ、オペラ、映画音楽、サウンド・インスタレーションまで多岐に渡り、東京・パリを拠点に活動を行うATAKの渋谷慶一郎氏だ。 渋谷氏は、自身のサウンド・インスタレーション作品「Abstract Music」を本展示コンセプトに合わせて新たに制作した。会場に張り巡らされた31台のスピーカーの間では、膨大なサウンドデータからリアルタイムに生成された音像がプログラミングによって動きまわる。そのため無限に音は変化を繰り返し、二度と同じ瞬間は訪れないという。 夜明けから日没へと変化する水平線の移ろい、その彼方への案内人としての「LF-ZC」と10体のスカルプチャー、そして「Abstract Music」が三位一体となり、唯一無二のパーソナルな時間と没入体験が創出される。また、時間によって変化するレクサス専用の5つの香りが、時のうつろいや変化のなかに美しさを見出す、日本ならではの五感を通したおもてなしとして来場者を出迎える。 インスタレーション「8分20秒」 作品は、持続可能な未来のために太陽光とテクノロジーを融合させたイノベーションを探求する、オランダ出身のソーラーデザイナー、マーヤン・ファン・オーベル氏によるもの。 カーボンニュートラルとラグジュアリーの両立を目指し、エネルギーとソフトウェアに向き合いモビリティの革新を進めていくというレクサスの意志を表現。「LF-ZC」を原寸大で表現したインスタレーションは太陽光発電を利用しており、有機薄膜太陽電池(OPV)シートからエネルギーを取り入れ、内蔵されたバッテリーに蓄積する。来場者の動きに反応する人感センサーを搭載し、自然環境の相乗効果を表現している。 太陽から光が地球に到達するまでの時間にちなんで名づけられた「8分20秒」は、LF-ZCにインスピレーションを得ており、まわりには太陽を想起させる展示物、ホログラフィでできた木々、そしてベンチが配置されている。自身のソーラーランプ作品「Sunne」を16個、円形に配置したこの太陽は、レクサスが開発した新しい竹繊維でできたセンサーに来場者が触れることで色が変わり、来場者ひとりひとりの朝日を演出している。 また、「LF-ZC」の内装に採用された竹素材に由来し、インスタレーションからは竹の揺らめきなどの自然音が発せられ、聴覚的な表現も施されている。 レクサスのChief Branding Officerであるサイモン・ハンフリーズは今回の展示について、次のように述べている。 「レクサスは、創業以来、ラグジュアリーカーの常識を打破する挑戦をし続け、商品とサービスの両面で限界を押し広げることで、お客様ひとりひとりにユニークで期待を超える新しい体験を創造してきました。今回、私たちがお届けするインスタレーションのテーマは“Time”です。私たちは、体験と時間は一組の概念だと考えています。時間がないと、体験は出来ない。私たち人間にとって時間は、ただ過ぎ去るものではなく、特別な体験を与えてくれるものです。人間中心の思想を大切にするレクサスにとって、新たな体験提供は、人と時間の関係を探求することから始まると信じています」

TAG: #インスタレーション #コンセプトカー #デザイン #レクサス
TEXT:小川 フミオ
ボルボ「EX30」は「脱炭素」をキーワードにインテリアの“プレミアム”を再定義する

前回に引き続き、小川フミオ氏が「EX30」の室内のこだわりや新たな手法を、ボルボのインテリアデザインの責任者に訊いていく。 新しい方法で作り込まれたインテリア −−「EX30」のインテリアは、じつにシンプルです。機能がコンパクトにまとめられているし、スイッチ類が中央のセンターコンソールにしか設けられていないなど、ある意味、とても割り切りのよいデザインです。いっぽうで、このデザインはシンプルすぎるという批評もありそうです。  「私たちが手がけるBEV(バッテリー電気自動車)であるEX30では、インテリアにおけるプレミアムさを再定義しようと試みました。作りこみを新しい方法でやろうと試みたんです。結果、いわゆるデコレーションだと思われる部分は排除しています。クロームの加飾も美しいけれど、それじたいが無駄。機能はないし、目的もないので、排除しようと決めました」   −−たいへん明快なコンセプトだと思います。 「私たちはBEVを脱炭素とを結びつけて開発しているので、エネルギーをたくさん使って作る素材を排除しました。いっぽうで、エネルギー消費が少なく製造できる素材を見つけて、それを使いながら、かつ、デコレーションを排除して、素材じたいでをあたらしいフ ォルムを作るように使っていくことにしました。 たとえばピクセルシートです。表皮は、あたらしいパターンを開発して使っています。デザイン的にもサステナブルなフォルムが実現できたと自負しています」 −−あたらしい素材がいろいろ使われているようで、そこは、デザイナーとして誇りたい部分ではないでしょうか。 「もっともむずかしかったのは、この新素材の開発です。非常に複雑で時間のかかるプロセスですし、いろいろな試験が必要だからです。気候、耐久性、キズやスクラッチに対する耐久性もテストしなくてはなりません。さまざまな時間のかかるテストをしました。ただし、それによって新素材を使うからこそ出来るあらたなデザインなどですとかが期待できたので、わくわくするプロセスでもありました」     4種類のインテリアパッケージ EX30のインテリアは、レザーフリーだけでなく、リサイクル素材を多く使っていることで話題を呼んでいる。日本には「ブリーズ」と「ミスト」と名づけられたパッケージが導入される。 ブリーズにおけるシート表皮は、リサイクル素材を使ったピクセルニットに、ボルボ車ですでにおなじみのやわらかな手触りの合成皮革ノルディコを組み合わせたもの。 ダッシュボードのパーティクルパネルは、廃棄されたPVC製の窓枠からリサイクルしたもの。フロアマットは廃棄された魚網からのリサイクル素材で作られている。 ミストのシートは、テイラードウールブレンドなる、ちょっと衣服のような手ざわりで覆われている。ダッシュボードには再生可能な亜麻の繊維で織られたリネンを使い、フロアマットはブリーズ同様にリサイクルされた漁網で作られている。 −−EX30のインテリアは、リサイクル素材と再生可能素材を使って実現したものですね。そこもBEVでもって新しい世界へと入っていこうという強い意思を感じさせます。 「2040年までにサーキュラーエコノミー(廃棄物をなくし資源を循環させる経済システム)を実現するという目標のために新素材はなくてはならないものです。本国には4つの内装があります。カラーマテリアルチームとこの仕事で決めていきました。いろいろな素材、コンポーネンツを集め、こういう色調を実現したいんだというようなものを拡げて、観ていきました。インテリアに使う色は、つねに自然からインスピレーションを得たものです。それがテーマにありました。たとえばパイングリーンとかクラウドブルーとかモスイエローとか。自然からインスピレーションを受けた色です」 ボルボはあらたな(BEV)時代を迎えても、従来からの自分たちの価値をしっかり見据えて、それを失わないようにと考えているのだ。ブランドバリューが確立しているメーカーは強い。そう感じさせてくれるインタビューだった。

TAG: #EX30 #デザイン #ボルボ
TEXT:小川 フミオ
日本でついに発売「ボルボEX30」のインテリアはピュアな北欧デザインそのもの

いよいよ日本でも発売になったボルボ「EX30」。8月に実施された日本での発表会にはインテリアデザインの責任者も来日していた。ジャーナリストの小川フミオ氏が室内空間の詳細に迫る。 いくつもの仕掛けで室内を自分好みに ボルボが手がけるコンパクトサイズのBEV(バッテリー電気自動車)「EX30」が2023年8月24日に日本発売。 「ボルボ史上最も小さな電気自動車」とか「日本の交通事情にマッチ(したディメンション)」とかを日本法人のボルボ・カー・ジャパンは謳う。 もちろん、それだけで商品力がつくわけではない。EX30の特徴として「サステナビリティ、最先端のテクノロジー、こだわりのスカンジナビアンデザイン、新しいユーザーエクスペリエンス」があげられている。 どんなコンセプトで、内外がデザインされたのか。その興味を満たしてくれる人物が、ボルボ・カーズ(本社)から、東京での発表会のタイミングで来日したのでインタビューした。 英国人リサ・リーブス氏は、2014年からボルボ・カーズでインテリアデザインのマネージャーを務め、現在はインテリアデザインの責任者の要職にある。 ーー日本の道路事情にもよく合うサイズとは、23年6月にミラノで行われたワールドプレミアのときから言われていました。リーブスさんがじっさいに東京の路上でチェックして、どんな印象でしたか。 「私は日本が初めてなんですが、そのあたりを見学したところ、日本市場にベストフィットだとわかりました。ディメンションも素材もデザインもぴったりだと信じています 」 ーーもうすこし詳しく教えていただけますか。 「このクルマが、フレキシブルで、個人に特化したパーソナライゼーションに対応しているからです。室内の装備のなかには個人の好みで設定できる仕掛けがいくつもあります。なので、自分が選んだ使いかたができるはずです。コネクティビティも高いですしね」 ーーEX30のコネクティビティとデジタライゼーションについて、どういう内容になっていますか。 「グーグルにサインインすれば、シームレスにデジタルエクスペリエンスが展開できるようになっています。 5Gの規格も使えるので、プロセッサーのスピードも確保できるでしょう。OTA(オーバージエア)によるアップデートも可能です。購入後も、デジタルで拡張性を持たせていこうと考えています」   シンプルでナチュラルなインテリア ーーインテリアデザインに話題を移します。ボルボはニューモデルを解説するにあたって、つねにスカンジナビアン(北欧)デザインといいます。それの意味するところを説明していただけますか。 「スカンジナビアンのデザインの価値とは、ピュアさと、空間の整理のしかたにあると思います。ボルボ車の価値はまさにそこ。複雑になりがちな要素をできるだけシンプルにまとめています。余分なものはないようにしています。そこも人間中心に考えています。充分なものだけがあるのです」 −−以前、他のメディアのインタビューでリーブスさんは、デジタライゼーションはボルボのインテリアデザインにとって、ある種の福音であると答えていらっしゃいました。 「デジタルエクスペリエンスの分野では、いろいろな技術が搭載されていますが、そこも人間中心に考えています。あまり機械にまかせにしすぎないように気をつけています。デジタルエクスペリエンスといっても、あくまでもナチュラルな感覚に寄り沿うことをめざしています。そこが私たちのブランドのバリューです」 次回へ続く リサ・リーブス Lisa Reeves ボルボ・カーズ インテリアデザイン部門 責任者 2014年にボルボ・カーズに入社し、インテリアデザイン・マネージャーを務める。数多くのプレミアム自動車メーカーでの経験をもち、プレミアム・デザインを通じてボルボ・カーズ・ブランドを再定義するという企業のビジョンに貢献している。 現在は、インテリアデザインの責任者として、次世代電気自動車の開発に取り組んでおり、また、ボルボ・カーズのビジネスにおける高い循環性の実現に向けて、スカンジナビアン・プレミアム・インテリアデザインを変革するという戦略的ビジョンにも取り組んでいる。

TAG: #EX30 #デザイン #ボルボ
TEXT:小川 フミオ
[レクサスRZ450e]痛快なサイドビュー、「顔」のデザインは少し残念な点も[試乗記:その4]

レクサスはBEV(バッテリー電気自動車)のRZ450eにスピンドル“ボディ”を初めて採用、それまでのスピンドルグリルから大胆な変更となった。しかし、自動車ジャーナリスト・小川フミオ氏は、もう一歩BEVならではのデザインに踏み出して欲しかったと考える。その真意とは。 スピンドルボディのデビュー作 レクサスRZ450eは、あたらしいボディスタイリングをもっている。「BEVならではのシームレスな加速感とトルクフルな躍動感を表現」(プレスリリース)と説明される。 ちょっと情緒がかった表現なので、的確に解釈できるか自信はないけれど、たしかに前後のフェンダーのふくらみが力強さを表すいっぽう、傾斜の強いリアウインドウなどがスポーティだ。 プレミアムサイズのセダンとは表現がことなる。 キャビンは、リアウインドウがあえて強めに寝かされるとともに、Aピラーだけボディ同色の、自動車デザイン用語でいう逆カンチレバールーフを採用。 後輪あたりのリアクォーターパネルへとキャラクターラインがキックアップしてきて、車体にまとわりついた風などがばっと上に抜けていくようなデザインも、よく出来たスポーツクーペ、レクサスLCに通じる表現で痛快。 加えて、従来のICE車やハイブリッド車などとも一線を画している。 レクサス車のシンボルでもあった「スピンドルグリル」を廃し、ボディぜんたいの“かたまり感”でもって「スピンドルボディ」を作りあげたとされる。 スピンドルグリルを設定した2012年あたりで、すでにその先の電動化は視野に入っていたはず。ここがむずかしいところで、BMWはうまくやっているけれど、メルセデス・ベンツはグリルへのこだわりは捨て、エンブレムに集中している。 かつてのデザイン部長は「スピンドルグリルはシルエットを使えば、ピュアEVのフロントグリルにもじゅうぶん使える考え抜かれたものです」と私に説明してくれたことがある。 たしかに、レクサスといえばスピンドルグリル。10年で完全に定着したといえる。RZではそれを捨ててしまったのか。執拗に過去の実績にこだわる必要はないけれど、トヨタもそこはあんまりこだわっていないな。 フロントにエンジンがないのでキャビンとのあいだの隔壁をもっと前に出して、Aピラーをさらに前進させるデザインも出来たように思うけれど、レクサスでは、冒険的な手法は採らなかったようだ。 個人的にはサイドビューは好きだけれど、壁感というか、グリル開口部をなくしてそのままのっぺりしたパネルにしてしまったフロントグリルには、いまひとつ審美性を見出しにくい。そこは惜しい点である。 レクサスRZ450e version L 全長:4,805mm 全幅:1,895mm 全高:1,635mm ホイールベース:2,850mm 車両重量:2,110kg 前後重量配分:前1,130kg、後980kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:147Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:494km(WLTCモード) 最高出力:前150kW(203.9ps)、後80kW(109ps) 最大トルク:266Nm(27.1kgm)、後169Nm(17.2kgm) バッテリー総電力量:71.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:eAxle(1速固定) 駆動方式:AWD フロントサスペンション:マクファーソン・ストラット式 リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン式 フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前235/50R20、後255/45R20 最小回転半径:5.6m 荷室容量:522L 車両本体価格:880万円

TAG: #RZ450e #SUV #デザイン
TEXT:生方 聡
「GLB」とは別モノ!? 「EQB」の電気自動車らしいデザインとは? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その2]

メルセデス・ベンツの人気SUVがベースの「EQB」は、「GLB」譲りの強い存在感を放つ一方、EVらしいデザイン要素によってGLBとは異なる個性を手に入れている。 フロントマスクを一新 大小の箱を連ねたような、まさにSUVという四角いフォルムが特徴のEQBのエクステリア。全長は、以前試乗した「トヨタbZ4X」よりも5mm短い4,685mmであるにもかかわらず、ひとまわり大きく思えるほど、強い存在感を放つ。この印象は、ベースとなるGLB譲りといえるが、フロントマスクやリアビューはGLBとは明らかに異なるデザインに仕上げられている。 たとえばフロントマスクは、押しの強いGLBに対して、EQBは都会的なイメージ。電気自動車だけに本来ラジエターグリルがある場所は光沢のあるブラックパネルでカバーされ、EQB専用デザインのヘッドライトと組み合わされることで、洗練された印象を強めている。 フロント以上に個性的なのがリアエンドのデザインで、ユニークな意匠のLEDテールライトとそれを結ぶライトストリップがEQシリーズの一員であることをアピールしている。 一方、EQBのコックピットはGLBのデザインをほぼ受け継いでいる。コックピットディスプレイとセンターメディアディスプレイを並べたダッシュボードや、5つの円形のエアアウトレットなどには見覚えがあり、GLB同様、きらびやかさが際だっているのだ。

TAG: #EQB #デザイン
TEXT:曽宮 岳大
新生ランチア発動。新型EVコンセプト「ピューラHPE」を世界初披露

ランチアは4月15日、新しいコンセプトカー「Pu+Ra HPE(ピューラHPE)」を初披露した。いくつかのティザー(登場予告)を経て公開された同モデルは、ランチアが今後進む方向性を示したデザインスタディだ。ランチアでは、エクステリアデザイン、くつろげるインテリア、持続可能性、電動化、快適技術の5つをブランドの重要なキーワードとして掲げ、今後登場する市販モデルも、これらの要素を踏まえたモデルになりそうだ。さっそくピューラHPEの中身を見ていこう。 ヘリテージと前衛的デザインの融合 全体のプロポーションは、未来的な流線型フォルムを取り入れており、かなり攻めたデザインといえる。直線的なラインと曲面を組み合わせ、随所に歴代モデルに通ずるディテールを取り入れたものとなっている。ちなみに車名の「HPE」とは、1970年代に「ランチア・ベータ」で初めて使われたネーミングで、“ハイパフォーマンス・エステート”の頭文字をとったもの。ルーフエンドをドライバー頭上よりはるかに後方に位置させたフォルムは、なるほどエステート風だが、ルーフをリアエンドまで延長せず、リアエンドに向けてなだらかな傾斜を持たせることで、クーペ調のデザイン要素も併せ持つ。捻りを加え、他のどのモデルにも似ていない個性を放つところはランチアらしさを感じさせる。 ディテールには随所に歴代モデルのモチーフを見ることができる。フロント中央から3方向へと広がるYの字ラインも、歴代モデルと見比べてみると、ヘリテージを受け継いだものであることがわかる。またこのデザイン要素は2022年に発表されたデザインコンセプト「Pu+Raゼロ」でも提案されていた。 また左右のリアコンビネーションランプの間にLANCIAの文字を配したそのデザインは、「ストラトス」を彷彿とさせるもの。リアウインドウは「ランチア ベータHPE」を思い起こさせる形状とした。なお、ランチアのロゴやバッジも新デザインに変更されている。 インテリアは、イタリアの高級家具メーカー、カッシーナとのコラボレーションにより仕上げられたもの。フロントシートは、ヴィコ・マジストレッティの手になるカッシーナの高級ソファ「マラルンガ」に着想を得ている。リビングのソファのようにお尻を優しく包み込む形状で、上質な素材や明るい色彩もイタリアらしい仕上がりだ。 ちなみにピューラHPEはリアにも独立した2座を備え、ナイトテーブルのようなスタイリッシュなテーブルを備えている。このほかオーディオや空調、照明などを集中管理し、ボタンやボイスコマンドで操作できる機能など最新技術も取り入れている。

TAG: #コンセプトカー #デザイン
TEXT:生方 聡
「bZ4X」からトヨタの新デザインが始まった! [トヨタbZ4X試乗記:その2]

トヨタが満を持して市場に投入した本格的EVの「bZ4X」は、従来のモデルとは一線を画するデザインを採用する。その斬新さはトヨタの新デザインの始まりだった。 “ハンマーヘッド”と“トップマウントメーター” bZ4Xを初めて見たとき、いままでのトヨタ車とは明らかに違うシャープで迫力あるデザインに驚いた記憶がある。なかでも印象的だったのが精悍なフロントマスク。薄いヘッドライトとフロントフードのくっきりとしたラインは“シュモクザメ”を意味する「ハンマーヘッド」と呼ばれているが、正直なところ初めのうちは違和感があった。ところが、新型「クラウン」や新型「プリウス」がこのハンマーヘッドのモチーフを採り入れ、街中で頻繁に目にするようになったいまは、トヨタの新しいフロントマスクに親しみを覚えるようになったから不思議である。 bZ4Xのコックピットも、最初はしっくりとしなかった。bZ4Xではステアリングホイールの上から見る「トップマウントメーター」を採用するため、いつもよりステアリングホイールを低い位置に、シートを高い位置に設定する必要がある。このポジションに慣れるまで少し時間がかかったが、馴染んでしまえば遠くに配置されたメーターはヘッドアップディスプレイのように視線移動が少ないうえ、ヘッドアップディスプレイよりも鮮明に映るから、とても見やすいのだ。 反面、ステアリングホイールが低い位置にあるぶん、ステアリングスイッチを操作するときに視線移動がやや大きめなのが玉にキズだ。 このトップマウントメーターは新型プリウスにも採用されており、bZ4X発の新デザインが今後他のモデルに展開されていくことが予想される。 ダッシュボード中央には12.3インチの大型ディスプレイが配置され、その下にあるエアコンの操作パネルは見やすく操作もしやすい。温度調節を物理スイッチで行えるのもうれしい点だ。 高い位置にあるセンターコンソールやドアにはグロスブラックのパネルがあしらわれて高級感が漂う一方、ファブリックのパネルとの組み合わせはややちぐはぐな感じがした。これをレザー(またはレザー風のソフトパッド)にするだけでも、かなり印象が変わると思うのだが……。

TAG: #bZ4X #ソルテラ #デザイン
TEXT:曽宮 岳大
ランチア、本格的なブランド再生に向け、名門復活の狼煙を上げる

「デルタ・インテグラーレ」や「ストラトス」「037ラリー」など、世界ラリー選手権(WRC)での活躍の姿が思い浮かぶランチア。現在はコンパクトカーの「イプシロン」をイタリア国内で展開するのみと活動の幅を絞っているが、昨春にはブランド再興に向けた向こう10年の中長期プランを発表。さらにこのたび新しいコンセプトモデルを示唆するティザーを公開するなど、活発な動きを見せている。そこで登場が予定されている新型車を中心に“今後のランチア”に注目してみたい。 新型イプシロンやデルタも……登場が予定される3モデル このたび発表されたのは、コンセプトモデルのリアビューが映った1枚の画像のみ。情報は限られているが、4月15日に予定されるプレス発表会で実車の初披露を予定している。公開された画像に写った丸型のテールランプは、往年の「ストラトス」を彷彿とさせるもの。一体このコンセプトカーは何を意味するのか。 これまでの発表内容を整理すると、ランチアは2022年春に、欧州市場への再参入を明らかにするとともに、2024年以降は2年に1台ずつニューモデルを投入すると発表した。また2026年以降に登場するモデルは電気自動車(EV)のみとなり、2028年以降はEVのみを販売するとランチアのルカ・ナポリターノCEOは明言している。 またニューモデルについて、2024年に全長4m前後の電気自動車の「ニューイプシロン」を、2026年に全長4.6m前後の新しいフラッグシップを、そして2028年に全長4.4m前後の新型「デルタ」を投入することまでが発表済みだ。 こうした背景を踏まえながらティザー画像を眺めて見ると、そのスポーツクーペと思われるボディスタイルは、Bセグメントをカバーする次期「イプシロン」ではないだろう。またデルタも先代モデルではサイズこそ大型化したとはいえ、ハッチバックスタイルを踏襲しており、写真のイメージには合致しない。となると、このコンセプトカーは2026年に登場予定の新しいフラッグシップか、それ以外の車種ということになりそうだ。

TAG: #デザイン
TEXT:生方 聡
「アリア」のデザインに見る電気自動車らしさ [日産アリア試乗記:その2]

EV専用プラットフォームを用いるアリアには、これまでのクルマとは異なるデザインが採り入れられている。アリアを魅力的に彩るエクステリアとインテリアとは? クリーンさが際だつエクステリア かぎられたサイズのボディに、広い室内空間の確保と大容量バッテリーの搭載を両立させるため、EVの多くが背の高いSUVスタイルを採用している。アリアもその一例であるが、さらにEV専用プラットフォームを採用することで、パッケージの効率を高めている。 エンジンに比べてコンパクトなモーターを搭載するEVのアリアは、フロントオーバーハングを切り詰めることで、広い居住空間を確保した。また、エンジンルームの冷却が不要になるため、フロントマスクからラジエターグリルが省かれ、代わりに“シールド”と呼ばれるブラックのパネルを手に入れた。 さらに、クーペのようなルーフラインや張りのあるボディパネル、くっきりと浮かび上がるウェストラインなどにより、アリアのエクステリアは力強い印象に仕上げられている。強い個性を放ちながらクリーンさが際だつアリアは、“日産の新しい扉を開く”のにまさにふさわしいデザインの持ち主といえる。 居心地の良い室内 アリアのインテリアも実に個性的だ。運転席に座り、まず目を奪われたのがダッシュボードを横切るブラックの木目調パネル。その中央部分には空調のスイッチが浮かび上がり、面白いなと思う反面、操作性はどうなのかと少し不安になる。しかし、運転席から見やすく、手が届きやすい位置にあるため、使いにくいのではないかという心配はすぐに解消された。 ドライバーの前には2つの大型ディスプレイが配置されるが、直線的ではなく、S字状に連結されているのがユニークだ。ダッシュボード中央部のタッチパネルがドライバーに近づくぶん、操作性に優れるのがうれしいところだ。 モダンですっきりとしたデザインやソフトパッドにステッチが施されたダッシュボードなどにより、アリアのコックピットは上質さが感じられるとともに、居心地の良い空間に仕上がっている。

TAG: #アリア #デザイン

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