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EV推しのオーナーが本音で語る! ここが嫌だよEVライフ!!


TEXT:琴條孝詩 PHOTO:TET 編集部/写真AC
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バッテリー交換は大きな出費

<長距離移動と“充電ストレス”>

充電に限ると、私の場合、日常的には50〜60km程度しか運転しないので、現状まったく問題はない。しかし、旅行となると別だ。ICE車のように燃料満タンで連続数百kmの長距離を走るのは難しく、EVは依然として制約が残る。確かに最新の高級EVなら400kmや500km近くまで走行できるようになっている。しかし、実際のところ、エアコンをつけて高速道路を走るとバッテリー容量の減りは早いうえに、冬場など気温が下がると一気に消耗スピードが増す。その不安がずっと頭に付きまとうのだ。

「目的地まで電池がもつかな」「出先で万一、充電器が埋まっていたらどうしよう」。こんな燃料不安は、ICE車では一度も感じたことがなかった。ガソリンスタンドは観光地であればどこにでもあり、すぐに給油できるからだ。しかし、便利な急速充電スポットは都市部を離れると限られてくる。旅行先や繁忙期には、観光地の充電器に充電待ちの行列だ。事前に充電ステーションの位置を調べ、充電時間を旅行の予定に組み込み……これが想像以上に面倒で、たとえばふと思い立ってのプチ遠出や、急な用事への対応には強いストレスとなるのだ。

EVのイメージ

たしかに高速道路のサービスエリアやコンビニ、ショッピングモールなど、充電器が増えているのは事実。だが、それぞれ認証カードやアプリ・支払い方法がバラバラで、何枚もカードをもち歩く煩雑さに辟易する。さらに、充電器を目の前にして「スマホアプリがうまくつながらない」などという思わぬ落とし穴に出合うこともある。走行中でもこれらの“充電事情・設備トラブル”を常に気にし続けるのは精神的な負担が大きい。

<万一のコストと“下取り”の不安>

EVは「メンテナンスコストがかからない」とよくいわれる。確かにオイル交換や冷却液補充は不要だ。とはいえ、油断していると意外なところでコストがかかりそうで恐怖を感じることもある。もっとも高額なのがバッテリーだ。新車保証範囲内なら無償修理がきくものの、バッテリーは消耗品であり、保証期限が切れたときのことを考えると「早めにこのEVを手放さなければ」と焦る気もちもある。いったんバッテリー交換となれば、いまでも100万円単位と高く、メーカー各社はリサイクルや保証を強化しつつあるが、長く乗ろうという人にとって、この未来の出費が心の片隅を曇らせている。

バッテリーの劣化に関していうと、私の場合、購入して3年弱で約5%の劣化具合だ。新車のときの航続可能距離は435kmだったが、2万km強走行したあとの航続可能距離は417kmだ。テスラの場合、最悪でも10%程度の劣化で収まるとのデータもあり、そこは安心している。また、日常的に急速充電を多用すると劣化率が高くなるともいわれるが、私は気にしたことがない。もちろん真夏・真冬で酷使するような環境では、容量低下が早まる。

クルマを手放すときのリセールバリュー、下取り価格に関しては、ここ2〜3年で日本国内外を問わずEVの新技術や新モデルが続々登場し、車両価格の変動も大きい。そのせいか、中古車査定や下取り価格の予測が難しい現状がある。実際、私の知人は新型EV発表後に旧モデルの下取り査定が急にガクンと下がり、思わぬ損失に顔をしかめていた。「次のモデルチェンジで一体いくらになるのか」「どこまで価値が下がるのか」と想い巡らす日々は、これまたICE車にはなかった不透明さである。

EVのイメージ

加えて、充電インフラやソフトウェアのアップデートがついていけない古いモデルは、ますます中古車市場での評価が辛くなりやすい。早くEVに飛びついた“イノベーター”であるはずのアーリーアダプターこそ、経済的には割を食いやすい状況が続いている。それゆえ、駆け込み的に安い中古EVを購入する人の間でも、メンテナンス・インフラや車両価値の維持といった問題で困っている話を耳にすることが増えている。

このように、「EVは最高!」と声を大にして語るオーナーであっても、その裏では長距離移動のストレス、充電設備にまつわる煩雑な家事情、見通しにくいランニングコストや下取り価格などなど、「これだからEVは嫌なんだよな」とうめく瞬間が、疑いなくある。とはいえ、「もうICE車には戻れない」と思っている自分もいるわけで、総合的には満足しているんだよな、これが……。

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