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いずれEV時代がくるならモータースポーツも全部EVになる? 現時点では「荒唐無稽」といわざるを得ないワケ


TEXT:大内明彦 PHOTO:日産/トヨタ/TET 編集部
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WECやル・マンなどの長時間レースは難しい

現在、使用するバッテリーはリチウムイオン(WAE製)。正確な容量(セルメーカーも含めて)は非公開だが、F1のように2時間規模のレース距離には追従できていないのが現状だ。ということは、丸1日を戦うラリー(代表例はWRC)や最低でも6時間規模、長い場合には24時間規模となるスポーツカーレース(代表例はWEC、ル・マン)をEVで行うのは、まず無理だといっていいだろう。

もっとも、将来に向けた試験的プロジェクトとして、ル・マン(ACO)が水素の実用化を提言している。水素なら内燃機関の燃料ではないのか、となりそうだが、これは我々日本人の感覚で、水素を燃やして走るレーシングカーは、世界的にもトヨタがあるだけでほかに類を見ない特殊なケースだ。

ル・マンの車両

さて、ACOが提唱する水素だが、これは燃やすための燃料ではなく、水素の化学反応で電力を得るための燃料、すなわちEVの燃料電池のことなのである。燃料電池であれば、化学反応によって水素を使い切るタイミングで補充すればよい。そうすれば、再び化学反応で電気が得られ、走行を継続することが可能になる。また、ガソリン、軽油と同じ要領、感覚(安全管理の意識はかなり異なるが)で補給ができる。

EVによる長時間競技成立のカギは、瞬時の燃料(水素)補給が可能な燃料電池車両の活用ということになるだろうか。バッテリー式を考えれば、リチウムイオン方式から軽量コンパクトにして大容量(たとえば全固体電池など)バッテリーへのシフト、交換作業の容易性(カセット式)などにかかっているのだろうか。

現状のEVによるモータースポーツの成立は、電池要領の問題から短時間走行のスプリントレース、スピード競技であるジムカーナやヒルクライム、ダートトライアルといったあたりに限定されているのが実際である。

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